写句集39

桜の名所 短句(俳句・川柳)

見上げれば 天守を隠す 花化粧(広島城/桜の名所1) 60

望楼で 毛利輝元 花眺む(同上)

花雲に 工事現場の クレーン立つ(同上)

城内は 四百余本 花盛り(同上)

見渡せば 桜は疎ら 濯纓(たくえい)()(縮景園)

紅白の 源平桜 一つ木に(同上)

園内で 恨めし顔の 紅枝垂れ(同上)

大蘇鉄 今日は桜に 席ゆずる(同上)

花の先 路面電車が 橋を行く(猿猴川)

被爆後の 猿猴橋に 花の帯(同上)

水辺へと ソメイヨシノは 花伸ばす(同上)

猿猴は 伝説上の 河童とも(同上)

名の由来 後醍醐天皇 愛でたとか(醍醐桜)

哀れかな 注連縄(もど)き ロープ張り(同上)

小社建ち 醍醐桜に 神宿る(同上)

蜘蛛の巣を 思わす如く 枝を張る(同上)

花びらの 淡いピンクが 妖艶で(同上)

隣り合う 二世桜も 大桜(同上)

エドヒガン アズマヒガンは その一種(同上)

見渡せば 他にも桜 山里に(同上)

石垣に 伸びる桜が 仮櫓(津山城)

復元の 城に驚く 桜かな(同上)

花の上 備前櫓が 浮いて建つ(同上)

門跡も 桜尽くしの 眺めかな(同上)

復元を 待つばかりかな 門櫓(同上)

菜の花や 下草に咲き 色添える(同上)

石碑先 鶴山館も 花の上(同上)

屋根瓦 花の上漕ぐ 船首かな(同上)

下見ても 上眺めても 花ばかり(同上)

屋台立つ 弁天橋に 花見客(上野公園)

池周囲 ソメイヨシノが 殆どで(同上)

屋根錆びた 茶店の中は 閑古鳥(同上)

青空に 気持ち良さそう 咲く桜(同上)

赤い橋 赤い東屋 池に映え(同上)

懸命に 頑張る花の 出店かな(涌谷城/桜の名所2) 61

赤橋の 池に散りては 花筏(同上)

城の下 桜並木の 江合川(同上)

城跡や 我れのみ愛でる 八重桜(大衡城跡)

西方寺 五重塔は 花化粧(定義如来西方寺)

新緑と 桜の間 塔聳え(同上)

咲く桜 花火と同じ 数と見る(松江城)

不揃いな 桜の並木 櫓奥(同上)

花道に 復元されし 中櫓(同上)

桜より ぼんぼり多し 武具櫓(同上)

本丸の 園路は桜 並木道(同上)

四面を 桜彩る 天守閣(同上)

天守閣 ソメイヨシノの 花の上(同上)

見苦しき ライトアップの 鉄塔は(同上)

望楼へ 一番乗りの 花見かな(同上)

花の雲 ちょっといまいち 松江城(同上

眼下では 松も高見の 花見かな(同上)

花咲くも 古木名木 見当たらず(同上)

俯瞰する 出店は粋な よしず掛け(同上)

小天守 花を抱き込み 坂の上(松山城)

夕焼けに 市街地染まり 花霞む(同上)

筒井門 他より早く 花は散る(同上)

開花ずれ 今が盛りの 八重桜(同上)

垂れ幕の 葵の紋に 散る桜(同上)

咲き残る ソメイヨシノに 手を合わす(同上)

西堀や 花筏ほど 花散らず(同上)

サトザクラ 乾櫓と 丈比べ(同上)

か細くも 花逞しき サトザクラ(同上)

本壇で 松と桜が 覇を競う(同上)

幾重にも 並ぶ櫓に 花の雲(同上)

立ち入れぬ 櫓が多く 無念さも(同上)

城塀の 見越し桜 本壇に(同上/桜の名所3) 63

花見終え 残るは城の 月見かな(同上)

岡城の 散り行く桜 見て止まぬ(岡城跡)

時遅し 桜の馬場は 葉桜に(同上)

西ノ丸 桜が主の 御殿跡(同上)

石垣の 上下に咲きし 里桜(同上)

御殿跡 桜の側に 菜の花が(同上)

物見台 今も変わらぬ 山並みが(同上)

本丸の 桜は遠く 谷隔て(同上)

菜の花が 普請方跡 なぞらえる(同上)

清廉に 潔白加えた 山桜(同上)

三ノ丸 ソメイヨシノは 葉桜に(同上)

荒城の 月より今日は 桜かな(同上)

