寺院・神社その4 短句(俳句・川柳)
一台輪 二には両部の 赤鳥居(箭弓稲荷神社/寺院・神社151) 63歳
食の神 ウケモチの神 女神なり(同上)
本殿の 裏に唐破風 奇妙かな(同上)
斗栱には 至る所に 龍の顔(同上)
入母屋の 神楽殿には 干支の鶏(同上)
狐塚 大小様々 キツネ像(同上)
手付かずの 混合林が 境内に(同上)
唖然とす 巨大御朱印 ギネス物(同上)
涼しげに 阿弥陀坐像は 印結ぶ(安楽寺)
初層には 誕生釈迦像 舎利でなく(同上)
弁柄に 注連縄異観 薬師堂(同上)
鐘楼は 簡素な造り 宝形で(同上)
蓮の葉が 弁天堂の 主となる(同上)
哀れなり 観音様に 鉄格子(龍性寺)
名札見て 石仏拝む 岩屋かな(同上)
目の前に 夏風そよぐ 市野川(同上)
虹梁の 彫刻隠す 千社札(正法寺)
堂裏の 崖に石仏 はめ込まれ(同上)
大師堂 真言宗の 定番に(同上)
鐘楼の 入母屋ゆかし 茅葺きで(同上)
谷間には 門前通り 街並みが(同上)
大師像 地蔵菩薩に 遠慮気味(同上)
山門で 聞こえてくるは 蝉の声(宝金剛寺)
鐘楼も 鐘より勝る 蝉の歌(同上)
草茂る 宝篋印塔 蝉は鳴き(同上)
神輿殿 門と重なる 美しさ(川匂神社)
地図になき 川匂神社に 感無量(同上)
本尊の 金目観音 縁薄く(平塚光明寺)
小坊主の 案内パネル よく見るナ(同上)
納経所 本師堂の 名や如何に(同上)
境内の 茅の輪くぐりで 暑気払い(比々多神社)
神輿には 氏子の富が 見え隠れ(同上)
雄雌か 十二支像が 二頭ずつ(同上)
関東の 環状列石 予想外(同上)
御神木 樹齢五百年 大ケヤキ(同上)
アジサイの 花が見ごろな 社務所前(同上)
仁王樣 三百歳は 疲れ気味(飯山長谷寺)
参道の 白アジサイは 気ままそう(同上)
林越し 厚木の街が 夏空に(同上)
長谷寺 淋しき数の 寺の堂(同上)
シンプルな 靖国鳥居 ただ一基(阿伎留神社)
珍しや 千鳥破風千木 二連結(同上)
百貫の 六角神輿 ド迫力(同上)
向拝に 彫刻絵画 来世見る(大悲願寺/寺院・神社153) 63歳
老杉は 五百年過ぎ 衰えず(同上)
鐘楼の 宝形の屋根 大き過ぎ(同上)
夏なのに 庫裡前庭は 紅葉し(同上)
庫裡の中 大黒天が 芯柱(同上)
門二棟 ポツンポツンと 山里に(成身院)
畑の中 古民家風の 庫裡の屋根(同上)
さざえ堂 全国九棟 稀覯なり(同上)
われ一人 花木一本 サルスベリ(正龍寺)
鐘楼に 雪見灯籠 月見台(同上)
楼門に 五重石塔 調和して(同上)
蝉だけが 静かな寺の 参拝者(同上)
サルスヘリ 弁財天に 花捧ぐ(円照寺)
多宝塔 あれば完璧 円照寺(同上)
駐車場 隅に小さき 大師堂(同上)
禅宗は 護摩行はせぬ 不動堂(能仁寺)
禅宗に 絶対不可欠 坐禅堂(同上)
鐘楼と 奇妙な彫刻 不自然に(同上)
諸堂には 禅風涼しく 吹きにけり(同上)
庭園は ノウゼンカズラ 花盛り(日高聖王院)
帰化人は 古き難民 高麗王も(同上)
書院前 池泉庭園 夏知らず(同上/寺院・神社154) 63歳
石段に 居場所追われた 仁王尊(同上)
見下げれば 壮観極まる 瓦屋根(同上)
入母屋の 本堂稀有な 総欅(同上)
本堂の 横の客殿 また優美(同上)
本堂の 屋根に日高の 夏景色(同上)
檀君の 玉座の椅像 移住地に(同上)
韓風の 八角亭で 冷麺を(同上)
四人中 知るは武烈の 偉人像(同上)
帰化人の 神社も同化 日の本に(高麗神社)
何故なのか 水天宮が 山頂に(同上)
日本一 鉄には見えぬ 大草鞋(子ノ権現天龍寺)
石段の 上に健気な 地蔵堂(同上)
東京の スカイツリーの 名が道に(同上)
寺からは 武甲山など 見渡せて(同上)
釈迦堂が 子ノ権現の 奥ノ院(同上)
山上の 鐘を撞くのは 難儀かと(同上)
衰退の 風は涼しき 山の寺(常楽院)
また一つ 塔頭らしき 屋根三棟(同上)
廃校の 小学校も また哀れ(同上)
供花もなく 参拝者なし 奥ノ院(同上)
総門は 屋根まで赤く 夏空に(龍穏寺)
太田家の 墓所の石塔 様々に(同上/寺院・神社155) 63歳
暑いのに バテずに泳ぐ 錦鯉(同上)
珍しや 通用門の 起り屋根(同上)
鐘楼に 江戸と昭和の 鐘二つ(同上)
配置図に 七堂伽藍 点在す(高勝寺)
馴染めない 賽ノ河原の アスファルト(同上)
河原過ぎ 針の石段 上るかと(同上)
夏山の 広場に孤立 仁王門(同上)
鋳造の 地蔵大仏 江戸期作(同上)
血の池や 地獄に因む 池の名か(同上)
塔身の 安定性も 美の一つ(同上)
奥ノ院 地蔵二体に 風車(同上)
眼下には 田畑のどかな 夏の空(同上)
採石の 爪痕残る 岩の塔(同上)
山頂の 宝篋印塔 誰かなと(同上)
多宝塔と イチョウと同じ 年重ね(鑁阿寺)
客殿の 玄関清楚な 佇まい(足利善徳寺)
切妻の 屋根は禅寺 庫裡らしく(同上)
参道に 蕎遊庵の そば処(織姫神社)
木の香り 木肌眩しき 神楽殿(同上)
吹き流し 七夕色を なびかせて(同上)
石段で 渡良瀬橋が 眺められ(同上)
縁結び 織姫遠く 夢の果て(同上)
三重の 基壇の狛犬 空駆けん(矢倉鳥頭神社)
腕試し 小玉大玉 力石(同上/寺院・神社156) 63歳
庫裡の中 曹洞宗の 僧一人(渋薬師庵)
金具屋は 満員御礼 盆休み(同上)
参道の 大獅子面に 面食らう(渋温泉寺)
温泉の 寺らしきかな 足湯あり(同上)
入母屋の 番外湯なる 湯殿建ち(同上)
湯船にて 聞く鐘の音は 格別で(同上)
瓦より 桧皮美し 国宝は(清白寺)
本尊は 禅宗らしく 釈迦如来(同上)
ピンク色 庫裡に似合いの サルスベリ(同上)
観光に 力入れてよ 清白寺(同上)
天狗下駄 神力坊の 名物で(七面山敬慎院)
参道に 坊舎四棟 休息所(同上)
郷に入り 日蓮宗の 経唱え(同上)
記念碑に 在家教団 十三社(同上)
撞く鐘は 江戸前期の 鋳造で(同上)
奇観かな 七面山の 裏表(同上)
富士山の 絶景見えず 門いずる(同上)
托鉢の 大師の衣 暑かろう(大聖寺)
自立せぬ 臥龍の松に 覇気がなく(同上)
珍しき 台輪鳥居の 瓦屋根(八日市場八幡神社)
社風かな 鐘楼残す 大らかさ(窪八幡神社)
驚愕す 社殿六棟 桧皮葺き(同上)
塩山に 名刹の他 名社あり(同上)
本殿は 木部朱塗りで 壁白く(同上)
境内社 横一列に 八社ほど(同上)
神社奥 如法経塔 異観なり(同上)
宝物庫 木造狛犬 保管され(同上)
温泉を 訪ね予期せぬ 地蔵堂(塩沢寺)
寺の奥 身静庵に 謎の堂(同上)
三基もの 江戸前期作 無縫塔(同上)
シンボルの 舞鶴の松 寺宝兼ね(同上)
