写句集31

寺院・神社その5 短句(俳句・川柳)

銀杏の葉 すべて枯れ落ち ジュータンに(有珠善光寺/寺院・神社201) 67

石仏や 三百年の ミズナラに(同上)

丘の上 龍神堂が 鎮守社で(同上)

大岩に 記念の詩歌 記されて(同上)

園内は 新たな石仏 安置され(同上)

晩秋の 内浦湾は 物憂げに(同上)

廃仏で 禄なき寺や 新天地(大雄寺)

霊屋の 隣りになぜか 大兜(同上)

様々な 童の石像 赤帽子(同上)

新しき 社務所に千鳥 三重に(伊達神社)

近頃は 鐘撞かぬ寺 都会流(海雲寺)

品川へ 役行者は 宗派超え(同上)

鐘楼の 横に保育所 認可外(光福寺)

新築の 社務所の建屋 湯の恵み(湯沢神社)

境内は 参道のみが 雪が消え(樽前山神社)

円空の 観音仏が 御神体(同上)

雪帯びた 樽前(さん)が 電線に(同上)

三官寺 廃寺になるも 再興し(等澍院)

創建の 面影残す スモモの木(国泰寺)

赤屋根の 三分の一 白い雪(同上)

馬産地に 馬頭観音 拝み観る(同上)

殿内は 絵画彫刻 龍づくし(同上/寺院・神社202) 67

境内で バラサン岬 思い見る(同上)

宝塔の (ぶつ)()(しゃ)()(とう) 空に映え(同上)

今日もまた アミリタテイセイ カラウンと(正行堂)

銅板の すがる破風屋根 ジャンプ台(同上)

奇妙かな 納骨堂は ガラス張り(同上)

庫裡の裏 崖の土留めが 全面に(同上)

梵鐘は 行く年来る年 鳴らされて(天徳寺)

陸屋根の 住職宅は 禅の外(同上)

狛犬や 雪の石段 注意せと(北門神社)

境内の 眺めに街と 宗谷湾(同上)

雪道に 車の轍 下馬もせず(倶知安神社)

神門の 随身像は 神隠し(同上)

あら何と 社務所は洋風 二階建て(同上)

薄緑 銅板葺きが 鮮やかで(小樽水天宮)

箱物の 四階建てが 社務所とか(同上)

小樽港 フェリーらべんだあ 懐かしき(同上)

眼下では コンテナ船が 荷卸しす(同上)

狛犬が 台座外され 遺棄される(小樽住吉神社)

港町 小樽に相応し 神社かな(同上)

銅像を 仰ぎて学ぶ 人物も(同上)

手水舎に 龍頭多し 水も神(同上)

せたけ石 ジャイヤント馬場 優に超え(同上)

石段の 片方だけが 雪の山(同上)

定めなき 命がゆえの 神頼み(同上/寺院・神社203) 67

本殿の 住吉造り 屋根だけで(同上)

参道の 広さが神社 物語る(北海道神宮)

手水舎は 四月初旬も 冬休み(同上)

蝦夷の国 新一宮に 神宮が(同上)

五千坪 十六棟の 社殿建つ(同上)

静内は 桜並木が 恋しかり(静内神社)

石段の 先に重なる 石鳥居(室蘭八幡宮)

殿内で ホンダワケとの ご対面(同上)

俗称は 鯨八幡 富の糧(同上)

貧相な 三吉神社の 佇まい(同上)

気がかりは 社務所の屋根に 浮かぶ錆び(同上)

鉄の街 冷えても神社 そのままに(同上)

参道の 直線上に 門三つ(大慈寺)

寺の池 防火用水 兼ねている(同上)

コロナ下で 地蔵も顔に マスク掛け(同上)

入母屋が 三棟並ぶ 壮観さ(同上)

大銀杏 六百年で 二度移植(同上)

本殿は 鞘堂の中 保護されて(大館八幡宮)

石像は 地元大館 秋田(いぬ)(同上)

狛犬の 目線の先に 秋田犬(同上)

木が切られ 大文字焼き 見えるなり(同上)

木の文化 樹海ドームが 市の名所(同上)

太子堂 どんな縁で 真宗に(浄応寺)

庫裡の名が 住職邸に 消え失せし(同上)

集落の 活力祭り 豊作で(菅原神社/寺院・神社204) 67

拝殿は ちょっと小さく みすぼらし(角間川諏訪神社)

理趣経の 真言を聴く 経塚碑(新山神社)

巌窟に 大師の好きな 夏の風(同上)

修験道 裸詣りが 名残りかな(同上)

庫裡の中 老僧一人 何思う(蔵光院)

文庫跡 桜植えられ 記念樹に(同上)

本丸の 跡を偲ぶも 絵図もなく(同上)

庭園に 茶室はあるが 名ばかりに(同上)

秋風や 枯山水の 庭は荒れ(同上)

田ノ神の 石碑の下に 鬼二匹(沼館八幡神社)

神木の 道のり遠き 銀杏かな(同上)

線路際 鐘楼門が 秋空に(専念寺)

重文の 仏像九体 収蔵庫(勝常寺)

小島には 宗像神社 祠建つ(同上)

創建時 七堂伽藍 壮大で(同上)

大銀杏 六百年の 語り()で(新宮熊野神社)

壁がなく 秋風抜ける 長床(ながとこ)を(同上)

丸柱 木肌そのまま ()(じゅう)()本(同上)

熊野まで 参らなくても 三神を(同上)

黄葉の 銀杏気になる 壮大さ(同上/寺院・神社205) 67

壁破れ 旧宝物庫 寺跡に(同上)

鳥居横 春待ち欅 今は秋(同上)

注連縄や 関脇級の 五メートル(同上)

会津路は まほろばの里 寺社多し(同上)

蔵の街 喜多方らしき 本堂で(安勝寺)

後付(あとづけ)か 観音堂の 拝み()(ぎょ)(同上)

庫裡の庭 二木の松が 睦ましく(同上)

緑色 全面錆びた 庫裡の屋根(願成寺)

ブットレア 誰が植えしか 池に咲く(同上)

庭園の 池の一部は 池塘風(同上)

鐘楼の 屋根には桜 葉も花か(同上)

開山の (りゅう)(かん)律師 名ばかりに(同上)

常福寺 閼伽井薬師に 再登拝(常福寺)

秋景色 気になり再度 常福寺(同上)

仁王像 不動尊より 偉く見え(同上)

参拝者 三万坪に ちらほらと(同上)

とち葺きの 屋根にモミジや 松の枝(白水阿弥陀堂)

貧乏の 底を叩いて 知る涅槃(同上)

現世の 極楽浄土 阿弥陀堂(同上)

反り橋の 朱塗り色褪せ 池澱む(同上)