城西に 懐かしきかな 阿蘇の山(同上)

天空の 城の眺めは 桜付き(同上)

御廟所の 跡は淋しき 桜散り(同上)

桜より 目には新緑 鮮やかで(同上)

振り向けば 桜の花に 大手門(同上)

臼杵城 鳥居にぼんぼり 花まつり(臼杵城)

白黒の 畳櫓に 添う桜(同上)

時の音 ()(しょう)(やぐら)は 鐘楼に(同上)

天守跡 石垣残り 桜咲く(同上)

城塀の カーブ美し 縦横に(同上)

黒壁の 天守に映える 桜かな(松本城)

名城や 月と桜に 極まれる(同上)

風流な 月見櫓は 寄棟で(同上)

(うずみ)(ばし) 先には桜 大天守(同上)

内堀に 徐々に広がる 花筏(同上)

天守から 三百本の 桜見ん(同上)

紅白の 横幕の中 姥桜(同上)

花雲と 呼ぶのは難き 埋橋(同上)

内堀は 桜並木と 松の木々(同上)

咲く桜 枯れたケヤキに 温度差が(同上)

左右には 桜と松の 太鼓門(同上)

花桃が ひと際目立つ 庭の中(諏訪高島城/桜の名所4) 64

花の咲く 天守の前は 人だかり(同上)

天守には 六羽の千鳥 花の上(同上)

背の高き ケヤキも花見 天守下(同上)

花雲が 城と宅地を 二分する(同上)

緩やかに 天守石垣 水面へと(同上)

(すみ)(やぐら) 隅に置けない 美しさ(同上)

櫓門 枝垂れ桜の 花まとう(上田城)

二ノ丸に 屋台が並ぶ 花見規模(同上)

徳川の 二度の城攻め 花と散る(同上)

尼ヶ淵 花の上には 西櫓(同上)

水堀の 両土塁には 桜道(同上)

三ノ門 枝垂れ桜が 寄棟に(小諸城)

櫓風 小諸神社の 社務所あり(同上)

城北に 高峯山の 姿見え(同上)

見る桜 ソメイヨシノが 七割で(同上)

天守台 三層三階 跡偲ぶ(同上)

花の上 青空の中 わた雲が(同上)

石垣の 上は殆ど 花の雲(同上)

流鏑馬(やぶさめ)や 遠い日となる 桜馬場(同上)

固有種の 八重紅枝垂れ 白混じる(同上)

唯一の 復元城郭 武器庫とは(同上)

庭園は ツツジが既に 咲き初め(甲府城)

里桜 松の緑りに 反目す(同上)

花は散り 煙雨にむせぶ 古城かな(同上)

水堀の 中心部まで 花は伸び(龍岡城跡)

青空に 鬱憤(うっぷん)晴らす 桜かな(同上)

戦なき 龍岡城は 無二の城(同上)

大手門 櫓の桜 半ば散り(仙台城跡/桜の名所5) 65

政宗の 像に後ろに 姥桜(同上)

城下では 博物館に 桜咲く(同上)

登城路に 花咲き乱る 桜坂(船岡城跡)

下山路は スロープカーで 花見かな(同上)

花の丘 ソメイヨシノが 首座を占め(同上)

六色の 花の競演 城の跡(同上)

本丸の 跡には白き ヤマガクラ(同上)

花の間に 映る街並み 五千石(同上)

ぼんぼりが ライトアップに 様変わり(同上)

大手門 松より桜 待つばかり(本荘城跡)

紅枝垂れ 一本だけが 意地を張る(同上)

二ノ丸に 出店が並び 客絶えず(同上)

枝振りに 桜の個性 ありありと(同上)

望楼の 本丸の館 花の上(同上)

桜より 古木の松が 上を行く(同上)

真っ白な 鳥海山に 花も笑み(同上)

花雲に 宝形の屋根 模擬櫓(同上)

並木道 アスファルトより 石畳み(同上)

茶室風 東屋ゆかし 花の下(同上)

見てくれと 言わんばかりに 桜咲き(同上)

目に映える 水堀に咲く 桜かな(鶴岡城跡)

咲く花や 十四万石 うわの空(同上)

稲荷社の 赤鳥居まで ピンク色(同上)

水堀の 前後を桜 埋め尽くす(同上)

花波に 屋台連なる 城の跡(同上)

大手門 二重の屋根に 添う桜(出羽松山城跡)

可愛さに 妖艶秘める 紅枝垂れ(同上)

広場には 屋台が並ぶ 賑わいで(盛岡城跡)