枝の先 臥龍の松に 変身し(同上)
庭園に 桧皮の屋根が 調和して(甲府東光寺)
仏殿の 厨子開かれて 薬師樣(同上)
仏殿は 甲府五山 唯一で(同上)
新築の 書院に香る 木の匂い(同上)
石庭の 手前に植えた 木は野暮と(同上)
東光寺 悲劇の武将 垣間見る(同上)
阿形像 歯まで彫られ リアルなり(放光寺)
吽形像 手のひら見れば 線までも(同上)
鐘楼の 基壇は珍し 野面積み(同上)
庫裡からは 蓮の葉伸びた 庭が見え(同上)
開山の 賀賢上人 知らぬ名で(同上)
宝形の 愛染堂に レプリカが(同上/寺院・神社158) 63歳
庭園は 四季折々の 花が咲き(同上)
萩の花 探したけれど まだ早く(同上)
ユニークな 人形塚は 道祖神(同上)
不揃いな 七堂伽藍 屋根並び(山口観音金乗院)
飛ばしたい 堂宇の一つ 閻魔堂(同上)
釣鐘に 撞木が二つ 音如何に(同上)
灯籠の 地輪の龍が 厳めしく(同上)
多宝塔 成金趣味の コレクション(狭山不動寺)
鐘楼も 京の寺より 移築とか(同上)
康信寺 旧孔子廟 名を変えて(同上)
門だけで 堂宇半分 六棟も(同上)
社務所前 タブノキの瘤 熊の顔(氷川女体神社)
祭り絶え 祭祀遺跡に 秋の風(同上)
湿地帯 公園となり 遊ぶ子も(同上)
藤棚に アーチもあれば 良いのにと(慈恩寺)
円仁の 開山堂は ちょっと地味(同上)
平屋建て 入母屋の庫裡 慎ましく(同上/寺院・神社159) 63歳
隣地には 茅葺き屋根の 古民家も(同上)
廃屋の 陶芸窯に バショウ伸び(同上)
手水舎の 水にも秋が 手のひらに(本庄金鐟神社)
末社でも 手抜きをしない 瓦葺き(同上)
神木は クスノキ二本 親子かと(同上)
神主の 所在気になる 社務所かな(同上)
隣地との 塀は貧しき トタン板(同上)
本庄で 出会えて嬉し 高野山(佛母寺)
門前に 蕉風なびく 江戸情緒(善徳寺)
あら何と 軒唐破風は 裏表(寛永寺)
今もなお 献花が絶えぬ 禅師像(同上)
花と散る 上野戦争 彰義隊(同上)
公園の 谷中霊園 楽土かな(同上)
鋳造の 谷中大仏 釈迦坐像(谷中天王寺)
庫裡を観る 欧米人の 姿見る(同上)
案内を 見ると社務所は 無い様子(飯縄神社)
鐘楼は 夕焼け小焼け 鐘の音(苅萱堂往生寺)
根元から 刈萱杉は 葉が茂り(同上)
慎ましき 庫裡には派風 浄土宗(同上)
北信は 一茶の縄張り 句碑多し(同上)
石段が 不動と稲荷 それぞれに(同上)
稲荷社の キツネ逃げたか 鎮座せず(同上)
秋の空 長野市街地 一望に(同上)
芭蕉の句 西施の像を 建てさせて(蚶満寺)
境内の 小さな池が 潟の跡(同上)
水田に 盆栽思わす 松の丘(同上)
珍しき 向かい合わせの 仁王像(同上)
象潟や 春夏秋冬 蚶満寺(同上)
紅蓮尼 象潟松島 縁結び(同上)
様々な 史跡点在 庭の中(同上)
象潟の 西行桜 何代目(同上)
目を見張る 大きく伸びた 芭蕉の葉(同上)
境内で 芭蕉と曽良の 影を踏む(象潟熊野神社)
熊野から 神は海路で 象潟に(同上)
客殿に 客は来たらず 固定柵(鎌倉本覚寺)
梵鐘は 法論勝利で 得たものと(同上)
鎌倉で 未訪問の 寺社めぐり(同上)
方丈の 冠木門は 黒ずくめ(鎌倉妙本寺/寺院・神社161) 63歳
弾圧に 堪えて日蓮 勝利かな(同上)
鎌倉の 歴史見聞 妙本寺(同上)
山門に 左甚五郎 除災龍(上行寺)
鎌倉に 病身代わり 鬼子母神(同上)
地蔵堂 隣りに槇の 御神木(安養院)
珍しき 宝形屋根の 庫裡が建つ(同上)
小寺にも 聖天堂と 太子堂(宝戒寺)
高時の 生まれ変わりか 槇の木は(同上)
宝戒寺 花一番は 白い萩(同上)
手入れせぬ 庭木は伸びて 庫裡覆う(同上)
四十年 経ても石段 苔むして(杉本寺)
茅葺きの 庫裡客殿は 消え失せて(同上)
石仏に 白と黄色の 菊の花(報国寺)
竹林の 茶房の抹茶 秋の味(同上)
嵯峨野かと 錯覚もする 竹林で(同上)
禅寺に 庭が無ければ 絵にならず(同上)
珍しき サンシュユの木 白砂に(同上)
やぐらには 宝篋印塔 誰かなと(同上)
報国寺 予期せぬ寺観 感無量(同上)
参道に ビャクシン二本 クロスする(荏柄天神社)
境内は 武家信仰の 国史跡(同上)
梅の木の 枝は奇妙な 蜘蛛の糸(同上)
親王の 土牢淋しく 虫の声(鎌倉宮/寺院・神社162) 63歳
草むらの 御構廟 また哀れ(同上)
宝物は 屋根庇の ガラス越し(同上)
展示品 鹿の剥製 陳腐なり(同上)
創建の オガタマノキは 記念樹で(同上)
社務所では 巫女さん朱印に 筆揮う(同上)
萩の花 殺風景な 庫裡に咲く(浄光明寺)
楊貴妃や 観音となり 秋の鐘(同上)
直前で 拝す観音 優美なり(大船観音寺)
観音の 内部にもまた 観音が(同上)
大船の 市街地も見え 眺め良く(同上)
新しき 仏の慈愛 新興に(同上)
江ノ島に 三大弁天 パラダイス(江島神社)
新たなる 景色広がる 展望所(同上)
境内社 龍宮 龍リアル(同上)
奥津宮 亀に関わる 物多き(同上)
所縁ある 役行者の 堂も建ち(伊豆山神社)
頼朝と 政子のロマン 境内に(同上)
向拝の 龍の彫刻 優れもの(同上)
修験道 白山神社 そのままに(同上/寺院・神社162) 63歳
参道は 神仏分離で 仏なし(同上)
本宮社 赤い上屋に 赤祠(同上)
珍しき 社務所入母屋 T字形(同上)
山門に ハリスの風を 思い出す(下田玉泉寺)
民家風 ハリス記念館 境内に(同上)
館内に ハリスとお吉 蝋人形(同上)
開国や 日本の夜明け 下田から(同上)
黒船の 模型も展示 記念館(同上)
庫裡建屋 住宅風の 二階建て(同上)
供花絶えぬ 笠塔婆下 ロシア人(同上)
本堂の 屋根に下田の 船も見え(同上)
笠塔婆 アメリカ人は 上屋架け(同上)
寺からは 寝姿山の 秋景色(同上)
山門の 日蓮像が 門番で(下田了仙寺)
本堂に 条約当時の 絵を展示(同上)
不可解な 古墳が伊豆の 南端に(同上)
千株の アメリカジャスミン 境内に(同上)
山門の 奇異なタブノキ 瘤だらけ(鎌倉長谷寺)
拝み観る 弁財天は 薄化粧(同上)
さりげなく 弁天窟の 赤鳥居(同上)
初見する 石積みされた 卍池(同上)
地蔵堂 千体地蔵 裏山に(同上)
相模湾 三浦半島 秋景色(同上)
経蔵の 輪蔵一度は 回したき(同上/寺院・神社164) 63歳
鎌倉の 紅葉今年 イマイチで(同上)
圧観は 五棟重なる 瓦屋根(同上)
鐘楼の 古鐘は消えて ミュージアム(同上)
住坊は 簡素な造り 平屋建て(大慶寺)
二本もの 七百年の ビャクシンが(同上)