悠々と マガモの群れが 水を切る(同上)

本堂に 修行大師の 像篤く(高蔵寺)

大屋根に 伝統的な 懸魚掲げ(同上)

数十基 五輪の塔が 円墳に(同上)

杉木立 名も無き堂宇 姿見せ(同上)

本尊の 観音菩薩 代替わり(同上)

美観なる 県文超えて 重文に(同上)

展望所 民家の瓦 秋空に(同上)

本堂に (いろどり)添える 大銀杏(台宿薬王寺)

境内は ドウタンツツジ 赤垣根(同上/寺院・神社206) 67

随身は 仁王に比べ 物静か(八槻都々古別神社)

境内社 殆ど手付かず 荒れるまま(同上)

イチョウの木 黄葉緑葉 鮮明に(同上)

古風なる 社殿が多く 社務所まで(同上)

仁王像 野ざらしのまま お出迎え(徳善院)

本堂の 紅葉は五分の 染まりかな(同上)

善智殿 苔に紅葉の 庭見事(同上)

地蔵尊 真っ赤な紅葉(もみじ) 菊も添え(同上)

鐘楼に 珍しきかな 注連縄は(同上)

七福神 みんな笑顔の 宝船(同上)

不動滝 錦の中を 二段落ち(同上)

福美屋の 茶屋で味わう きのこそば(同上)

紅葉色 開運橋の 欄干も(同上)

モミジには ドウタンツツジ 敵わざる(同上)

千本の 紅葉織りなす 寺景色(同上)

供養墓も 染まる紅葉に 癒されし(同上)

えびす様 足湯に菊見 楽しそう(温泉神社)

神楽殿 (げい)()の踊り 見たきもの(同上)

行く秋や 温泉街の 散策を(同上)

驚嘆す 七堂伽藍 六堂宇(勝行院)

山門の 仁王は巨像 逞しき(同上)

山門の 裏に赤青 仁王像(同上)

中庭の 樹木の色や 様々に(同上)

本堂の 横には堂宇 棟続く(同上/寺院・神社207) 67

境内の 屋根には湯本 湯の煙り(同上)

鐘楼は 慎ましやかに 建ちてあり(同上)

門だけで 五つ数える 寺の規模(同上)

庭園は 数寄屋造りの 茶室付き

修行僧 枯葉を集め 芋を焼く(同上)

大師堂 開基徳一 祀ればと(同上)

真新し 千体地蔵 道半ば(同上)

境内は 白河の関 国史跡(白河神社)

空堀に 城の機能を 見る思い(同上)

境内で 古木を探す 楽しみも(同上)

目に浮かぶ 芭蕉と曽良の 安堵感(同上)

収蔵庫 重文二点 所蔵せし(薬王寺)

荒池や 弁財天社 紅葉色(同上)

鐘楼は 鐘は消え失せ 荒れるまま(同上)

庫裡はなく 住房だけが 建つだけで(同上)

向拝の 龍の彫刻 柱巻く(飯盛山)

明治以降 堂の所有は 個人とか(同上)

白虎隊 少年剣士 十九墓(同上)

只見川 断崖の上 懸け造り(円蔵寺)

赤べこや 尻を向けたり 円蔵寺(同上)

良寛の 五言三十句 詩碑となり(同上)

晩年の 良寛像と 円蔵寺(同上)

住宅に 寺の宝物 資料館(観世寺)

般若面 下に微笑む 仏像が(同上)

壁面の 空いたスペース 写真集(同上)

鬼婆の 石像哀れ 顔が消え(同上/寺院・神社208) 68

薬師堂 毘沙門堂は 蔵造り(同上)

怪石や それぞれの名に 偲ぶ石(同上)

鬼婆の 岩屋の主は 杉となり(同上)

子の如く 胎内くぐり 試しみる(同上)

芭蕉翁 休み石には 苔が生え(同上)

本堂は 改装されて 古さ消ゆ(如来寺)

宝形の 名無しの堂宇 棟並べ(同上)

住房は 慎ましきかな 寄棟で(同上)

山門は (なき)(りゅう)止んだ 瓦屋根(恵日寺)

何となく 無住の様子 ()(にち)()は(同上)

てふ姫の 碑文と供養碑 ピカピカで(同上)

不可解な 小野小町の 歌碑を見る(同上)

何よりも 紅葉の眺め 胸を打ち(同上)

祭神は オオモノヌシに 名が変わり(金刀比羅神社)

大釜や ()(だて)神事が 水無月に(同上)

岐阜産の 堆積岩が さざれ石(同上)

境内に 明治期からの 幼稚園(同上)

雪降らぬ 常磐の寺 寂しくも(法海寺)

鐘楼に 添い寝するなり 地蔵尊(同上)

寺院でも 古木は全て ご神木(同上)

本堂の 前だけ僅か 雪景色(康善寺)

新築の 諸堂の彫刻 奇抜なり(同上)

境内に 樹木無いのが 変に見え(同上)

鐘楼の 横では蓮如 鐘を聴く(同上)

珍しや 薬師こけしの 名の堂は(興徳寺)

庫裡の横 白亜の土蔵 冬空に(大蔵寺/寺院・神社209) 68

稚児桜 稚児には見えぬ 樹齢かな(同上)

大銀杏 枝振り見るも 冬だけで(同上)

住房は 禅宗離れ 大衆化(同上)

神楽殿 誰も舞わず 雪が舞う(土津神社)

宝蔵に 重文の太刀 収蔵か(同上)

参道は 五百メートル 杉並木(同上)

霊廟は 神門透塀 シンプルに(同上)

石造の 灯籠門は 比類なき(岩角寺)

石段の 仁王石像 ユニークに(同上)

静さや 太古の岩に 水の音(同上)

向拝の 彫刻精緻 総ケヤキ(同上)

冬枯れの 木々に広がる 堂の屋根(同上)

参道は 奇岩怪石 展示会(同上)

弁天に 山王鳥居 不釣り合い(同上)

奇妙なる 落ちない石に 観世音(同上)

坐禅石 修行僧消え たたみ石(同上)

根には石 抱き込み杉に 薬師堂(同上)

地図になき (いわ)角山(づのさん)に 感無量(同上)

縁結び 胎内くぐり 丸み帯(同上)

雪被る 狛犬まさに 白獅子で(石都々古和気神社)

石段の 下には街の 雪景色(同上)

雪を踏む 長き石段 冷や汗も(同上)

神木は 折れても篤く 保護されて(同上)

額殿の 軒には絵馬は 皆無なり(同上)

大わらじ 掲げる場なく 木の幹に(飯坂八幡神社/寺院・神社210) 68

記念碑は アラビア太郎 物語(大森神社)