台座のみ (おんな)(はりつけ) 悲話の跡(大森城跡)

城北に まだ残雪の 秋田駒(同上)

本丸の 跡には花の 雄物川(同上)

ツツジの木 紐で縛られ 冬のまま(金沢柵跡)

花見客 殆ど見ずや 山の柵(同上)

気取らない 花美しき 山桜(同上)

花雲の 下は後三年 古戦場(同上)

二ノ丸の 石垣飾る 紅枝垂れ(同上/桜の名所6) 65

城制覇 ソメイヨシノの 樹勢かな(同上)

花の上 南昌山や 箱ヶ森(同上)

持続する 夢は尊き 城めぐり(同上)

散る花火 見るが如くの 大枝垂れ(同上)

南部氏の 二十万石 花に化け(同上)

花開く 一歩手前の 並木道(三十三間道路桜並木)

七キロに 三千本の 桜あり(同上)

馬小屋は ホテルと見紛(みまご)う 豪華さで(同上)

静内の 開拓の母 お登勢の碑(同上)

大手橋 先には桜 咲く景色(鍋倉城跡)

花の下 民話の里の 街と山(同上)

花の間に 早池峰山と ご挨拶(同上)

南部家の 墓所に幼き 桜咲く(同上)

花見頃 花代が無く 東屋で(古城山)

武家屋敷 桜の殆ど 俯瞰する(同上)

角館 街を眺める 姥桜(同上)

今は無き 料理屋の名が ぼんぼりに(横手城)

桜咲き 今も人気の 模擬天守(同上)

横手城 年々不況 花まつり(同上)

四・五軒は 有った思う 茶屋消える(同上)

廊下橋 桜の花に 赤く映え(会津鶴ヶ城)

七層の 天守聳える 花の上(同上)

花の雲 ブルーシートが 顔を出す(同上)

井戸に散る 花の命も 定めかな(同上)

麟閣の 桧皮の屋根に 紅枝垂れ(同上/桜の名所7) 69

氏郷の 茶の湯を偲ぶ 花見かな(同上)

桜の木 千眼千手 ある如し(同上)

花の枝 天守の上下 挟み咲く(同上)

天守閣 武士と桜 重ね見る(同上)

花見客 平和な時代 陣を張り(同上)

時鐘楼 ここにも桜 咲く誇る(同上)

花の上 稲荷神社の 屋根三つ(同上)

石垣や 打込み接ぎに 枯れた蔦(同上)

北出丸 門に代わりて 咲く桜(同上)

滝桜 ピンクの水が 垂れ下がる(三春滝桜)

滝桜 ライトアップで 休みなし(同上)

大詩人 草野心平 詩碑も立つ(同上)

垂れ下がる 優美な姿 貴婦人か(同上)

里人は 代々続く 桜守(同上)

柵の外 菜の花も咲き 色映える(同上)

丘の上 ソメイヨシノの 並木道(同上)

滝桜 三百本の 子孫持ち(同上)

三春城 桜が迎える お城坂(三春城跡)

登城路に 三百年越す 紅枝垂れ(同上)

芯止めの 桜が哀れ 天守台(同上)

大広間 客もないのに 花盛る(同上)

三春には 定宿とする 温泉も(同上)

貸切で 花見するなり 三春城(同上)

桜より 悲劇の城や 二本松(二本松城跡)

搦手(からめて)の 土塁の桜 弱々し(同上)

群立ちの ソメイヨシノが 山を成す(同上)

堀切は 今は桜の 花盛り(同上)

仰ぎ見る 石垣高し 天守台(同上)

本丸の 谷一面が 花の雲(同上)

城跡の 桜の花に 智恵子抄(同上)

二本松 花のパノラマ 天守跡(同上)

箕輪門 松と桜が 内外(うちそと)に(同上)

出店にて 花見だんごを 懐かしむ(同上/桜の名所7) 69

三ノ丸 地元名士の 像が立つ(同上)

スイセンと 桜の花が シンフォニー(烏帽子山公園)

不揃いな 桜咲くなり 並木道(同上)

石段に ぼんぼり飾り 花の空(同上)

烏帽子山 千本桜 湯の煙り(同上)

金次郎 本を片手に 桜見る(同上)

別居でも 夫婦桜の 名がありき(同上)

東屋で 一人花見は 様ならず(同上)

見渡せば 南陽市街 花の先(同上)

見る桜 我れと同じき (よわい)生き(同上)

焼きそばが 屋台で売られ 手が伸びる(同上)

無機質な 天守と語る 桜かな(上山城)