やぐらには 墓石なくなり 物置に(同上)
庭園は 平凡ながら 池はあり(鎌倉青蓮寺)
鎌倉で 大師開基は 二ヶ寺のみ(同上)
鐘撞いて 大師に祈る 金運を(同上)
新築の 庫裡の外観 旅館風(妙隆寺)
鍋かむり 日親の名は 忘れ得ず(同上)
手を合わす 一遍上人 庶民的(光触寺)
庭の木は 染まることなく 葉は落ちて(同上)
奥ノ院 石の観音 洞窟に(岩殿寺)
石塔に 小さなお姿 太子像(同上)
猿田彦 稲荷神社に 居候(同上)
寺からは 厨子の家並みと 葉山見え(同上)
鐘楼に 続く回廊 珍しき(同上)
納経所 観音堂より 立派なり(同上)
切通し 先には庫裡の 二階建て(神武寺)
六地蔵 菅笠被り ユーモラス(同上)
仁王像 今年新たに 安置され(同上)
神武寺は 想定外の 山寺で(同上)
神武寺は 鷹取山が 奥ノ院(同上)
ホルトノキ なんじゃもんじゃの 名もありき(同上/寺院・神社165) 63歳
神武寺は 知名度低き 古刹なり(同上)
手を合わす 女神のレリーフ 船の舵(走水神社)
石段を 走る体力 今なく(同上)
水神社 河童の置物 可愛げで(同上)
鉄パイプ 三社の鳥居 野暮に見え(同上)
走水 浦賀水道 守護神か(同上)
神社から 漁港も見えて 抒情的(同上)
重文の 阿弥陀三尊 お蔵入り(浄楽寺)
義盛の 束帯姿 像高く(同上)
墓地の中 背中合わせの 仏たち(同上)
禅の風 庫裡玄関の 石庭に(満昌寺)
地蔵前 頼朝手植え ツツジ見る(同上)
造材は FRPの 大仏で(聖徳寺霊園)
大仏の 目には久里浜 房総も(同上)
久里浜の 富士山頂に 印相が(同上)
見渡せば 野比海岸の わが宿も(同上)
黒松の 樹齢は何と 五百年(鎌倉九品寺)
太っ腹 宝物殿は 無料なり(鎌倉八雲神社)
クスノキの 御神木には 手玉石(同上)
晩秋に 赤白の花 鎮守社に(鎌倉常栄寺)
本堂と 門柱庫裡が 建つのみで(鎌倉延命寺)
苔生した 丸形灯籠 もみじ染め(安国論寺)
御小庵 妙法桜 葉が染まり(同上)
日朗の 荼毘所の跡に 御堂建つ(同上/寺院・神社166) 63歳
由緒ある 南面窟に コンクリが(同上)
日蓮が 眺めた冨士 今見えず(同上)
サザンカの 花まだ散らず 境内に(同上)
納経所の 有無が寺院の 価値評価(同上)
本堂の カイドウ樹齢 二百年(光則寺)
池の水 澄まねば心 清まらず(同上)
拝殿は 粗末な上屋 雨しのぎ(葛原岡神社)
社殿より 社務所大きき 神社かな(同上)
鎌倉は 豊かな森の 広がりも(同上)
方丈の 庭は少々 野暮に見え(常楽寺)
泰時の 手植えのイチョウ 名ばかりに(同上)
石垣の 上から目線 六地蔵(今泉称名寺)
珍しき 三十六の 童子像(同上)
静寂さ 陰陽の滝 打ち消して(同上)
日蓮像 高村光雲 制作と(長勝寺)
本堂の 裏に庫裏が 貧しげに(同上)
晩秋の 鐘の音海に 届くかと(同上)
境内の 土砂崩れ跡 生々し(満願寺)
おにぎりを 持たせたくなる 六地蔵(弘明寺観音/寺院・神社167) 64歳
七ッ石 善無畏三蔵 名残りかな(同上)
横浜に 江戸から続く 鐘の音(同上)
茶店かと 思えば洒落た 大師堂(同上)
仁王像 門を壊して お出迎え(星谷寺)
向拝で 観音様は 笛を吹く(同上)
庭園は 紅葉黄葉 見本市(同上)
山門が 無いと思えば 中門が(同上)
庫裡の庭 雪見灯籠 もみじ染む(同上)
納経所 四角いボックス 変に見え(同上)
競い合う モミジとイチョウ 中門に(同上)
星ノ井戸 蔦からまりて 名ばかりに(同上)
秋空に 宝篋印塔 ただ高く(同上)
修行像 真言宗の 寺らしく(同上)
寺の中 真っ黄色にする 大銀杏(同上)
観音の 甍のモミジ 優しげに(川崎廣福寺)
県文の 仏像二体 宝物庫(同上)
紛らわし 本坊の中 本堂が(勝福寺)
雷電の 仇討ち相撲 土俵跡(同上)
坂東の 観音霊場 乱れ打ち(同上)
葉の数を イチョウの古木 競い合う(同上)
金次郎 ゆかりの寺に 跪拝像(同上)
小田原で 四国気分は ミニ札所(同上)
仇討ちや 祇園精舎の 鐘の音(城前寺)
明治以降 祭神は増え 五柱に(宗我神社)
ヤドリギは ケヤキの古木 お気に入り(同上/寺院・神社168) 64歳
祖神は 知らない神々 数多あり(同上)
供養碑に 椿花咲く 背丈ほど(延台寺)
法虎庵 曽我堂が建ち 寺に名が(同上)
虎御前 肩身の石が 堂内に(同上)
冬晴れの 七堂伽藍 那古寺かな(那古寺)
空の青 鏡ヶ浦と 競い合い(同上)
何故ここに 紫式部 供養塔(同上)
江戸期まで 洲崎神社が 一宮(洲崎神社)
大ソテツ 洲崎神社の 御神木(同上)
境内の 七福神は 疲れ顔(野島崎厳島神社)
社殿には 白い灯台 野島崎(同上)
梵鐘は 鎌倉期作 重文で(小網寺)
枝を見せ 梅の古木は ひち冬を(同上)
本尊も 薬師如来を 継承し(安房国分寺)
庫裡建屋 外装だけが 今風に(同上)
木枯らしや 金堂跡の 更地へと(同上)
柿葺き モミジに染まる 多宝塔(石堂寺)
驚くや 重文堂宇 数々に(同上)
千年の 樹齢を誇る 御神木(同上/寺院・神社169) 64歳
農家風 土蔵の屋根に 冬陽射し(同上)
客殿は 少々寂れ 目に痛し(同上)
平成に 茅の新築 稀少なり(高家神社)
神輿庫に 千倉のまつり 花形が(同上)
懐かしき 神主宅に 昭和観(同上)
神社から 鴨川港 冬景色(魚見塚浅間神社)
千年を 超える槙の木 疑問視す(鏡忍寺)
鐘楼に 子規の句碑見る 鏡忍寺(同上)
宗祖の名 日蓮宗が ただ一派(同上)
経堂は 宝形土蔵 四面白(同上)
客殿の 庭木の手入れ 完璧で(同上)
拝殿の 内部白木 一色で(天津神明宮)
蛇口では 飲む気になれぬ 御神水(同上)
舞台には 意味の不明な 掲示板(同上)
珍しき まるばちしゃの木 御神木(同上)
社務所前 顔出しパネル 妙に見え(同上)
四天門 雷神風神 ちぐはぐで(房総清水寺)
不可解は 観音堂の 赤穂義士(同上)
手をゆすぐ 水の冷たさ 脳天に(同上)
鐘の音 千尋の池の 鯉も聞く(同上)
また一つ 坂東霊場 乱れ打ち(同上)
納経所 寺で珍し 長屋門(同上)
更にまた 古民家風の 庫裡が建つ(同上)
境内は 狭きながらも 五堂建ち(本行寺/寺院・神社170) 64歳
本堂に 立つと成東 海も見え(浪切不動院)
うつむきの 修行大師は 浮かぬ顔(同上)
ぼけ封じ 観音堂で 玉を撫で(同上)
本坊は 堂宇六棟 壮大で(観音教寺)
遠すぎた 四十年の 塔工期(同上)
本堂の 屋根に飛行機 冬の空(同上)
館内に 埴輪の展示 数多あり(同上)
実際の 埴輪は彩色 人知らず(同上)