山門の 屋根には桜 床に雪(西法寺)

鐘楼の 仁王の像も 花見かな(同上)

置物の 蛙の親子 度胆抜く(同上)

住房は 禅寺離れ 庶民的(同上)

寺の名を ツツジ刈込 仕立てたり(福泉寺)

福泉寺 桜の盛り 再拝す(同上)

花雲に 朱色の架橋 主人公(同上)

本堂の 屋根にも桜 色を添え(同上)

聳え建つ 五重塔も 花化粧(同上)

足元の 池には何と 水芭蕉(同上)

予想外 鐘楼門で 桜見ん(南陽院)

向拝の 彫刻眺め 目が点に(同上)

住房の 外観一応 和風なり(同上)

参道の 並木は地元 秋田杉(水神社)

祭神は 水に因んで ミヅハノメ(同上)

御神体 耐火保管庫 遷されて(同上)

神木は 創建当時の 杉()(ほん)(同上)

合気道 創始者の墓 境内(天寧寺)

花の下 阿弥陀如来が ()()()(いん)(同上)

境内は 桜十本 咲き競う(同上)

杉の木と 枝垂れ桜が 青空に(同上)

蘆名家や 角館にて 滅亡す(同上)

狛犬の 阿形の像は 口赤く(角館神明社/寺院・神社211) 68

珍しや 亀の甲羅に 神社名(同上)

天高く 枝垂れ桜が 咲こうとは(同上)

街並みは 所せましと 桜咲き(同上)

慈恩寺の 七堂伽藍 また巡る(慈恩寺)

山門に 昔の茅を 思い見る(同上)

本堂の 茅の屋根には 苔生えん(同上)

阿弥陀堂 桜の若木 花添えて(同上)

少しずつ 知名度上がる 慈恩寺は(同上)

杉林 三重塔 壊すなよ(同上)

寅さんの 腰掛け石も 名所かな(華蔵院)

長屋門 横にはシャッター 野暮に見え(同上)

初見する 赤アジサイに 一目ぼれ(観音寺跡)

食堂(じきどう)や 精進料理 目に映る(法道寺)

高床の 濡れ縁擬宝珠 興味ひく(同上)

多宝塔 木部黒ずみ 色褪せし(同上)

本坊は 門塀構え 厳かに(同上)

蓋の上 弘法井戸に ポンプ置く(同上)

拝殿は 朱塗りに白壁 長屋風(櫻井神社)

本殿の 前の幣殿 擬拝殿(同上)

国宝を 訪ねる旅も 九合目(同上)

神輿庫は 旧鐘楼を 改造し(同上/寺院・神社212) 68

絵馬殿は 長イス置いた 休憩所(同上)

黒阿形 赤吽形(うんぎょう)で 可愛い目(同上)

梅乃橋 今は桜の 名所かな(高津宮)

時節知る 七夕飾り 富亭に(同上)

庭園は 仁徳の名を アピールし(同上)

五世紀を 難波時代と 思い見る(同上)

絵馬殿は 舞台造りで 眺め良し(同上)

(くすのき)に 不動明王 いきり立つ(報恩院)

庫裡観れば 天龍寺庫裡 ミニ版で(同上)

境内は 狭きながらも 清楚なり(同上)

赤鳥居 稲荷の定番 (こま)(ぎつね)(生國魂神社)

社殿には 白提灯の コマーシャル(同上)

殆どの 社殿コンクリ 情緒なく(同上)

草餅で 抹茶一服 お玉茶屋(同上)

境内社 稲荷神社が 二社も建つ(同上)

(きた)方向(むき)の 八幡宮は 名は読めず(同上)

神門は 気にもされない 丹塗り色(同上)

国分寺 偲ぶに遠し 遺構なく(摂津国分寺)

鐘堂は コンクリートの 朱と白で(同上)

笠脱いだ 修行大師は 日焼け顔(同上)

入母屋に 八角塔が 合体す(鶴満寺)

本殿の 軒にエアコン 室外機(露天神社/寺院・神社213) 68

浄瑠璃の 曽根崎心中 絵馬堂に(同上)

石柱に 大阪空襲 爪痕が(同上)

コロナ禍で 門前通り 閑古鳥(同上)

冠木の 門を出でれば ネオン街(同上)

初夏の風 鐘楼堂の 鐘を撞く(瀧谷不動明王寺)

法楽は 同行二人 思う時(同上)

さりげなく 六角堂や 夏木立(同上)

稲荷社と 思えば鎮守社 赤く塗り(同上)

朱と白の 伽藍連なる 惣拝所(同上)

観音の 回廊奇抜 弓形で(同上)

回廊の 屋根はさながら ブーメラン(同上)

鮮やかな 山の緑に 多宝塔(同上)

三宝は 仏法僧の 守り神(同上)

明王殿 二階食堂 肉うどん(同上)

(いち)(がん)で 気脈通ずる 不動尊(同上)

涼しさや 一筋たれる 不動滝(同上)

大伽藍 コンクリートの ジャングルで(崇禅寺)

石庭や 禅寺らしき 佇まい(同上)

様々な 歴史の宝庫 崇禅寺(同上)

造花でも 無いよりましな 地蔵堂(同上)

哀れかな 遠城(えんじょう)兄弟 だまし討ち(同上)

八角の 納骨堂に ()(よう)(もん)(同上)

西門は さすが木造 薬医門(同上)

狛犬に 尻を向けたり 馬の像(中島惣社/寺院・神社214) 68

将軍の 名には無縁の 神々で(同上)

神輿蔵 網目の扉 センスなく(同上)

予期もせぬ 芭蕉の句碑に 感無量(同上)

参道に 岩根のケヤキ 四・五本が(上宮天満宮)

神輿庫は 土蔵板張り 美観なり(同上)

本殿の 手前の幣殿 切妻で(同上)

庭園は 鉢花並べ 簡素化を(同上)

菅公や 守護天神で 猫に化け(同上)

神楽所に 堂の面影 花頭窓(同上)

社務所にも 寺の名残りや 薬医門(同上)

スダジイの 神木樹齢 幾つかと(同上)

庭園の ソテツは夏に 葉を伸ばし(安岡寺)

不動尊 小滝背にして 涼し顏(同上)

隠れ住む 雰囲気があり 山の寺(同上)

不憫かな 叶観音 人も来ず(同上)

石垣に 雑木(ぞうもく)繁る 般若塚(同上)

目に余る 社務所は長い 二階建て(野見神社)

手水舎に 粋な計らい 生け花が(同上)

祭神は 商売繁盛 えべっさん(今宮戎神社)

大国社 切妻造り シンプルに(同上)

稲荷社に 鳥居の無きが 珍しき(同上)

念押しや 本堂裏で 銅鑼(どら)叩く(同上)