鐘楼に 天守重なる 花ま雲(同上)

花見客 数えるほとが 東屋に(同上)

水堀に 桜の波と 北櫓(山形城跡)

花の絵が 高麗門の 開き戸に(同上)

義光(よしあき)の 馬も驚く 桜かな(同上)

二ノ丸で 天上競う 桜たち(同上)

石垣の 残石展示 散る桜(同上)

本丸の 橋の桜も まだ若く(同上)

城の花 最上氏栄華 見る思い(同上)

幹折れて 哀れな桜 二・三本(湯沢城跡)

自生する ヤマザクラあり 古城跡(同上)

池に咲く 桜の眺め 格別で(前森公園)

晴天の 去年の桜 何処へやら(本荘城跡)

ハバヘラの アイスも並ぶ 屋台前(同上)

小走りに 道行く美女も 花見客(同上)

花雲に 微かに見える 日本海(同上)

憧れの 仕事の一つ 桜守(同上)

庭園の 池は昔の 佇まい(浅舞公園/桜の名所9) 69

浅舞の 昔の桜 目に浮かぶ(同上)

(ざっ)()釣り 大会遠き 水堀は(同上)

城門の 跡から始まる 花景色(横手公園)

花雲は 年々縮小 横手城(同上)

花の雲 踏むが如くの 展望所(同上)

六十年 眺め変わらぬ 横手川(同上)

牛沼や 桜の花と 太鼓橋(同上)

分相応 歳も相応 花見かな(同上)

両岸は 桜並木の 横手川(同上)

ベニシダレ ソメイヨシが 鐘楼に(同上)

堰堤の 石垣三段 城風に(同上)

花咲くも ガードレールは 雪で折れ(大納川堤桜)

花見客 影さえ見えぬ 大納(だいな)(がわ)(同上)

廃屋が 桜並木に 水を差す(同上)

大納川 ぼんぼり飾り 鯉のぼり(大森公園)

ぼんぼりの 飾り淋しや 客はなし(同上)

桜林は 下草薄く 眺め良し(同上)

東屋で 城の攻防 空想す(同上)

城跡や 千本桜 親城主(同上)

池の側 枝垂れ桜が 良く似合う(同上)

雪消えて 田んぼに桜 帯を成す(阿気の桜)

県南で 真人公園のみ 屋台立つ(真人公園)

花の上 残雪白き ()(むろ)(さん)(同上)

酒飲まぬ 人も楽しむ 花見かな(同上)

花の下 運動会は 遠い夢(同上)

たらい漕ぎ 真人公園 風物詩(同上)

入口の 百年桜 仁王門(同上)

咲く桜 功名(こうみょう)(づか)の 供花(くげ)ならん(金沢公園)

景政の 矢抜き逸話 知る根杉(同上)

二百本 ソメイヨシノが 殆どで(同上)

本丸の 館の跡は 謎のまま(同上)

花の下 鞍掛山の 古戦場(同上)

桜咲く 展望台の 目前に(平安の風わたる公園/桜の名所10) 69

陣場跡 桜並木で 保全せし(同上)

人ぞ知る ものの哀れは 散る花に(太平山/桜の公園1) 62

行く人も 来る人もまた 桜色(同上)

花見には 先ずは一杯 吟醸酒(同上)

訪ね見る 最優先は 桜かな(同上)

六十路過ぎ 悟らず散るか 山桜(同上)

あるがまま 髪も命も 散る桜(同上)

記念碑が 二つに割れた 哀れ見る

旅に生き 旅に死なんや 花の春(同上)

酔って行く 自分が見ゆる 花見かな(同士)

毎日が 一期一会の 桜かな(同士)

早春は 寝ても覚めても 花想う(黒川の桜並木)

飾らずに 歩いて見たき 桜道(同上)

菜の花に 桜並木の ハーモニー(楡木の桜並木)

甘やかし 育てやれては 花咲かず(同上)

酒飲まぬ 人も酔い知れ 花の宴(熊谷堤桜)

菜の花も 同時に愛でる 土手の下(同上)

適当に 楽しんでいる 花見かな(同上)

遠く見て 近付いて見る 桜かな(桜山公園)

花盛り 閉じた食堂 哀れなり(同上)

滝の石 特産品の (さん)()(せき)(同上)

散る桜 見知らぬ人と 惜しみけり(同上)

紅一点 赤紫の ツツジ咲き(同上)

めぐる日々 めぐらす思い 花の雲(同上)

散る桜 惜しむが如く 昇る月(同上)

着飾りて 歩く姿も 桜かな(日立平和通り)