飾られた 仏画のすべて 今風に(同上)
檀林は 仏教学ぶ 学問所(飯高寺)
境内に 城を思わす 空堀も(同上)
飯高寺 立正大学 発祥地(同上)
鎮守社は 古能葉稲荷の 明神で(同上)
講堂の 屋根は巨大な 栃葺きで(同上)
講堂に 続く回廊 庫裡が建ち(同上)
鎮守社は 金刀比羅宮と 銚港社(圓福寺)
大師堂 寄棟造り シンプルに(同上)
梵鐘や 戦後平和の 音続く(同上)
本坊に 仏殿客殿 棟並び(同上)
本坊に 十一間の 大師堂(同上)
校倉の 釈迦涅槃殿 奇観かな(同上)
佐原にも 厄除け大師 修行像(観福寺)
本堂に 紅梅の花 狂い咲き(同上/寺院・神社171) 64歳
参拝者 数えるほどの 年の暮れ(同上)
勅使門 カエデの古木 屋根高く(大慈恩寺)
梵鐘は 鎌倉末期 鋳造と(同上)
やぐら前 石の地蔵に 池の鯉(同上)
鎌倉期 南北朝期 板碑群(同上)
重厚な 茅葺き屋根の 仁王門(龍正院)
鳥居先 祠群立 境内社(同上)
鐘楼が 無いのに小堂 三棟も(同上)
ぼけ封じ 何故か知らねど 道祖神(同上)
睦ましく 樹齢重ねる 夫婦松(同上)
目を見張る 宝篋印塔 十基ほど(同上)
見慣れした 宝篋印塔 九基立つ(龍角寺)
鎮守社の 祠の神は 何祀る(同上)
歴史的 寺は哀れにや 住持なく(同上)
修行像 食欲の秋 太り過ぎ(松虫寺/寺院・神社172) 64歳
冬近き 松虫寺の 静寂さ(同上)
七仏は 瑠璃光殿に 保存され(同上)
松虫は 鈴虫の名とか 今は冬(同上)
本坊の 庭木は眠り 春を待つ(同上)
千葉氏の祖 平常兼 名のみ知る(千葉神社)
一列に 規模を揃えた 末社群(同上)
境内に 霊験赫灼 延寿の井(同上)
開創の 時代を偲ぶ 大銀杏(千葉寺)
鐘撞けば 師走の空に 千葉笑い(同上)
自転車で 三浦白浜 参道を(白浜毘沙門天)
慈霊寺の 毘沙門天堂 竹藪に(同上)
祭神は 様変わりして スサノオに(瀬戸神社)
老杉や 三脚姿 痛々し(同上)
瀬戸の名や 前に街道 遠ざかる(同上)
蛇混柏 三百余年 腐らずに(同上)
局長の 背には椿 花開く(龍源寺)
今もなお 脳裏に浮かぶ 燃えよ剣(同上)
石碑には 七言絶句 辞世の詩(同上)
珍しや 横穴古墳 供養塔(同上)
金剛寺 七堂伽藍 冬景色(金剛寺)
予期もせぬ 大師遺告 手を合わす(同上/寺院・神社173) 64歳
あの世への 戒壇登る 師走かな(同上)
絵になるや 弁天池に 塔聳え(同上)
山門を 入れば境内 様変わり(同上)
高台に 鐘楼が建つ 四季の道(同上)
榧の木は 四百年の 樹齢とか(石田寺)
花と散る 最後の武士は 百姓出(同上)
子育ての 北向観音 墓地の中(同上)
ひっそりと 佇む庫裡に ネコ車(同上)
本殿を 摂社が凌ぐ 規模で建つ(日野八坂神社)
五月には 新選組の ひのまつり(同上)
本尊は 天平香る 薬師様(相模国分寺)
滅びても また甦る 鐘の音(同上)
様変わり 和風住宅 庫裡もまた(同上)
門前に 戦評定所 石碑あり(大巧寺)
山門の 門松の先 冥土かな(同上)
千両の 実のみ赤き 青い空(同上)
ガラス戸に 昭和の風情 庫裡二階(同上)
路地裏の 古き住坊 塀新た(同上)
懐かしき 手押しポンプが 井戸の上(同上)
平成の 最後の晴れ着 鶴岡(鶴岡八幡宮)
白と茶や 源平池の 鴎鴨(同上)
イヌマキに 八百年の 時代訊く(覚園寺)
鎌倉の 十井今や 名ばかりに(同上)
苔生した 棟立の井も 国史跡(同上)
金なくし 空しく響く 夜半の鐘(四谷愛染院)
東京の ビルの谷間で 南無大師(同上/寺院・神社174) 64歳
石段に 謹賀新年 須賀神社(四谷須賀神社)
来る年は 四谷総鎮守 初詣(同上)
木造の 社務所の住まい 素朴なり(同上)
池に島 厳島社の 赤祠(世田谷八幡宮)
社務所にて 多くの人が 雨宿り(同上)
神楽殿 校倉造り 首を振る(同上)
参道は 内向き加減 松並木(豪徳寺)
山門の 屋根色褪せて 錆び柄に(同上)
梵鐘の 響きは遠き 江戸の音(同上)
よく観れば 三重塔に 猫の顔(同上)
井伊家墓所 彦根と共に 国史跡(同上)
目を引くは 井伊直弼の 笠塔婆(同上)
正月は 招福殿に 人絶えず(同上)
大小の 手招き猫が 雪の様(同上)
枝桜 花咲く様子 目に浮かぶ(同上)
本坊の 林泉庭園 冬休み(同上)
納経所 大きな猫が 手招きす(同上)
庫裡玄関 禅宗らしき 質素さで(同上)
東門 鉄格子塀 野暮に見え(同上)
松陰の 果たせぬ夢が リレーされ(東京松陰神社)
端座する 松陰像は 絵には似ず(同上)
拝殿の 横にも座像 顔は似ず(同上)
レプリカの 松下村塾 よりリアル(同上)
大鐘も 支えなくては 年行かず(證誠寺)
童謡の 狸囃子や 證誠寺(同上)
信楽の 置物飾る 狸塚(同上)
本堂を 凌ぐ庫裡建つ 庭の隅(同上/寺院・神社175) 65歳
縁側に 長閑さ感ず 冬の寺(西願寺)
五百年 変らぬ景色 阿弥陀堂(同上)
弁柄の 鼓楼に白き 袴腰(藻原寺)
廻廊の 朱色鮮やか 華経殿へ(同上)
台座には 立正安国 日蓮像(同上)
枯れ残る 弁天池の 赤い橋(同上)
四度もの 火災と対峙 鷲山寺は(鷲山寺)
名を知りて 水行堂に 寒気する(同上)
真ん丸い 鐘楼基壇 珍しき(同上)
哀れかな 開山堂は 避難所に(同上)
大海を 日蓮稚児像 見るが如(誕生寺)
支えられ 今日も生きたり 胞衣の松(同上)
妙の浦 マダイの墓の 花萎れ(同上)
守護神の 八大龍王 参道に(同上)
精緻なる 龍の彫り物 向拝に(保田妙本寺)
うららかな 正月景色 妙本寺(同上)
宗門の 争い他所に 巨木立つ(同上)
豪邸を 思わすような 庫裡の棟(同上)
正月や 卒塔婆もまた 新しく(深大寺)
本坊の 冠木門は 初々し(同上)
重文の 梵鐘移され 釈迦堂に(同上)
厄除けの 元三大師 だるま市(同上)
静寂さ 不動の滝に 打ち消され(同上/寺院・神社176) 65歳
古池や 弁財天は 飛び込まず(同上)
珍しや 大黒堂の 地下地蔵(三宝寺)
本尊の 不動明王 秘仏とか(同上)
大塔と 呼ぶに小さき 多宝塔(同上)
ふくよかな 平和観音 十一面(同上)
工事中 観音堂は 立ち入れず(同上)
無造作に 樹木の下に 板碑群(同上)
長屋門 勝海舟の 家の門(同上)
建ち並ぶ 諸堂は時代 絵巻かな(道場寺)
社叢には 冬の武蔵野 肌に染む(谷保天満宮)
梅林に 甘酒売りの 幟見る(同上)
正月に 梅咲き初めむ 野暮さかな(同上)
現社殿 権現形の 配列で(同上)
垂れ下がる イチョウの気根 目を見張る(海南神社)
神楽殿 軒には神の 絵馬掲げ(同上)