()()(よろず) 七福神に 及ばざる(同上)

あの世には 極楽はなし 闇の空(大阪閻魔堂)

仁王像 イメージ変わる ポーズかな(一心寺)

鐘の音に 念仏混じる 一心寺(同上/寺院・神社215) 68

石仏や 通天閣が 添景に(同上)

井戸跡に 真田幸村 抜け穴が(同上)

真新し 南門赤き 薬医門(同上)

夢と見る 野崎詣りの 屋形船(慈眼寺)

青葉降る 竜宮門の 白アーチ(同上)

薬師様 いつも(やっ)()を 左手に(同上)

崖を背に 役行者が 防護せし(同上)

休憩所 有ればと願う ところてん(同上)

禅寺の 雰囲気庫裡の 越屋根に(同上)

見渡せば 大阪平野 ビル群も(同上)

絶えたるは 野崎の鐘の 撞き放し(同上)

夏雲や 本堂の屋根 (しゃちほこ)に(同上)

眼下では グランドだけが 広く見え(同上)

石段や 上った景色 期待せん(楠公寺)

狛犬は およそ石造 軽んじられ(四條畷神社)

手水舎の 奥に楠木 聳え立つ(同上)

楠木に 大楠(だいなん)(こう)の 五輪塔(同上)

箱物の 信徒会館 閑古鳥(同上)

展望所 木々が伸びきり 休憩所(同上)

飛び地には 楠木正行 墓所があり(同上)

墓前には 丸みを帯びた 向拝が(同上)

墓所の中 五百余年の クスノキが(同上)

本尊の 観音菩薩 秘仏とか(長栄寺)

憧れの 慈雲尊者の 像拝す(同上)

寺の規模 総本山は 如何(いかが)かと(同上/寺院・神社216) 68歳

名僧の 慈雲尊者を 百人に(同上)

駒樟(こまくす) 樹齢千年 御神木(同上)

古ぼけて 太っ腹減る 戎像(同上)

御神木 コンクリ上の クスノキで(少彦名神社)

神社名 祭神名が 理想的(同上)

大阪の ビルの谷間に 神宿り(同上)

山門に 親鸞蓮如 相対す(本願寺津村別院)

切妻の 山門七間 シンプルに(同上)

現社務所 六階建ての ビルデング(坐摩神社)

神輿庫か 案内もなき 社殿建つ(同上)

狛犬は 気魄万点 牙をむき(同上)

回廊の 木造見ては ホッとせし(同上)

人道具 何でも神と 感謝せん(同上)

芭蕉の死 案内板のみ 御堂筋(真宗大谷派難波別院)

(しょう)(しん)() 屏風仕立てに 展示され(同上)

念仏と 題目の間に 蝉の声(同上)

山門の 上はホテルで 唖然とす(同上)

江戸時代 博労稲荷 崇められ(難波神社)

陸屋根の 社務所珍し 二階建て(同上)

凉求む 社務所の木陰 手水舎に(御津八幡宮)

国天記 樹齢千年 大蘇鉄(妙国寺/寺院・神社217) 68

七伽藍 朱色と白で 調和され(同上)

鐘楼は 鉄骨造り 冷やかで(同上)

大都市は 京都除いて 焼け野原(同上)

腑に落ちぬ 十一烈士 攘夷討ち(同上)

梵鐘は 供出されず 江戸のまま(本願寺堺別院)

白壁の 信証堂に イチョウの葉(同上)

堂よりも ソテツが高く 夏の空(同上)

明治初期 堺県庁 この寺に(同上)

城郭を 彷彿させる 塀と堂(同上)

儀式殿 結婚式は 下降気味(大鳥大社)

絵馬殿に 寄贈少なく 壁白し(同上)

夏草や 参集殿の 客となり(同上)

珍しや 斎館も無き 大社かな(同上)

侍は ヤマトタケルが 元祖かな(同上)

一礼し 一句一憂 一宮(同上)

根上りの 大楠木は 御神木(同上)

驚きは 登竜門の 絵馬の数(大阪天満宮)

池の茶屋 すべらんうどん 名物と(同上)

星合の 池の石には 親子亀(同上)

本堂と 同朋会館 道路経つ(真宗大谷派天満別院)

神社名 明治維新で 豹変す(素戔嗚尊神社)

それなりに 社観整う 旧村社(同上)

真新し 社務所に思う 地域の和(同上)

懐かしき ガマの穂見るや 池の側(興徳寺)

巨大なる 准胝(じゅんでい)観音 夏空に(同上)

縄張られ びんずるさんに 近寄れず(大聖観音寺/寺院・神社218) 68

不動堂 真言宗の 宗派色(同上)

切妻の 庫裡は驚く 長さなり(同上)

クスノキが 諸堂の甍 覆うほど(同上)

大楠は 八百年の 樹齢とか(同上)

(みなみ)(もん) 垂れ幕の紋 ()(さん)(きり)(同上)

境内の 福祉会館 寺子屋か(同上)

広大な 境内四方 築地塀(同上)

大阪の 寺社参拝は エンドレス(阿倍王子神社)

阿部の姓 ややこしきかな 五種もあり(安倍清明神社)

清明の 人物像は 脚色化(同上)

山門の 有刺鉄線 奇妙なり(正圓寺)

大師堂 地蔵と合体 入母屋に(同上)

越屋根の 庫裡に残りし 風格が(同上)

マニ車 釈迦堂前に 八連個(同上)

瓦落ち 屋根にはシート 地蔵堂(同上)

鐘楼も ブルーシートで 屋根覆い(同上)

正門の 提灯一つ 風に飛び(同上)

奥ノ院 展望台と ()()()(てん)(同上)

建てかけの 老人ホーム 廃墟化す(同上)

幕末は 新選組の 屯所とか(源正寺)

夏盛り 鐘を撞くより 息をつく(大念寺)

色褪せた 阿形吽形 寂しげで(宝積寺)

室町の 待宵の鐘 誰を待つ(同上)

近年の 堂宇殆ど コンクリで(同上)

桃山の 文化の塔は 墓だらけ(同上)

閻魔堂 重文六躯 安置せし(同上)

秀吉の 腰掛石や 出世石(同上/寺院・神社219) 68

ワンパターン 弁天池に 弁天社(同上)

明治から オオヤマヅミが 祭神に(酒解神社)

真新し 拝殿四方 吹き放し(同上)

客殿の 庭木は伸びて 暑苦し(観音寺)

住友家 大燈籠に 名を刻む(同上)

涼しさを (せき)(さく)ガード 放生地(同上)

歓喜天 観音凌ぐ 人気さで(同上)

戦火でも 役割果たす 土蔵かな(同上)

石段に アジサイ一株 咲き残り(同上)