一キロの 桜のトンネル 駅前に(同上)

咲く桜 日立空襲 供養かな(同上)

頂上に 展望台の (はな)(やぐら)(かねみ公園)

雨降りの 花の散り際 哀れなり(同上)

中規模の 遊園地まで 園内に(同上)

散る花に 命重ねる 齢かな(同上)

六品種 二千百本 園内に(同上)

桜咲き 花のさじきに シバザクラ(静峰ふるさと公園/桜の公園2) 64

里桜 ボリュームのある カンザンで(同上)

数々の 恋を重ねる 八重桜(同上)

散り際の 花美しき 姥桜(同上)

名も知らぬ 桜並木が 現場前(小諸きのこセンター前)

恋すれば 切なさ一重 散る桜(大法師公園)

山桜 散りて深まる 若葉かな(同上)

桜木は 山王神社で 途絶えたり(同上)

神社前 スイセンが咲く 杉木立(同上)

ポスターに 合わせ撮影 葉桜を(同上)

花の下 沼の水草 青々と(洞源湖)

枯れ葦に ソメイヨシノの 花並木(同上)

小径には スイセン桜 花の帯(さくらさく(小径)

千曲川 鴨の親子も 花見かな(同上)

花の奥 田園越しに 浅間山(同上)

寝不足も 花を見るなり きりりとし(臥龍公園)

花に寝て 気付けば既に 散りにけり(同上)

池の上 ボートの花見 格別で(同上)

柔肌に 未練たらたら 花見酒(西公園)

花見客 覚束なきや 千鳥足(同上)

潟の上 花と鳥海 青空に(南極公園)

浄蓮寺 書院の屋根に 花揺らぎ(同上)

花の波 南極船が 帆を上げる(同上)

純白の 鳥海山に 添う桜(同上)

白瀬(のぶ) 地元にまたや 花咲かす(同上)

花見には 松竹梅の 酒が合う(同上)

めぐり来る 春の楽しみ 先ずは花(勢至公園)

石灯籠 鳥海山が 円窓に(同上)

(ふく)()では 桜並木が 国道に(吹浦の桜並木)

花咲いて 初めて知るが 草木なり(同上)

団子より たこ焼きを食う 花見かな(日和山公園/桜の公園3) 65

屋台には 六角灯台 日和山(同上)

池の上 北前船に 桜かな(同上)

花を見て うたた寝をする 日和かな(同上)

紅白の 枝垂れ桜が 抱き合わせ(同上)

旧道に 桜並木は 折れ曲がり(三崎公園)

愛車にも 桜の花を 見せてやる(同上)

マイナーな 至極の桜 芋川に(芋川つづみ河川緑地)

芋川の 桜並木に 木の小舟(同上)

池を行く 遊覧船でも 花を見る(高松公園)

桜には 平和祈念像 家族連れ(同上)

ヤマザクラ 我れと同じく 一人者(同上)

行く人も 来る人もまた 桜かな(同上)

うっすらと 姫神山が 花の上(同上)

ちょっと行く 横手周辺 花盛り(雄物川中央公園)

花に酔い 本を枕に うたた寝る(同上)

清貧や 旧家の土間で 花と寝ん(同上)

曲り屋に 寄り添う桜 暖かき(同上)

茅葺きの 屋根に相応し 桜かな(同上)

風流を 踏み(たが)えまじ 花の下(同上)

ふるさとは 今も元気に 桜咲き(浅舞公園)

熱燗が 面倒くさし 花見酒(横手公園)

土手に咲く 花も絵になる 横手川(同上)

石和川 桜並木に 鯉のぼり(宿河川公園)

歌謡ショー 終ればまつり 閑古鳥(八塩いこいの森)

八重桜 七百本も まだ若木(同上)

花の上 雪形十景 八塩山(同上)

去年より 雪形少なし 八塩山(同上)

黄桜や カツパのいない 八塩山(同上)

花は三重 艶美なるかな 黄桜は(同上)

記念碑で 再び思う 花の価値(真人公園)

客を待つ 時間惜しまる 花見頃(同上)

花盛り ソメイヨシノは 五十年(同上)

花の上 まだ残雪の 山聳え(真人公園/桜の公園4) 67

赤鳥居 中に桜の 花拝む(綾織の桜並木)

邸内の 桜並木に ()(しき)(がみ)(旧池田氏庭園)

桜には 雪見灯籠 ヒヨドリが(同上)

格好よく 生きんと思う 桜木も(同上)

これも夢 あれも夢よと 散る桜(同上)

洋館は 和洋折衷 添う桜(同上)