梵鐘の 音の響きは 四十年(土浦清滝寺)
如月の 空に響くは 寺の鐘(下総国分寺/寺院・神社177) 65歳
蓮華には 薬師如来の 後光射す(同上)
下総の 七重塔 目に浮かぶ(同上)
路側帯 タヌキ置物 妙に見え(同上)
東門 ブロック塀に 違和感も(同上)
神楽殿 一畳ほどの 大絵馬が(葛飾八幡宮)
幹折れて 枝が千本 生えたとやら(同上)
三年に 一度神輿は ご披露と(同上)
慎ましく 天満宮の 摂社建つ(同上)
将門の 宝篋印塔 供花もなく(上総国分寺)
鐘楼は ほぼ往時の 位置に建つ(同上)
複雑な 和風住宅 庫裡の屋根(同上)
国分寺 大きなロマン 奈良時代(同上)
面白き 社務所の屋根で 神昼寝(飯香岡八幡宮)
神楽殿 形ばかりの 建物に(同上)
飯の香や 神龍泉で 炊が良き(同上)
過ぎる冬 夫婦銀杏は 睦ましく(同上)
珍しき 神社の中に 放生地(同上)
天照 二十九社の 神となり(衣笠神社)
宝剣に 黄金の龍 しがみ付く(大観密寺)
胎内で 観音霊場 ひと回り(同上)
小窓には 仙台市内 手ひらに(同上)
眼下には 一軒住宅 すき間なく(同上/寺院・神社178) 65歳
梵鐘の 音が響くや 残雪に(同上)
思うなら 青葉神社は 城跡に(青葉神社)
残雪に ホワイトハウス 社務所建つ(同上)
入母屋の 丹塗りの社殿 青葉山(宮城県護国神社)
神社名 気付かず拝む 人多く(同上)
蚶満寺 象潟島に 薄氷(蚶満寺)
偉すぎて 雪も払えぬ 芭蕉像(同上)
仁王像 恥しそうで 顔見せず(總光寺)
木組みには 釘一本 見当たらず(同上)
雪深く 参道以外 道はなし(同上)
鐘楼の 屋根珍しく 赤瓦(同上)
庭園は 雪囲いせず あるがまま(同上)
庭園は 雪囲いせぬ 珍しさ(同上)
雪の中 仏舎利塔も また白く(同上)
唐桑に 思わぬ神社 詣でたり(御崎神社)
末社には 恵比須大黒 赤い旗(同上)
拝殿の 横にはなぜか 護摩堂が(同上)
ご朱印を 貰うも寺社の 規模による(同上)
社殿より 立派な建屋 宮司邸(同上)
四国から 金比羅様が 早馬で(早馬神社)
摂社には 不動明王 祀られて(同上)
大津波 高台の社殿 押し寄せし(同上)
社務所には 気仙大工の 匠観る(同上)
茅葺きの 威風を放つ 神輿庫(武水別神社)
滝壺の 石に残るや 木曽の水(同上/寺院・神社179) 65歳
参道を 歩むと見える 善し悪しが(同上)
末社群 得体の知れぬ 神ばかり(同上)
神楽殿 かと眺めると 勅使殿(同上)
御供所 額殿あるのに 絵馬掲げ(同上)
社叢には 二十種ほどの 木々茂り(同上)
藤沢で 吸い込まれ行く 芭蕉句碑(圓融寺)
存続が 覚束なくや 過疎の寺(同上)
仁王門 風変りなり 長屋門(柳津虚空蔵尊)
虚空蔵 日本三所の 秘仏とか(同上)
新しき 大師堂には 酒樽が(同上)
入母屋の 開放的な 寺務所かな(同上)
ひっそりと 信徒会館 庫裡が建つ(同上)
鐘楼の 柱珍し 鉄パイプ(同上)
奥ノ院 登山口には 稲荷堂(同上)
寺カフェに 玉こぶケヤキ 七不思議(同上)
倒れ臥す 芭蕉ゆかりの 看板が(同上)
水も無く 鵲橋は 名ばかりに(同上)
相馬氏の 六万石は 明治まで(相馬神社)
摂社には 天満宮か 北野より(同上)
この神社 相馬野馬追 出陣と(相馬中村神社)
神木は 六百年の 親子杉(同上)
スギ花粉 子供の頃は 聞きもせず(同上)
重文の 本堂庫裡に 梅の花(専称寺)
大杉や 樹齢千年 古墳跡(いわき大國魂神社)
神楽殿 オオクニヌシに 大和舞(同上)
宮司宅 現代的な 暮らし向き(同上/寺院・神社180) 65歳
鄙びたる 土俵のような 土舞台(金峰神社)
蔵王堂 名残り留める 鐘の音(同上)
庭園に 山荘風の トイレ建つ(同上)
鳥海の 奈曽の白滝 春告げる(同上)
裏表 比較しながら 参道を(塩尻小野神社)
古池は 社叢の中の オアシスで(同上)
参道に 陳腐な鳥居 角パイプ(同上)
境内は 辰野の飛び地 柵はなく(矢彦神社)
青シート 修復中の 神楽殿(同上)
藤池や 神争いで 二分され(同上)
信定寺 鐘楼門は 花化粧(信定寺)
鐘楼に 神代桜 枝伸ばす(実相寺)
信玄の 野ざらしの鐘 重文で(松原諏方神社)
予期もせぬ 芭蕉の句碑に 春拝む(同上)
驚嘆す 七堂伽藍 案内図(貞祥寺)
少年期 藤村の詩に 胸打たれ(同上)
参道に 寂れた様子の 図書館が(同上)
土塀には 通用門も 設けられ(同上)
苔生した 林泉庭園 素晴らしき(同上)
茅葺きは 銅板葺きに 変るやも(同上)
僧堂で 高悟帰俗の 心地なる(同上)
石段に 狛犬一対 カムバック(同上/寺院・神社181) 65歳
貞祥寺 三重塔 若葉梅(同上)
回天の 模型が鎮座 慰霊碑に(同上)
参道に 祇園神社の 小社殿(臼田稲荷神社)
可愛げな トンネル状の 赤鳥居(同上)
山頂の 奥社を拝し また一座(同上)
道祖神 石仏群が お出迎え(新海三社神社)
神社なら 七殿社殿と 称すかな(同上)
石段に 鳥居代わりの スギ二本(同上)
神社では 殆ど目にする 国旗愛(同上)
オキハギの 東本社に 花の雲(同上)
桜咲き 三重塔 絵画的(同上)
本堂に 三本桜 対峙する(佐久上宮寺)
殿様も 拝み頼るか 佐久間樣(象山神社)
古井戸に 春光入りて 時告ぐる(同上)
煙雨亭 京都の茶室 移築され(同上)
面白や 心の池に 無事カエル(同上)
狛犬の 胸の膨らみ 何と見ん(同上)
社殿には 神饌所まで 附帯させ(同上)
斎館に 神職おらず 名ばかりに(同上)
要人の 暗殺事件 今もなお(同上)
長国寺 七堂伽藍 幻に(長国寺)
天蓋に 六文銭と 鯱瓦(同上)
切妻の 鐘楼なぜか 簡素なり(同上)
戦没者 放光殿で 慰霊され(同上/寺院・神社182) 65歳
春風や 十万石の 菩提寺に(同上)
境内で 遊ぶ子供は ふた昔(祝神社)
賽銭を 祝神社に 放り込む(同上)
社務所には 神主不在 朱印得ず(同上)
珍しき 池の島には 宗像社(同上)
普願寺や 大門正門 参道に(普願寺)
シャクナゲの 庭の正面 太鼓楼(同上)
俗世との 関わりを断つ 築地塀(同上)
ツツジかと 思えばシャクナゲ 寺に満つ(同上)
蒲団干す 寺に庶民の 暮らし見る(善長寺)
善行寺 趣向凝らした なまこ塀(善行寺)
本堂の 屋根を飾るは 八重桜(同上)
裳階付き 庫裡は珍し 入母屋で(円光寺)
本堂の 前にはなぜか トラクター(元徳寺)
境内の 甍に混じる ハナミスギ(同上)
不動寺に 六文銭の 旗印(米子瀧山不動寺)
禊所の 二筋の滝で 春の行(同上)
帰り道 真言十八 六地蔵(同上)
修行像 空海大師に 瓜二つ(東照寺)