西門の 石垣の塀 城らしき(同上)

稲荷社の 新たな鳥居 習合化(同上)

コンクリの 法雲殿に 違和感も(正法寺)

旧庫裡が 寺務所に変わり 煙り消え(同上)

中門の 先に本堂 屋根拝む(同上)

堂内の 阿弥陀三尊 仏間なく(金蓮寺)

善悪や 阿弥陀の光明 境なし(同上)

経堂は 観音堂かと 錯覚す(同上)

(こん)蓮寺(れんじ) 禅寺らしき 道場も(同上)

暑き日も 国宝建築 めぐる旅(同上)

境内に 聳える巨木 クスノキか(同上)

手抜きした 時代もありき 鬼瓦(同上)

西東 浄土真宗 他八派(東本願寺)

千畳は 有るか無かの お東さん(同上)

名ばりの 京都五山 万寿寺に(万寿寺)

客殿の 庭園寂し 池もなく(同上/寺院・神社220) 68

東福寺 北大門は 四度目に(東福寺)

柱間 通天橋が 絵の如く(同上)

緑なす (せん)(ぎょく)(かん)に 臥雲橋(同上)

経蔵の 輪転書架を 見てみたき(同上)

幾つある 通天橋の 丸柱(同上)

振り向けば 竜吟庵に 腰砕け(同上)

懐かしき (しょう)(せい)(えん)が 掌に(東本願寺枳殻邸)

知恩院 国宝の屋根 円山に(知恩院)

門前で 玄関眺め 合掌す(大徳寺龍光院)

越屋根の 小さな庫裡に 固唾飲む(同上)

濡れ縁の 庇に珍し 裳階風(八坂神社)

(すい)(べい)は 重文のまま 寂しげで(同上)

重文の ()殿(でん)の提灯 三重に(同上)

南庭は 近年作の 石庭で(圓徳院)

茶室から 眺める庭に 秋の風(同上)

床の間の 金箔塗りに 鶴と松(同上)

襖絵は へんちくりんな 竹描き(同上)

掛軸や 奇怪な魚 血の池に(同上)

白洲には 蓬莱境の 趣が(同上/寺院・神社221) 68

木の茂る 枯山水も 乙なもの(同上)

展示室 鳥獣戯画 模造絵が(同上)

唐門の 古さと対比 白き塀(同上)

慰霊碑に 船の錨と プロペラと(大阪護國神社)

御神木 十三本の クスノキで(天神ノ森天満宮)

淀殿の 安産祈願 子安石(同上)

名に聞きし 茶の湯の水は 見当たらず(同上)

古ぼけた 絵馬が一点 絵馬殿に(同上)

参道は クスノキ避けた 石畳(同上)

珍しき 阿吽の神馬 鳥居横(阿倍野神社)

手水舎は 狛犬口から 水を吐く(同上)

終の夢 一願一遂 敗者かな(同上)

武徳殿 親子の如く 千鳥破風(同上)

参道は 戸惑うような 擁壁に(光明寺)

吽形の 親指欠けて 痛々し(同上)

二王門 国宝めぐり 最後なり(同上)

修復の 終えし斗栱 美の極致(同上)

見渡せば 山の谷間に 家二軒(同上)

古池や 濁りの中に 魚影なし(同上)

石段の 上に本堂 安堵する(同上)

あら何と 鐘楼の中 鐘二つ(同上)

江戸の世に 昭和の鐘が 混じり入る(同上)

随分と 登って来たなと 下を見る(同上)

二階建て 板張り堂宇 校舎風(楞厳寺/寺院・神社222) 68

猿でなく 地蔵を滑らす サルスベリ(同上)

数多観る ()(ぎり)地蔵を 祀る寺(同上)

本尊の 薬師如来は 夏休み(同上)

花の寺 サルスベリのみ 花盛り(同上)

山里の 寺はゆるりと 時流れ(同上)

仏縁を 深めさせるや 蓮の花(同上)

仁王像 鎌倉期作 雄渾に(観音寺)

像共に いずれ重文 仁王門(同上)

庫裡寺務所 近年築の 和風なり(同上)

放し飼い ニワトリ数羽 庫裡の庭(同上)

護摩堂は 簡素な造り 不動堂(同上)

境外(げいがい)に 高速道路 橋脚が(同上)

境内に 水が流れぬ 無常橋(同上)

屹立す 観音杉は 注連縄が(同上)

鐘楼は 切妻造り シンプルに(同上)

大師堂 哀れなほどの 小堂で(同上)

一万本 アジサイ枯れた 花の寺(同上)

名が恥じる 成田不動は 木の祠(同上)

なげくかな 展望台は 名の如し(同上)

寺茶屋で 修行大師が お茶を乞う(同上)

大江山 鬼の人形 日本一(鬼嶽稲荷神社)

休憩所 雲海見えず 夏の霧(同上)

社務所前 国旗掲揚 神社かな(元伊勢皇大神社)

石段や 歴史の重み 自然石(同上)

脇宮の 流れ造りも 茅葺きで(同上)

境内社 八十五社と 驚異的(同上)

()(わか)()の 森の御庭に さざれ石(同上)

斎館の 入母屋の屋根 茅は消え(同上)

休憩所 切妻屋根は 苔葺きに(同上)

鳥居下 民家の屋根が 途切れなく(同上/寺院・神社223) 68

コロナ禍で 社務所は閉鎖 元気なく(元伊勢豊受大神社)

参道の 黒木鳥居は シンプルで(同上)

拝殿の 左右に脇宮 多賀と土(同上)

境内社 ()十一社と 遠慮気味(同上)

神楽殿 四面開放 わが好み(同上)

高台の 神社の眺め 大江街(同上)

ハート型 蓮の葉一面 放生地(石清水八幡宮)

南門の 朱色は北門 対比する(同上)

頼朝の ゆかりの松は 二代目と(同上)

稲荷社の 立板の壁 類なき(同上)

苔生した 石垣哀れ 坊の跡(同上)

坊跡に 神仏分離 嵐見る(同上)

石段の 茶店の廃墟 痛々し(同上)

神馬舎や 馬の不在が 愛護かな(同上)

競馬絶え 今や不要の 一ツ石(同上)

重文の 石燈籠は 門の先(同上)

酒樽や 伏見に混じる 灘の酒(同上)

昭和期の 南総門(みなみそうもん) 露払い(同上)

華麗なる 朱色に瓦 桧皮葺き(同上)

楼門の 左右に駄目押し 千鳥破風(同上)

眼が眩む 朱塗り鮮やか 社殿群(同上)

門の塀 信長寄進 築地塀(同上)

東西の 総門まるで 双子かと(同上)

神楽殿 屋根の補修が 雪に見え(同上)