花見する 雪見灯籠 異なもので(同上)

払田城 ソメイヨシノが 語り部に(払田真山公園)

柵の湯の 黄色い屋根が 花雲に(同上)

平安の 昔重なる 花見かな(同上)

(しょう)()(だい) 古地図にも無き 石碑立つ(同上)

花の果て 姫神山の 春霞(同上)

土手の下 護岸ブロック 野暮に見え(桧木内川)

白波に 重なり合うや 花の波(同上)

下流には 姫神山の 春姿(同上)

二キロほど 橋を挟んで 桜道(同上)

目を閉じて 花の妖精 空想す(同上)

上流に 古城山(ふるしろやま)の 桜見え(同上)

みっき見た 桜並木を 俯瞰する(古城山)

姥桜 今年も勝手 開花せず(同上)

一眼に 枝垂れ桜の 武家屋敷(同上)

散りて知る 桜の花の 華やかさ(同上)

程々に この世を生きる 桜かな(八乙女公園)

新緑の 玉川土手も 悪くなし(同上)

桜には 雪形描く 秋田駒(同上)

山頂で 偲ぶは古城 謎の跡(同上)

花の下 伸ばしてみても 散る桜(同上)

わが浄土 登山温泉 花見旅(同上)

朽ちかけた 枝絡み合う 桜かな(同上)

古城跡 偲ぶ桜に 故事見えず(同上/桜の公園5) 67

侘び寺の 哀れを癒す 桜咲く(観音寺)

鐘楼と 枝垂れ桜が 寺の華(同上)

ひと月の 桜前線 惜しむ(横手公園)

桜咲く 沼の上には 太鼓橋(横手公園)

懐かしき D51広場 桜咲き(同上)

牛沼や 太公望も 花見かな(同上)

数えれば 桜を愛でて 半世紀(梨木公園)

池の上 太鼓橋には 鯉のぼり(同上)

花咲いて 注目される 桜かな(同上)

中島の 二連の橋は 桜いろ(同上)

桜咲き 水仙も咲く 花見かな(同上)

鯉のぼり 桜の滝を 上るかな(同上)

白壁に 枝垂れ桜の 武道館(表町上丁)

角館 重伝建に 人力車(同上)

ストローで 酒飲む(ひん)の 花見かな(東勝楽丁/角館の桜)

黒塀に 赤いポストと 散る桜(同上)

花見には 敷居が高きの うどん店(まるかわ)

歩道には アスファルトより 石畳(東勝楽丁)

黒塀の 見越しの桜 ようこそと(同上)

古民家に また咲かんとす 桜かな(小人町)

松本家 柴垣ゆかし 下級武士(松本家)

滑川家 ねこの屋敷に 冠木門(滑川家)

武家屋敷 管理事務所に 様変わり(東勝楽丁)

稲庭の 養助うどん 軒並べ(佐藤養助角館店)

歩行(おかち)(まち) 枝垂れ桜の 並木道(歩行町)

桜には 製糸工場 跡残り(太田家旧製糸工場)

黒塀が 隣家を包み 続くかな(田町)

塀分かつ 枝垂れ桜は 夫婦風(同上)

田町には 武家屋敷ホテル 古民家に(同上)

()川家(かわけ)の 広い屋敷が 通り占め(鬼川家)

楼閣の 八棟造り 屋敷内(同上)

武士捨てた 西宮家は 大地主(西宮家)

新潮社 佐藤()(りょう)が 花咲かす(新潮社記念文学館)

山門に 枝垂れ桜の 花かかり(松庵寺)

本堂は 少し早目に 散り始め(同上)

龍泉寺 白衣観音 葉桜に(龍泉寺)

反射した 自分の体 花の中(民泊縁)

長句(短歌・川柳)

記憶から 消えることなし 名城は 広島城の 国宝天守(広島城/桜の名所1) 60

桜咲き 狂ったように 花見する 優先順位 城と名園(同上)

広島の 縮景(しゅくけい)(えん)は 国名勝 江戸前期築 大名庭園(縮景園)

百本の 桜の種類 様々で 縮景園の 花も楽しき(同上)

両岸に 桜並木が 麗しき 猿猴(えんこう)(がわ)は 広島名所(猿猴川)

桜咲く 猿猴川の 下流には 路面電車と 黄金山(おうごんざん)が(同上)

広島の 桜の花の 散る如く 金も無くなる この花見かな(同上)

真庭にて 醍醐桜の 花を見る 樹齢千年 アズマヒガンを(醍醐桜)