地蔵尊 枝垂れ桜の 桜守(同上)
本尊は 一光三尊 その写し(城泉山観音寺/寺院・神社183) 65歳
怪しげな 男女和合の 神社建つ(同上)
客殿の 裏には哀れ 廃ホテル(同上)
上山田 温泉街に 千曲川(同上)
高貴さが 桧皮柿の 屋根にあり(筑摩神社)
土蔵には どんなお宝 有るのかと(同上)
梵鐘は 旧安養寺 置き土産(同上)
八重桜 よくお参りと 花咲かす(牛伏寺)
鐘楼や 渋い板張り 袴腰(同上)
本坊の 寺務所は優美 屋根の破風(同上)
庭園の ツツジは今が 花盛り(同上)
切妻の 天蓋茅に インパクト(同上)
廻廊が 豪華さ添える 仁王門(同上)
珍しや 弁天堂に 大師像(同上)
厄除けの 鐘の奥には 太子堂(同上)
ダム湖には 新緑のブナ 映えるかな(同上)
鐘の音 芭蕉聴いたか 句には無し(城光院)
庭園の カイヅカイブキ 塔仕立て(同上)
琵琶島の 赤鳥居には 緑映え(野尻湖宇賀神社)
参道は 両部鳥居に 杉木立(同上)
静寂な 木々に平屋の 社務所建つ(同上)
湖上行く 神輿が浮かぶ 神輿庫で(同上)
あら何と 一般住宅 庫裡を兼ね(浄光寺/寺院・神社184) 65歳
杉木立 石段まるで 登山道(同上)
北斎に 後押しされる 一茶句碑(岩松院)
様々な 屋根の色合い また形(同上)
鐘楼に 鶴の置物 ハットする(同上)
五百年 連れそう仲や 夫婦松(遠照寺)
宗祖の名 日蓮宗のみ 冠す(同上)
虚空山 西行法師 旅枕(多福寺)
春草に 御嶽山の 板碑立つ(同上)
鄙びたる 寺に新たな 不動堂(同上)
珍しや 大師と法師 肩並べ(同上)
宿場には 個性豊かな 神々が(駒形神社)
拝殿は 切妻破風の 抱き合わせ(同上)
花崗岩 大石山に 奇岩群(大石神社)
古来より 巨木巨岩に 神宿り(同上)
浮舟の 石に三年 修行僧(同上)
神宿る 影向石は 御影石(同上)
烏帽子石 とても烏帽子に 見えはせぬ(同上)
草叢の 大石山に 東屋が(同上)
大石の 街の景色に 八ヶ岳(同上)
薬師堂 三十三年 開帳と(甲斐国分寺)
庭園の 空には白い ヤマボウシ(同上)
唐破風が 庭木を挟み 二棟建つ(仏陀寺/寺院・神社185) 65歳
総門と 中雀門は 個性的(大泉寺)
新緑に 新たに響く 鐘の音(同上)
禅宗は 本尊釈迦が ポピュラーで(同上)
殿内に 風林火山 旗印(同上)
庫裡の庭 鉢植えの花 しおらしく(同上)
神楽殿 年に一度の 晴れ舞台(武田八幡宮)
拝殿は 入母屋平入り シンプルに(同上)
拝殿の 幕にはやはり 武田菱(同上)
本殿の 横に一間 若宮社(同上)
神木を 神樹と称す この神社(同上)
一石の 百観音や 珍しき(同上)
武田氏が 源氏の悲運 総仕上げ(同上)
庫裡の庭 質素ながらも ゆりの花(興徳寺)
寺からは のどかな里の 風景が(同上)
本殿に 松竹梅の 壁画観る(佐野神社)
名社建つ 中山道の 八幡宿(八幡神社)
神楽殿 無くて少々 拍子抜け(同上)
富士噴火 瑞垣門も 宝永期(同上)
淋しさや 彫刻彩色 色褪せて(同上)
信州に 無くてはならぬ 諏訪社かな(同上)
山間の 神社は村の 拠り所(小根山小川神社)
神社には 菅江真澄の 足跡も(同上)
庫裡もまた 本堂同様 新しく(岩殿寺/寺院・神社186) 65歳
辛うじて 三所権現 小堂が(同上)
本殿は コンクリートの 白亜へと(白髭神社)
写真にて 本殿拝む サルタヒコ(同上)
舞殿の 引き戸は哀れ 閉じたまま(同上)
気にかかる 鐘楼門の 頭上注意(松巌寺)
庭園の 松は哀れや 芯止めに(同上)
落ちついた 雰囲気の庫裡 二階建て(同上)
神木に モニュメントかな 石幢が(鬼無里神社)
社務所には 人影もなく 閑散とす(同上)
珍しき 鐘楼門が 石垣に(海尻醫王院)
奥ゆかし ユリやシャクナゲ 庭園に(同上)
境内の 海尻古城 謎のまま(同上)
本堂の 瓦に青葉 色添えて(同上)
石段の 空独り占め 大ケヤキ(同上)
二階建て 旅館のような 庫裡建屋(同上)
夏風や 北前船の 錨吹く(鼠ヶ関厳島神社)
黒瓦 松の緑に 白い雲(同上)
灯台の 側に金比羅 小社建つ(同上)
芭蕉の葉 鐘楼の鐘 隠すほど(蚶満寺)
紅蓮尼 石碑を見ては また涙(同上)
松並木 へそ曲がりあり 参道に(同上)
象潟や 休耕田に 仁王門(同上)
物言わぬ 芭蕉の像も 汗をかく(同上)
車降り いきなり庭園 蚶満寺(同上)
象潟の 九十九島に 波の雲(同上)
稲田には 守り貫かれた 島々が (同上)
青赤の 随身像は 威圧的(遠野郷早池峯神社)
参道は 夏風の吹く 杉並木(同上/寺院・神社187) 65歳
手水舎に 倒れんばかり 御神門(同上)
株立の サワラの古木 ウロ哀れ(同上)
石仏に 旧妙泉寺 偲ぶかな(同上)
ヤマユリの 花一面 寺の跡(同上)
新築の 屋根と土俵の 泣き相撲(成島三熊野神社)
神仏の 喧嘩別れが 身勝手ぞ(成島毘沙門堂)
現在の 毘沙門堂は 絵馬殿か(同上)
古寺や 千年絶えぬ 蝉の声(同上)
詩碑が立つ ここは花巻 賢治色(同上)
食事何処 あればと思う 兜跋館(同上)
朱印には 毘沙門天と 神社名(同上)
境外は 重伝建の 町並みが(金ヶ崎神社)
境内に 諏訪八景の 散策路(同上)
中央部 不思議な花壇 赤い花(泰養寺)
鐘楼に 品格添える 袴腰(同上)
新築の 庫裡の裏には 豪邸が(同上)
参道の 灯籠鳥居 赤揃え(遠野郷八幡宮)
遠野には 物語ほか 景観美(同上)
小さくも 旧拝殿は 新しき(同上/寺院・神社188) 65歳
御輿殿 古風なままに 建ちてあり(同上)
社殿では 摂社末社の 格差観る(同上)
獅子踊り 八幡神楽 花形と(同上)
日本一 長いのではと 馬場歩く(同上)
郡山 意外と知らぬ 寺社多く(安積国造神社)
赤塗りの 天満宮に 違和感が(同上)
如宝寺や 一万坪に 大伽藍(如宝寺)
池泉式 隈上苑が 山門に(同上)
金剛の 大日如来 本尊で(同上)
珍しや 国宝殿は ガラス張り(同上)
美術品 いぼなし鐘が 据え置かれ(同上)
重文の 石造塔婆 二基並ぶ(同上)
三様の 赤い瓦が 横並び(同上)
八基には 梵字刻印 石塔婆(極楽寺)
礎石のみ 大日堂の 跡記す(国見山廃寺跡)
本堂の 跡地は広く 芝が生え(同上)
廃寺跡 山岳修験 垣間見る(同上)
阿弥陀堂 ここも推定 首を振る(同上)
参道で 心の禊 龍ヶ池(金峯神社)
門前に やっと到着 安堵する(同上)
杉木立 無縁仏や 数知れず(同上)
気になれど 禁酒のかめは 及ばずと(同上)
門内に 妙な神棚 祀られて(同上/寺院・神社189) 65歳
寄棟の 社務所はレトロ 平屋建て(同上)
