酒の短句 111句
酒飲めば ただ朧なる 春の夜(以降二・三十代作)
酒飲めば 近所の悪口 父と母
酒飲みの 礼儀は一つ 朗らかさ
酒に酔い 戯れ過ぎる 年の暮れ
酒を飲み 語り過ぎたか 山話し
酒よりも 酔わせてくれる 李白の詩
酒のため 給料大半 消える夏
酒飲まぬ 秋も楽しき 読書かな
酒瓶が ゴロゴロしたり 秋の寝間
酔いてまた 犬に等しき 立ち小便
酔い過ぎて 虚ろに消える 粋な酒
酔い醒めぬ 朝の景色に 夏の月
酔っぱらう 自分の顔は 他所の人
酔えばまた わが心根は 助べえに
浮かれては 身が軽くなる 春の酔い
浮かれては ろくなことなし 秋の酒
深酒に 乱れて哀し 梅雨の朝
深酒や ろくな朝なし 梅雨の明け
湯豆腐を 味わうよりも 今日は酒
湯豆腐に 白菜入れて 雪見酒
秋田では 酒飲む人は 友達に
秋の酒 静かに遠き 月を見て
目覚ましや 一つで足りぬ 春の酔い
花見酒 度が過ぎるなり 二日酔い
ただ酒を たらふく飲むは デブ親父
屁をふりて もろみが出たり 二日酔い
アル中と 呼ばれて嬉し 月見酒
世の中の 暮らしに飽きて 月見酒
千鳥足 飛んで夢見る 浮世かな
しみじみと 飲む酒もなし 秋の暮れ
バーボンの 酔いも淋しき すすき野は
美少年 五合飲んでは 年も暮れ
思い合う 心は一つ 雪見酒
一滴も 酒飲まぬ夜は 月一度
酒飲めば 聞く立場なる 不惑かな(以降四・五十代作)
酒飲めば 車は鞘の 無い刀
酒飲めば 忘年会は 無礼講
酒飲みの 豹変ぶりは 虎変では
酒の席 俺が俺がの 鍋奉行
酒に酔い 伸ばし恥ずかし 鼻の下
酒あらば 女は要らず 山の秋
酔っている 自分は夢の 主人公
酔っている 自分は哀れな 籠の鳥
酔うほどに 君遠ざかる 秋の夜
酔い心地 いつも歌うは かぐや姫
一人酒 楽しみ一つ 一句詠む
一人酒 毒か薬か 秋の夜
淋しさや 酒が友なり 秋の暮れ
淋しさも 自由なりけり 月見酒
夜の華 酒が入れば 水入らず
夜ごと飲む 酒も淋しき 秋の暮れ
真夏でも 毎日湯豆腐 二合酒
真っ直ぐな 字を書けぬなり 酒に酔い
秋田人 酒と女が 大好きで
秋雨や 朝湯朝酒 日曜日
気持ち良く 飲む酒酔える 春の暮れ
気前よく 金を使いし 紅灯に
人の和は 酒席の数と 馬鹿話
家焼けて 自棄のやん八 ヤケ酒を
今日もまた 生かされている 酔いは醒め
義理立てて 飲むも哀れな 慰安会
旅終えて 一人借間で ハバキ飲み
入り浸る 店無き夜や 四日市
しみじみと 飲む酒深し 花の春
適量が 妙薬となる 二合酒
丁度良い 二合の酒が 春の酔い
毎夜来る 客は憎めぬ 酒友かな
友と我れ 一方通行 酒淋し
居酒屋の 名より聞こえは 酒家が良き
生きている 今朝の不思議さ 二日酔い
咲いて散る 老舗のクラブ ひいき筋
里に下り 飲めや歌えよ 山男
春来るや 酒は静かに 身をめぐり
手を合わせ 大吟醸酒 感謝する
雨の日は 檀家参りの 繁華街
寄り道も 月夜は楽し 手には酒
七北田 ふと思い出す 春の酒
何とする 親子二代 酒浸り
角瓶が 二日も持たぬ 秋の夜
語る友 一人もいない 秋の酒
我がままに また輪をかける 酔い深さ
さりげなく 飲み干す酒や 月見酒
滅び行く 一歩手前の 月見酒
長居して 月見の後は 千鳥足
傾ける グラスに写る 窓の月
笑うほど 酒は楽しき 酔いとなる
外国へ 行く金も無し 雪見酒
誕生日 昨日と同じ 二合酒
無添加の 酒が飲みたや 蔵の中
降る雪や 酒は心の ホッカイロ
立ちションや 気分は最高 融ける雪
旨くない 地酒も有りし 不意の店
地ビールや 地元が飲まず お蔵入り
四合酒 飲んで生き活き 年の暮(以降六・七十代作)
四合酒 やっと飲み干し寝る夜かな
二日酔 朝を失う 愚かさや
二日酔い 二度と御免だ 古希となり
血圧の 薬飲みつつ 酒も呑む
薬飲み また酒を飲む 夕月夜
不味くても そのうち慣れる 酒の味
水よりも 安い酒呑む 年の暮れ
川反や 百花繚乱 遠い日々
降る雪や 飲んでいる夜が 人の華
飲む酒は 命を伸ばす 点滴で
ほろ酔いは 明日を生きる 糧となる
誘われて 楽しい酒や 花の舞
ぱらぱらと 降る雪眺め みきで飲む
月一度 行けたら良いと みきの店
好きな歌 カラオケになく 嘆き節
万札の 消えゆく先は 夜の街
銀座でも 飲んだ思い出 遠き灯よ