役場の仕事、結局はコネ…?

縄文遺跡の発掘調査の仕事について

 年金の収入だけでは生活がままならず、何かアルバイトをしようと、横手市のハローワークを訪ねたところ、横手市文化財保護課が「発掘調査補助員」を募集していた。前々から関心のあった仕事で、生まれ育った場所にも近く、これは天職ではないかと応募を決めた。調査する遺跡が縄文遺跡と知り、なおさら興味がひかれた。令和2年(2019年)11月、「北海道・北東北の縄文遺跡群」がユネスコの世界文化遺産に登録されて、日本の古代史が世界中に知られることになった。北海道は5ヶ所、青森県は8ヶ所、岩手県は1ヶ所、秋田県は2ヶ所が選ばれたのである。世界遺産に登録する前に、8ヶ所の遺跡は見学していたが、5ヶ所が残っていて、紀行文の執筆も完成していない。

 秋田県で登録された縄文遺跡は県北にあるので、県南の横手周辺にも大きな遺跡があるものと発掘に対する期待も膨らんだ。久々に履歴書を書き、謙虚な気持ちで面接に臨んだが、結果は不採用となった。どんなに情熱があっても、仕事は相手があってのことでお先真っ暗となった。横手市役所の採用にに関しては、「コネ」がないと無理と聞かされていたので、完全な「出来レース」にはまったことになる。体裁を取り繕うため、ハローワークに募集をかけたようにしか見えず、不採用となっても不満は消えない。69歳になって嫌な思い出が刻まれてたが、縁がなかったと諦めることにした。発掘調査の仕事は、宝探しをするような夢があるが、その価値を知らず廃棄されるのが殆どである。

 北東北には、縄文時代から続く古墳時代の遺跡もあって、岩手県の奥州市には本州最北の前方後円墳である「角塚古墳」が発見された。昭和60年(1985年に国の史跡に指定されて保存されている。横手市では、国道107号線のバイパス工事に際して円墳の「蝦夷塚古墳」が発見されて調査が行われた。玉類・刀子・土師器などの副葬品が出土したが、円墳は壊されて田んぼになってしまった。角塚古墳とは対照的な遺跡に対する古墳の末路を哀れに思うだけである。

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