登山前 閼伽井の清水 水筒に(同上)
滝組に 水子地蔵と 水神が(同上)
石段に 見慣れた景色 杉並木(同上)
中ノ宮 大黒恵比須 ガードして(同上)
登拝路に 須佐之男神社 忽然と(同上)
また一社 八幡神社 登拝路に(同上)
山頂の 社務所は寂れ 人も無く(同上)
滝行に 禊の滝は 丁度良し(同上)
渓流に 風雅な琴の 音色聴く(同上)
石橋の 苔衰えて 秋草に(同上)
瘞琴碑 琴の名手を 偲ぶかな(同上)
本堂の 五色の布に 秋の空(青龍寺)
鐘楼に 出羽三山の 音を聴く(同上)
庫裡かなと 思えば哀し 住宅で(同上)
新しき 山門に観る 裕福さ(本住寺)
みちのくは 配流の大名 多きかな(同上)
山門は 入母屋造り 古風なり(法國寺会津別院)
久々の 螺旋階段 目も回る(同上)
長文の 観音経に 四苦八苦(同上)
胎内の 上で眺める 秋景色(同上)
眼下には 会津盆地の 黄金色(同上)
山肌や 磐梯山のみ 赤味帯び(同上)
飯豊山 秋雲高く 空を行く(同上)
車庫代わり 通用門に トラクター(同上)
大釜や イベントなどに 使えばと(同上)
古民家で 座敷わらしの 夢を見ん(同上)
珍しき 半切妻の 二階建て(同上)
会津では 越屋根載せた 家多し(同上)
格納庫 ミニSLに 草が生え(同上/寺院・神社190) 65歳
本堂は 祈りの里の 美術館(同上)
書体より 作者の名前 先に見る(同上)
法國寺 釈迦の寝顔に 忍び足(同上)
ふくよかな 弁財天は 八臂なり(同上)
色映える 龍神池の 弧状橋(同上)
個性的 三重塔 屋根瓦(同上)
塔内に 平和を願う 鬼子母神(同上)
蓮池の 周囲のもみじ 染まりゆく(同上)
劣化して 憤怒は失せた 仁王像(八葉寺)
二体とも 手首が壊れ 可哀そう(同上)
掃除せず 空也清水に 草も生え(同上)
鐘楼に ケヤキの黄葉 降りそそぐ(同上)
舎利殿は ミニ宝塔の 収蔵庫(同上)
千年も 念仏踊り 伝承す(同上)
本尊は 薬師三尊 顔見せず(会津薬師寺)
秋なのに 寺のモミジは まだ緑(同上)
赤塗りの 大黒堂は 目立ち過ぎ(同上)
岩壁に 吸い付く如く 堂は建つ(観音寺)
野ざらしに 観音堂は 瓦解せず(同上)
向拝の 木肌の風味 オリジナル(同上)
目前に 向羽黒山 城跡も(同上)
南には 二岐山の コブも見え(同上)
窓縁の 目線の先に 木の梢(同上)
謎多き 名僧天海 会津出と(龍興寺/寺院・神社191) 65歳
仁王門 写真パネルに 入れ替わり(法用寺)
中興の 徳一の夢 石の中(同上)
秋なのに 虎の尾ザクラ 咲く如し(同上)
目に優し 白い土蔵の なまこ壁(同上)
秋風や 雀林の 法用寺(同上)
何祈る 大祖塚の 宝塔に(同上)
稲実る 眼下の眺め 楽土かな(同上)
縦横に 大きな草鞋 仁王門(弘安寺)
石地蔵 赤い頭巾が 定番に(同上)
何故ここに 奥の細道 石碑立つ(恵隆寺)
まだ青き 八百年の 銀杏かな(同上)
客殿の 庭に粗末な 鉢植えが(同上)
彩色が 乏しく見える 小金塔(同上)
境内に 浮世引きずる 住宅も(同上)
示現寺に 瓜生岩子の 像と墓(示現寺)
明治期の 会津女性は 逞しき(同上)
三棟の 屋根は改修 赤トタン(同上)
庭園は 手入れもされず 秋草に(同上)
鷹山の 手植えの桜 二百年(林泉寺/寺院・神社192) 65歳
移転後も 曹洞宗は そのままで(同上)
秋空に 現世を惜しむ 白骨樹(同上)
清僧と 流れ者には 女なし(同上)
二階建て 宝物館が 墓地の中(同上)
不動尊 撮影禁止 ゴメンネと(同上)
兼続の 愛の兜は 墓場にも(同上)
珍塔は 兼続考案 林泉寺(同上)
名も知らぬ 墓石を拝み 歴史知る(同上)
秋空に 両部鳥居の 白映えて(熊野大社)
境内は 出店連なる 菊まつり(同上)
幸神社 提灯掛けは 形のみ(同上)
向拝の 龍の彫刻 精緻なり(同上)
境内社 三十柱 様々に(同上)
哀れなり 菅原神社 屋根破れ(同上)
本殿に ウサギ三羽が 隠し彫(同上)
神楽殿 着物の裾 菊飾り(同上)
菊まつり アートの如く 飾り物(同上)
虹梁に 珍しきかな 力士像(森子大物忌神社)
純粋に 鳥海山を 神と観ん(同上)
驚きは 五百本もの 秋田杉(同上)
地蔵様 頭を撫でた 思い出も(龍泉寺)
戒名を 知ることもなき お布施かな(同上)
鐘楼と 鼓楼を銀杏 黄に染める(長安寺/寺院・神社193) 66歳
松島や 四季折々の 四大観(大仰寺)
富山や 散り行く紅葉 高見せり(同上)
多宝塔 宮城県では 二棟のみ(龍宝寺)
鐘の音や 別格本山 風格が(同上)
青銅の 五重塔は 貴重物(横山不動尊)
湧水池 ウグイ生息 国天記(同上)
参道の 奇形の松や 無名なり(同上)
仏堂に 即心仏が 二体とか(海向寺)
観音の 甍ピカピカ 冬空に(同上)
鐘楼の 松は昔の 絵のままに(同上)
松陰の 旅の足跡 酒田にも(日枝神社)
境内に 詩歌碑林立 懐かしむ(同上)
日枝神社 三神の名は うわの空(同上)
雪融けて 銅板屋根は 寂しそう(禅林寺)
庭園は 雪の白さと 庫裡の壁(同上)
珍しや 錣造りの 庫裡が建つ(同上)
無意識に 観音像に 手を合わす(同上)
面白や 鐘つき棒が 鼻に見え(同上)
狛犬の 吽形像は 鬼を踏む(七高神社/寺院・神社194) 66歳
狛犬の 阿形可愛く 足に鞠(同上)
仁賀保氏の 一文字三星 垂れ幕に(同上)
本殿に 続く登廊は 新しき(同上)
主祭神 大黒天に 様変わり(同上)
久々に 拝殿昇り 祝詞上げ(同上)
本物の 神様観るや 巫女二人(同上)
ガラス越し 神輿を拝す 御輿殿(同上)
反り返る 緑青の屋根は 美観なり(鶴岡天満宮)
社務所前 梅の若木が 時刻む(同上)
板張りに 白壁調和 阿弥陀堂(大督寺)
七体の 石仏像は 不揃いで(同上)
庫裡の庭 植木の囲い しおらしく(同上)
酒井家が 神道となり 鳥居建つ(同上)
院内の 油田事務所が 境内に(陽山寺)
庫裡横の ツツジ庭園 山を成す(同上)
池の側 残雪白く 花と見ん(同上)
本殿は 覆屋の中 神妙に(平沢八幡神社)
境内社 神明社など 四社ほど(同上)
神階が 上でも摂社 風下に(同上)
宮司なき 社務所淋しき 浜の風(同上)
異観かな 弥勒菩薩の 石仏は(同上)
龍源寺 伽藍十棟 雪景色(龍源寺)
夢と消え 十七万石 法脈に(同上)
天平の 秋田城址に 招魂社(秋田護国神社)
戦前の 土蔵一棟 遺構なり(同上/寺院・神社195) 66歳
人の居る 社務所の屋根は 雪融けし(古四王神社)
竹うちの 準備整う 神社前(秋田諏訪宮)
黒門に 赤い楼門 雪の浮く(本覚寺)