宝塔や 破却されずば 国宝に(同上)

手水舎は 屋根は壊れて 水も無く(同上)

男山 案内板に 京の街(同上/寺院・神社224) 68

展望所 双眼鏡は 必需品(同上)

三川に 聳える秋の 愛宕山(同上)

竹林に エジソン記念碑 フィラメント(同上)

屋根壁が 破れた土蔵 目には毒(同上)

衰退の 一途をたどる 茶の湯かな(同上)

収蔵庫 門外不出 重文が(同上)

護国寺の 跡は空しき 薬師様(同上)

今もなお 水湧きいづる 石清水(同上)

坊の跡 整備がされず 竹藪に(同上)

父は宇佐(うさ) 子は鶴岡(つるがおか) 石清水(同上)

国史跡 再建されぬ 松花堂(同上)

鉄柵の 草庵跡は 空虚なり(同上)

ゼロ戦の エンジン展示 庭の中(飛行神社)

浄華堂 納骨堂の 名より良し(亀山本徳寺)

百寺には 真宗の寺 九ヶ寺も(同上)

茶所や 柵めぐらされ 名ばかりに(同上)

太鼓の() 未だ聞かざる 太鼓楼(同上)

北門は 寺で珍し 長屋塀(同上)

参道の 周辺塔頭 七ヶ寺も(同上)

姫路では 書写山(しょしゃざん)に次ぐ 大寺院(同上)

古墳期を 随身像が 偲ばせる(石切剣箭神社)

弓形の 粋な景観 廊下橋(同上)

拝殿を 凌ぐ立派さ 授与所かな(同上)

銘刀の 石切丸が 社宝なり(同上)

目を見張る 参道覆う アーケード(同上)

客殿は 新築ながら 古風さが(同上)

庭園は 築山池泉 粗造り(同上)

参拝者 社務所の規模を 左右する(同上)

稲荷社と 勘違いする 鳥居群(同上)

参拝者 口にはマスク 急ぎ足(同上/寺院・神社225) 68

(じん)()殿(でん) 神社における 護摩堂か(同上)

池の上 弁天でなく 水神社(同上)

幟には コロナストップ まけへんで(同上)

日本一 小さな寺務所 大佛寺(石切大佛)

謎多き 寺の歴史に 戸惑いも(千手寺)

鐘楼が 寺で最古の 堂宇かな(同上)

光堂 堂宇消えても 通称に(同上)

飛び地には 真言宗の 大師堂(同上)

授与所前 白洲に井戸は 奇妙かな(石切剣箭神社上之社)

コロナ禍の 影響なのか 社務所閉じ(同上)

御礼亀 (ほこら)の池 置物を(同上)

八代の 代の字違う どんな意図(同上)

茅は荒れ 利用もされぬ 茶室かな(同上)

生駒山 西の山中 寺ばかり(興法寺)

恵雲寺 古びた民家 寺の名が(同上)

奥ノ院 門柱だけが 渓流に(同上)

荒れ果てた 氷室の滝に 大師なく(同上)

蛇口より 細く落ちては (ぎょう)ならず(同上)

石垣の 苔に秋風 興法寺(同上)

よだれ掛け 見れば殆ど 地蔵尊(同上)

石鳥居 奥に山門 歓喜天(同上)

山門の 裏の堂宇は 物置に(同上)

庫裡の庭 草生い茂り 哀れさも(同上)

秋風や 古き卵塔 十一基(顕証寺)

切妻の 手水舎鐘楼 親子屋根(同上)

(きゅう)(ほう)() 御坊に恥じぬ 寺の規模(同上)

築地塀 まるで城郭 ()(ない)(まち)(同上)

北門は 江戸中期築 長屋門(同上)

桜咲く 庫裡の景観 想像す(同上)

珍しや 渡廊に五つ 花頭窓(同上/寺院・神社226) 68

帰化すれば 異国の神も 八百万に(許麻神社)

原っぱに 礎石が残る 塔の跡(河内国分寺)

丘の上 平屋住宅 寺務所かな(同上)

入口の 提灯外され 物静か(恩智神社)

新しき 社殿木造 文句なし(同上)

拝殿の 横には社務所 棟並べ(同上)

小さくも 築山池泉 絵の如し(神宮寺)

眼下には 八尾市街地に 茶畑も(同上)

何故ここに 空海大師 修行像(同上)

時の鐘 損も儲けも (つぶ)らかに(法楽寺)

梵鐘に (しょう)(ぼう)(りつ)の 声を聞く(同上)

住吉に 七堂伽藍 法楽寺(同上)

大屋根の 庫裡の庭には 彼岸花(同上)

御神木 創建当時の クスノキで(同上)

狛犬が 不動尊より 立派なり(同上)

山門と 墓のみ寺の 雰囲気が(大長寺)

オープンな 観音堂に 秋の風(七宝瀧寺)

修験道 厳しさよりも 山の幸(同上)

鐘楼の 屋根には花の アクセサリー(同上)

行者滝 役行者と 赤い橋(同上)

古墳群 輪をかけるかな 神社群(方違神社/寺院・神社227) 68

秋なのに モズは姿 現さず(百舌鳥八幡宮)

御神木 八百年も お勤めと(同上)

クスノキの 枝張り広く 目を覆う(同上)

神無月 賽銭箱に 泥棒が(同上)

ご利益も プレハブ授与所 期待薄(同上)

外香炉 無きが寂しき 大師堂(道明寺)

英文の 石碑が立つや 供養塔(同上)

楼門や 威風堂々 蘇り(同上)

境内に 土師氏支えた (はに)()(かま)(道成寺天満宮)

菅公の 遺品六点 国宝に(同上)

風変り 大成殿は 孔子廟(同上)

陶器製 (しら)太夫(だゆう)社の 狛犬は(同上)

クスノキの 樹皮の割れ目に 賽銭が(同上)

懐かしき 鳥居に先に 八幡(やはた)(かみ)(誉田八幡宮)

頼朝の 寄進の神輿 国宝に(同上)

宝殿の 棟に鳳凰 優美かな(同上)

境内社 稲荷とえびす 二社のみで(同上)

ドラえもん キティちゃんとが 絵馬殿に(同上)

危なげな 放生橋に アルミ柵(同上)

塔跡や 飛鳥の遺構 国史跡(野中寺)

秋風に 古墳石棺 晒されて(同上/寺院・神社228) 68

シンプルな 鐘楼こそが 古風なり(同上)

栗拾う 姿が消えた 庫裡の庭(同上)

金堂の 跡に宝塔 三基立つ(同上)

(えい)(そん)の 五輪塔(ごりんとう)だけ 巨大なり(西琳寺)

(とう)(しん)() 二十八トン 巨石なり(同上)