南北に 二十メートル 枝葉伸び 十八メートル 高く聳える(同上)

附近には 屋台も並ぶ 賑わいで 醍醐桜は 西の大関(同上)

津山城 桜百選 名所なり 六品目が 約二千本(津山城)

棒立ちの 六角形の ぼんぼりは 各地共通 名入り殆ど(同上)

津山城 あっての発展 城下町 観光資源 未来の宝(同上)

あら何と 桜並木の トンネルが 多聞櫓跡 石垣(そば)に(同上)

三面に 桜の花が 咲き競う 表中門 跡石垣に(同上)

三段に 備前櫓 取り囲む 桜の花の 櫓攻撃(同上)

庄原に 桜の名所 百選が 上野公園 千本桜(上野公園)

上野池 江戸前期築 ため池で 江戸末期から 桜植栽(同上)

黒ずんだ 弁天堂に 思うこと 赤塗りにして 橋と調和を(同上)

黄金咲く みちのく涌谷 その城に 歴史の流れ 知りて喜ぶ(涌谷城)

ぼんぼりの 飾り無くても 涌谷城 出店が並ぶ 賑やかさかな(同上/桜の名所2) 61

咲く桜 ソメイヨシノや ヤマザクラ 狭き城内 二百五十本(同上)

地味ながら 大衡(おおひら)(じょう)に 桜咲く 本丸跡に 約五十本(大衡城跡)

城風の 交流館の 入母屋に 懸る桜の 美しさかな(同上)

桜咲く お城まつりの 松江城 天守は国宝 答申されて(松江城)

二ノ丸の 太鼓櫓は 単層で 平成中期 復元される(同上)

松江城 桜の名所 百選で 三品目が 百八十本(同上)

一ノ門 昭和後期 復元で 外枡形の 一間一戸(同上)

天守閣 四層五階 地下一階 江戸前期築 破風は千鳥で(同上)

春の酒 天守で桜 眺めつつ 城主気分に 浸る楽しさ(同上)

宍道湖に 浮かぶ松江の 街並みが 桜吹雪に 暮れて行くなり(同上)

宍道湖の 唯一の島 嫁ヶ島 松の木立が 湖上に浮かぶ(同上)

天守内 甲冑(かたな) 数多あり 後藤又兵衛 兜も展示(同上)

登城路の 太鼓櫓に 咲く桜 松山城の 花見の一歩(松山城)

大天守 三つ葉葵の 旗の上 五層五階が 三層三階(同上)

旅の日々 夢中になりて 野垂れ死か 桜の咲いた 城を枕に(同上)

登城道 古町口が 最短で 途中の木々に ヤマザクラ見る(同上)

望楼の 野原櫓は 二階建て 江戸前期築 重文最古(同上)

本壇の 南北櫓 シンメトリ 下の桜は 背丈揃わず(同上)

城内に 七品目が 二百本 桜の名所 百選チョイス(同上)

天守から 眺める北に 学び舎が 松山大学 グランド広く(同上)

花の城 松山城と 比肩する 平山城は 熊本城か(同上)

一ノ門 見上げる上に 小天守 桜入れ込む 構図が優美(同上)

岡城は 桜の名所 百選で ソメイヨシノが 千五百本(岡城跡/桜の名所3) 63

青い空 屋敷門跡 草地には 桜のピンク (かえで)のグリーン(同上)

岡城の 花見淋しき 誰も居ず 出店は無論 ぼんぼりも無く(同上)

くり抜いた 家老屋敷の 石垣に 同じ背丈の 里桜咲く(同上)

登城後 初めて出会う 花見客 我れと同じき 城のマニアか(同上)

岡城や 春高楼の 花の宴 高楼なくも 花あればよし(同上)

江戸前期 終期築城 中川氏 三十万坪 現在規模に(同上)

花の下 死なんと臨む 法師あり 真の風雅 ここに尽きたり(同上)

岡藩の 七万石は 石垣に 百名城は 桜と共に(同上)

大手門 せめて復元 願うかな 構想あれど 実現遠し(同上)

臼杵城 大友宗麟 築城時 三層天守 櫓三十基(臼杵城跡)

城内は ソメイヨシノが 殆どで 三百本が ぼんぼりの上(同上)

水城は 埋め立てられて 影もなし それでも満足 櫓の花に(同上)

黒門の ソメイヨシノが お出迎え 松本城の 桜まつりは(松本城)

天守前 おもてなし隊 待ちかまえ 観光客と 記念撮影(同上)

アルプスの 雪山を背に 聳え建つ 松本城の 外壁黒く(同上)