石仏の 雪より寒し 寺の鐘(同上)
土壁の 蔵の鄙びが 雪に映え(同上)
虹梁の 力士像の目 サングラス(金峰神社)
雪形や 花と見まがう ツツジかな(同上)
白滝の 蛙は雪見 楽しげに(同上)
境内に 薬師公園 池に鴨(出羽国分寺)
鐘楼の 鐘や新たな 国分寺(同上)
摂社には 市神神社 えびす様(里之宮湯殿山神社)
神門を 潜れば月山 後光射す(鳥海月山両所宮)
珍しや 百名山を 二座祀り(同上)
神仏 信ずる心 奥深し(同上)
両所宮 仏教色は ほぼ消され(同上)
金井水 金売吉次 銭洗う(同上)
金井水 弁天池で 噴水に(同上)
雪深き 若松観音 山の寺(若松寺)
雪を踏み 聖観音に 跪く(同上)
整然と 石祠並ぶや 雪を除け(同上/寺院・神社196) 66歳
雲海に 面白山が 頭出す(同上)
花雲に 尊く拝む 赤鳥居(大崎八幡宮)
黒塗りに 金装飾の 鮮やかさ(同上)
桃山の 文化の極み 観る如し(同上)
仁王門 茅の屋根には 桜咲き(陸奥国分寺)
花盛る 三百余本 国分寺(同上)
参道は 桜並木に 石灯籠(同上)
聞きもせぬ 桜の名所 薬師堂(同上)
鐘楼の 赤い屋根にも 桜かな(同上)
観音の いらかや正に 句の如し(同上)
神庫には 枝垂れ桜が か弱げに(荘内神社)
殿内は 人形などが 二千点(同上)
酒井家の 武具や骨董 宝物も(同上)
神門と 立派な塀に 社殿建つ(光丘神社)
神となる 人の基準は 貢献度で(同上)
珍しや 鐘楼重なる 庫裡の屋根(持地院)
釈迦牟尼の 酒田大仏 二代目で(同上)
桜咲き 桜山神社 名も恥じず(桜山神社)
名君の 南部重信 祀られず(同上)
花いかだ 眺めてみたき 池泉かな(同上)
本尊の 波立薬師 外拝み(波立寺)
波立寺や 津波に勝てず ボロボロに(同上)
仁王門 神仏分離 耐え凌ぐ(田村大元神社)
本殿の 床下斗栱 幾重にも(同上/寺院・神社197) 66歳
何か変 随神門に 華頭窓(同上)
民家風 社務所は平屋 慎ましき(同上)
小庭には ノムラモミジに 白ツツジ(天澤寺)
参道に 鹿と狼 向かい合う(鹿狼神社)
新地にも 聞くに堪えない 大津波(同上)
海岸と 山間とでは 天地の差(同上)
拝殿は 相馬野馬追 出陣も(相馬小高神社)
信仰の 自由は神の 名も変える(同上)
入母屋の 社務所の屋根に 椎の花(同上)
みすぼらし 登拝記念の 板碑群(加波山神社)
イザナミと 熊野権現 親宮に(同上)
あちこちに 奇岩怪石 花崗岩(同上)
禅定を 思わすような 岩も立つ(同上)
本宮は クニノトコタチ 祭神で(同上)
虹梁に 竜虎争う 彫刻が(同上)
祈りても 神に届かぬ 若返り(同上)
寄進した 講中の名が 灯籠に(同上)
神主の 自宅は質素 二階建て(同上)
ナギの木の コブの様子が 猿に見え(同上)
あら何とと 本宮親宮と 一体化(同上)
珍しや 集参殿が お札所に(同上)
神楽殿 アルミサッシは腰砕け(同上)
古寺古刹 筑波山麓 点在す(西光院)
本尊は 馬頭観音 自然石(同上)
参道に 僅かながらも ツツジ咲き(常陸国分寺/寺院・神社198) 66歳
本堂 側面五つ 花頭窓(同上)
偶像の 笠を覗かん 南無大師(同上)
哀れかな フェンスの外は 草の池(同上)
寂れたる 弁財様の 覆屋は(同上)
霊屋や 先代五代 控え目に(大雄寺)
住房や 曹洞宗の 風はなし(同上)
小社には 遺品の鍋が 安置され(御鍋神社)
境内は 十二ヘクタール 原始林(湖南隠津島神社)
限りなく 秘境に近き 神社かな(同上)
地味ながら 参籠殿も 境内に(同上)
風穴に ヘビ神様が とぐろ巻く(同上)
新緑に 菅滝の水 白く映え(同上)
本殿の 流れ造りに 千鳥載せ(小平潟天満宮)
境内は 白砂青松 景勝地(同上)
継縄の 戦勝記念 手植え杉(夏井諏訪神社)
諏訪神社 翁杉媼杉 国天記(同上)
軍神の タケミナカタや 皆勝った(同上)
宝形に 諏訪の大釜 鎮座せり(同上)
斎館は 拝殿思わす 豪華さで(飯野八幡宮)
神社では 領主の財力 物を言う(同上)
若宮社 重文社殿 覆屋に(同上)
石造り 遊び心の 太鼓橋(同上)
ツツジ咲く 築山池泉 庭園に(常福寺)
入母屋の 用途不明の 堂も建つ(同上/寺院・神社199) 66歳
多宝塔 ノムラモミジと 同じ色(同上)
ミニ四国 八十八ヶ所 霊場も(同上)
札所跡 壊れたベンチ 捨て置かれ(同上)
参拝者 三万坪に ただ一人(同上)
葉先のみ 黄色く変る 木が妙に(同上)
仁王像 不動堂には 不釣り合い(同上)
錆び付いた 外車数台 放置され(同上)
僧坊に 俗化の匂い プンプンと(同上)
閼伽井嶽 三角点まで 至り得ず(同上)
神秘的 神垣山に 社殿建つ(三春大神宮)
自分なら てんてこ舞いを 神楽殿(同上)
本殿の 塀は珍し 赤と黒(同上)
樅の木に アマノテラスは 肩もます(同上)
奇妙なり 観音堂に 狛犬が(福聚寺)
新築の 庫裡は優美な 二階建て(同上)
住職は 著名な作家 寺は富み(同上)
宝形の 鐘楼堂は 奇観なり(常光寺)
アジサイの 花も疎らな 庫裡の庭(同上)
謎めいた 仏像奥に 石棺が(同上)
狛犬は ニホンオオカミ リアルなり(山津見神社)
拝殿の 天井すべて オオカミ絵(同上)
宝物庫 一棟だけが 焼け残る(同上)
宮司宅 屋根は瓦で 新築す(同上)
姥杉や 義家杉の 名もありて(日高神社)
二本目は 姥の反対 尉杉に(同上)
淋しいな 提灯掛けに 何もなく(同上/寺院・神社200) 66歳
放生池 鯉はいるかと 探し見る(同上)
社務所には 酒の空箱 目に痛し(同上)
宮司宅 夏の花々 軒先に(同上)
白い塀 山門の黒さ 引き立てん(大安寺)
名札付け 十六羅漢 ピーアール(同上)
儚さや 高野長英 供花もなく(同上)
経堂は 宝形造り ミニサイズ(同上)
庫裡の前 桜の古木 夏の葉に(同上)
留守家墓所 五輪の塔は 見当たらず(同上)
山門の 電球懐かし その笠も(光明寺)
鐘楼は 入母屋造り 拳固なり(同上)
秋空に 気分爽快 お釈迦様(同上)
本坊も 本堂並の 大伽藍(同上)
真新し 大真窟は 多宝塔(同上)
登廊には 開山堂の 六角が(同上)
岩谷堂 伊達家の墓所が 境内に(同上)
伊達分家 四千石の 墓石群(同上)
三ヶ月 暮らした家並 岩谷堂(同上)
奥州市 古き時代の 名が消えて(同上)
鐘楼は 見晴台の 風情あり(駒形根神社)
社務所かと 思えば妙な 神楽殿(同上)
山門は 竜宮門に 鐘を釣る(法輪寺)
紅葉樹 茅葺き屋根に 色添える(有珠善光寺)
感嘆す 北海道の 茅葺きに(同上)
蝦夷最古 有珠善光寺 国史跡(同上)