門前は 日本最古の 街道で(同上)

手水舎は 靖国神社 寄進とか(伴林氏神社)

社務所のみ 国登録を 外されて(同上)

秋風や (しとみ)()開き 護摩堂に(葛井寺)

以前から 思うは(ふじ)の字 紛らわし(同上)

(じゅ)(じゅつ)()の 韓国(からくに)の名を 思い出す(辛国神社)

コロナ禍で 人も神社も 辛い国(同上)

箕面山 予期せぬ寺に 感服す(瀧安寺)

絵の如し 鳳凰閣に 太鼓橋(同上)

客殿に 思うはいつも 宿泊で(同上)

台風の 爪痕思う 畳替え(同上)

富くじは 箕面の富が 始めとか(同上)

襖絵に 美女と乞食 仙人が(同上)

掛軸も 生け花もなき 玉座かな(同上)

マネキンの 山伏衣装 杖はなし(同上)

切妻の 法筐堂(ほうきょうどう)は 倉庫風(同上)

塔あれば 七堂伽藍 瀧安寺(同上/寺院・神社229) 68

切妻の 大黒堂は 朱塗り色(同上)

行者堂 拝殿奥殿 厳かに(同上)

コンクリの 堂宇が無きが 魅力的(同上)

先ず拝む 弁財天を 格子から(西江寺)

新風や 聖天閣で ヨーガかな(同上)

色づいた 紅葉眺める 寺務所前(同上)

本堂の 屋根で狛犬 逆立ちす(同上)

関西に 荒神堂は 多く建つ(花山院菩提寺)

境内の 国宝級が 展望所(同上)

秋の空 偉観を放つ 有馬富士(同上)

眼下には (せん)(じょう)()()の ダム景色(同上)

本坊は 本山らしき 佇まい(同上)

入母屋の 鐘楼スリムな 四つ柱(同上)

御廟所や 宮内庁ては 関知せず(同上)

花なくも 宝篋印塔 秋もみじ(同上)

手を合わす 一願大師 茅の庫裡(無動寺)

釈迦阿弥陀 観音薬師 五位不動(同上)

鐘撞けば 今日の幸運 尽きたりか(同上)

宝形が のっべらぼうな 大師堂(同上)

寂しきは ユースホステル 閉館で(同上)

秋の空 花折山に 銀河の湯(同上)

庭園の 紅葉(もみじ)色づき 三分ほど(宝厳院)

珍しや 白洲玉石 苔は茶に(同上)

別荘の 面影残す 茶室かな(同上)

塔頭も ノルマありそう 互助会に(同上)

獅子岩の 苔はハイマツ 山景色(同上/寺院・神社230) 68

大モミジ 下の枝から 色付いて(同上)

数寄屋には 大正ロマン 書院かな(同上)

空き地には 現代風の 羅漢像(同上)

曲水に 雅な庭の 基本見る(同上)

茅葺きに 似合わぬ軒の 裳階屋根(同上)

園路まで カエデとモミジ 並木かな(同上)

中門の 茅葺き切妻 シンプルで(同上)

山門が 寺の出口で 戸惑うや(同上)

勅使門 今は哀れな 駐車場(天龍寺)

紅葉が 社殿の朱色と 競い合い(同上)

天龍寺 七福神の 福禄寿(松巌寺)

裏門で 信長塀を 見るなんて(慈済院)

江戸期築 本堂と庫裡 壮観で(同上)

天井で 弁天護る 雲龍図(同上)

弘源寺 七福神は 多聞天(弘源寺)

真新し 木造美し 客殿は(三秀院)

久々に (ぶっ)(そく)(せき)と ご対面(同上)

境内に 西山(せいざん)艸堂(そうどう) 料理店(妙智院)

メニュー見て 湯どうふ遠き 夢と消ゆ(同上)

水涸れて 蓮の葉哀れ 放生池(同上)

本堂に 七福神の 赤不動(寿寧院)

茶房あり 抹茶提供 寿寧院(同上)

何故なのか 拝観謝絶 地蔵堂(永明院)

恵比寿さま 七福神の 大トリに(同上)

塀越しに 眺める庫裡に 秋の風(臨川寺/寺院・神社231) 68

崇拝す 作庭の神 夢窓様(同上)

独身を 貫く清僧 宗教家(同上)

お隣の モンキーパークに 長い列(櫟谷宗像神社)

石橋の 欄干ユニーク 比類なき(本照寺)

面白き コンクリートに 木の破風(同上)

庭園の 紅葉色づく 池の上(同上)

鐘楼の 裏に民家の 屋根瓦(同上)

鬼瓦 前に名木 松の根が(同上)

高台で 境内一望 街も見え(同上)

黄葉の 桜静かに 社務所前(三輪神社)

奉納の 酒樽減りて 二銘柄(同上)

神輿には 往時の栄え 比例する(同上)

ムクノキや ケヤキの巨木 境内に(同上)

面白く 生きる(ふくろう) 修行僧(普門寺)

普門寺は 室町末期 歴史絵に(同上)

真宗の 宗派争い 全国区(教行寺)

真新し 妙見堂が 真正面(本行寺)

玄関の 臥龍の松や 頼りなく(同上)

塔よりも ソテツは伸びて 逞しき(同上)

珍しき 春日神社の スサノオは(利倉春日神社)

庫裡の前 みかんが実り 人目引く(真光院)

秋空に 屋根(ひるがえ)る 多宝塔(愛染堂)

朱の堂に こげ茶の塔が 時代分け(同上)

クスノキや 樹齢百年 御神木(大江神社/寺院・神社232) 69

神器庫の 目録あれば 親切か(同上)

大阪の 清水坂や 人はゼロ(清水寺)

鐘の音 あべのハルカス 届くかと(同上)

秋の空 天女を見たり 阿弥陀堂(四天王寺)

ああ何と 五重塔は 八代目(同上)

五穀断ち 死出を悟るか 名僧は(同上)

楼門の 南大門の 像いずこ(同上)

本堂は 大阪万博 置き土産(庚申堂)

地蔵尊 四天王寺で 最古とか(同上)

本尊は 鎌倉期作 阿弥陀さま(満福寺)

蔵の町 増田に恥じぬ 満福寺(同上)

多宝塔 八角笠の こけし顔(石応禅寺)

石応寺 釜石観音 (ほん)()なり(同上)

白雪に 両部鳥居の 赤抗す(月山神社)

御神木 スギとケヤキの 競い合い(同上)

雪囲い ブルーシートは 手抜なり(同上)

神社では 太鼓叩いて 神を呼ぶ(同上)

狛犬が 愛くるしいな 綿帽子(横山八幡宮)

宮古では 深雪珍し 参道に(同上)

半世紀 過ぎては社殿 様変わり(同上)

本殿の 鋼製フェンス 野暮に見え(同上/寺院・神社233) 69

港町 (こん)()()神社 外せない(同上)

本堂は 舎利(しゃり)礼文(らいもん)で ご挨拶(南陽寺)

哀れなり 庫裏住房は 閉ざされて(同上)

庭園の 雪は解けずに 風まかせ(同上)

寄棟に 住房兼ねた 薬師堂(観音寺)

不動堂 像のみ残り 隅に立つ(同上)

三門の 上に諸堂 横並び(真称寺)

門前に 奥ゆかしきや 漁師小屋(同上)

新しき 埠頭に倉庫 船もまた(尾崎神社)

(だい)(てん)() 公園広場 寺史跡(八雲神社)

山裾に 普通の家が 社務所なり(同上)

鬼瓦 石仏小さく 見えるほど(圓満寺)

五葉松 見事な枝も 気にされず(同上)

参道の 杉の巨木に 目を見張る(越喜来八幡神社)

大王は 七千年の 樹齢とか(同上)

(かん)(まん)() 最も近き 芭蕉(あと)(蚶満寺)

雨漏りも 檀家頼みの 寺となり(同上)

石垣に 神明造り 赤い屋根(湊大杉神社)

平屋建て 社務所の壁は 番屋風(同上)

鍬ヶ崎 半世紀過ぎ 知らぬ街(同上)

松の木と 背丈並べる 塔の屋根(石応禅寺)

拝むほど うなぎ供養に 縁はなく(同上)

鎌倉の 梵字観るなり 徳治の碑(同上)

山門の 桜の蕾 子の如し(同上)

桜咲き アーチ以外は 花に消え(同上)

珍しさ 過ぎて衰退 目に涙(釜石大観音)

参道を 奥羽本線 遮断する(正源寺/寺院・神社234) 69

新しき 草鞋が似合う 仁王像(同上)

材木の 産地に相応し 本堂で(同上)

庫裡前に 所帯思わす 鯉のぼり(同上)

重文の 結髪(けっぱつ)土偶 寺宝とか(同上)

鮭川の 土手には桜 花見頃(月蔵院)

名水に 飲み水用の 蛇口立つ(同上)

庭園の 沢には優美 水芭蕉(同上)

大量の 人形奉納 地蔵堂(同上)

仁王像 赤塗り褪せて 物静か(同上)

健脚に 仁王の足を さするかな(同上)

観音の 甍に桜 定番で(同上)

珍しや 出羽百観音 一堂に(同上)

参道に 出店の如く 授与所(じゅよしょ)建つ(鳥越八幡神社)

夫婦杉 樹齢は不明 御神木(同上)

篤農家 松田何某 土舞台(同上)

木々は伸び 展望イマイチ 裏山は(同上)

城跡に 東屋一棟 他に無し(同上)

境内社 (あお)()神社に 明神社(同上)

社務所前 トタンの囲い 哀れかな(同上)

山門が 登山終点 (かめ)に杖(猿羽根山地蔵堂)

手水舎の 茅葺き屋根は 目の保養に(同上)

梵鐘は 本堂の軒 小さ目に(同上)

山頂で 見惚れる眺め 最上川(同上)

屋根付きの 土俵はあれど 休止中(同上)

満開の 東屋の中 閑古鳥(同上)

里宮は 田園地帯の 森陰に(薬莱神社)

入母屋の 授与所と社務所 調和せん(同上/寺院・神社235) 69

赤く塗り イメージチェンジ 鐘楼は(同上)

手水舎も 鐘楼と同じ 赤塗りに(同上)

仁王像 宗派意識は 影潜め(龍川寺)

地蔵尊 石造鋳造 並び立ち(同上)

山門の ブロック塀に 肩落とす(祇劫寺)

コウヤマキ 巨大な故に 国天記(同上)

庫裡の前 車無いので 留守かなと(同上)

巨樹の寺 ウラジロガシや マルミガヤ(同上)

戒名や 長さに仰天 十五文字(同上)

歌碑となり 温泉小唄 音刻む(温泉神社)

石鳥居 柱のサポート 健気なり(同上)

ひっそりと 社務所佇む 湯のけむり(同上)

噴石や (ゆの)(かみ)大石(のいし) 湯の始め(同上)

鳴子では 最初のホテル 神社側(同上)

寺社拝し その土地柄が 見えて来る(瑞雲寺)

死ぬ時は 格好良くと 只管打坐(同上)

前庭の ツツジが咲いて ウェルカム(陸奥国分寺)

竹林は 手入れされねば 竹藪に(同上)

地蔵尊 時代に合わせ 赤マスク(同上)

円墳の 御山古墳に 社殿建つ(伊達神社)

神木の イチョウの横に 何故か鐘(同上)

境内に 社務所ありても 朱印なし(同上)

神木は 幹に目のある 老杉(ろうさん)で(磯良神社)

境内社 金精様は 逞しき(同上)

遠野ほど 河童伝説 広がらず(同上)

六体の 河童の像は 人の(なり)(同上)

鳥居より 高き鐘楼 境内に(加茂神社/寺院・神社236) 70

青屋根の 平屋の社務所 弱々し(同上)

神輿庫に 神輿の写真 掲示して(岩崎八幡神社)

鹿島様 巨大な藁の 道祖神(同上)

それぞれの 信ずる神や 板碑群(同上)

山門や 塀なき様に 親しみが(蚶満寺)

また涙 惣助翁の 物語(同上)

惜しまれて 旅立つ芭蕉 蚶満寺(同上)

廃仏の 首なし地蔵 記念品(同上)

大曲 この歳になり 寺社めぐり(大川寺)

境内は 林地広大 予想外(同上)

本尊は 大日如来 継承す(同上)

老木の 柳細々 支えられ(同上)

狛犬や 唯一江戸の 置き土産(大曲諏訪神社)

宝物庫 よくよく見ると 神輿庫で(同上)

継目無し 石大鳥居 日本一(烏帽子山八幡宮)

烏帽子山 千本桜 境内に(同上)

祭神に 菅公雷神 追祀され(同上)

碑文より 桜の花に 目が移る(同上)

烏帽子岩 梵字彫られた 磨崖碑で(同上)

板倉の 建屋気になる 花見かな(月岡神社)

笠松や 雨宿りには 良き高さ(同上)

祭神の 松平父子 知る神社(同上)

客殿と 庫裡の建屋は 昭和風(清涼寺)

碑文には 佐竹南家の 塋域(えいいき)と(同上)

危うげな 三重石塔 (りん)はなく(同上)

桜には 鳥海山の 純白が(同上)

(しょう)(でん)() 最も近き 梅の寺(正伝寺)