本丸の 御殿焼失 江戸中期 二ノ丸御殿 代用されて(同上)

白テント 紅白の幕 シンプルに 松本城の 桜まつりは(同上)

残雪の 北アルプスを 背景に 桜の花は また咲きにけり(同上)

額絵見る 太鼓櫓の 柱間 ソメイヨシノに 黒門が建つ(同上)

諏訪湖畔 高島城の 桜見る 四品目が 九十本と(諏訪高島城/桜の名所4) 64

枝先は 水堀側が 長く伸び ソメイヨシノは 水音を知る(同上)

(すみ)(やぐら) 先には天守 花越しに 仲を取り持つ (かぶ)()(ばし)かな(同上)

諏訪湖には 諏訪氏築城 高島城 その天守閣 湖上で眺めん(同上)

見残しの 桜を訪ね 上田城 七品目が 約千本と(上田城)

門前に にわか仕込みの 武将隊 桜まつりに 合わせ登場(同上)

平成期 東虎口の 櫓門 南北櫓 三棟復元(同上)

仙石氏 城の改築 成すものの 真田神社が 後に創建(同上)

上田城 六文銭の 旗なびき 葵の旗は 影をひそめん(同上)

小諸城 百名城で 築城は 戦国中期 武田信玄(小諸城)

懐古園 桜の名所 百選で 七品目が 約五百本(同上)

石垣に 大きな石が 混じり合う 一つの石は 鏡石とか(同上)

めぐり逢う 花の命は 短くも 心に残る 春の信濃路(同上)

築城後 城主交代 頻繁で 江戸中期まで 十氏に及ぶ(同上)

小諸城 最後の城主 牧野氏は 一万余石 小諸藩主で(同上)

千曲川 春の小雪の 美しさ 桜の花に 負けじと降りて(同上)

信州の 城の桜を 訪ね行く 至福の旅に 酒は不可欠(同上)

甲府城 桜はどうか 訪ねれば 広い城内 百五十本(甲府城)

里桜 オオシマザクラ 交配で 八重に咲くので 八重桜とも(同上)

城跡の 花は散りても 華やぐは 藤村式(ふじむらしき)の 古建築かな(同上)

国史跡 龍岡城の 築城は 江戸慶応期 奥殿(おくとの)藩主(龍岡城跡)

平城の 龍岡城は 五稜郭 百七十本 桜咲くなり(同上)

五稜郭 城郭規模は 二万坪 凾館に比すと 四分の一(同上)

築城に 三年要し 廃城は 明治五年で 五年後とは(同上)

松平 乗謨(のりかた)藩主 築城者 少禄ながら 老中格で(同上)

切妻の ()台所は 再移築 龍岡城に 残る城郭(同上)

三日月の 政宗兜 眺めると これから満ちる 思い秘められ(仙台城跡/桜の名所5)

青葉山 仙台城に 咲く桜 割りと少なく 四百本と(同上)

仙台や 百万人の 都市なれど 城郭だけは 破却のままで(同上)

船岡の 桜の名所 百選は 船岡城址 白石川で(船岡城跡)

土手の上 白石川の 八キロに ソメイヨシノが 千二百本(同上)

山城の 船岡城址 一面に 三品目が 千三百本(同上)

休憩所 里山ガーデン ハウス建つ 周囲の斜面 (じゅう)()繚乱(同上)

山頂に 平和観音 安置する 昭和後期に 個人が寄進(同上)

桜咲く 白石川の 並木道 蔵王連峰 白く棚引く(同上)

城跡と 白石川に 咲く花は 互いに競う 千本桜(同上)

千本の ソメイヨシノが 出迎える 本荘城の さくらまつりは(本荘城跡)

入母屋の 温泉館が 池に建ち 前に桜が 後ろに富士が(同上)

望楼の 宝形造り 模擬櫓 (うえ)花頭窓 (した)腰袴(同上)

千本の 桜が散れば 五千株 ツツジ咲くなり 本荘城は(同上)

鶴ヶ岡 桜の名所 百選で 六品目が 七百余本(鶴ヶ岡城跡)

出店にて フーテン寅の 啖呵売(たんかばい) 脳裏の中で 聞こえてくるや(同上)

城跡に 城のないのは 絵にならぬ たとえ桜が 雲に見えても(同上)

広島の お好み焼きに 舌鼓 三年ぶりの 思い出の味(同上)

桜では ソメイヨシノは 短命で 百年桜 稀に見るなり(同上)

最後まで 戊辰戦争 戦った 庄内藩の 意地は桜に(同上)

庄内の 松山城に 若干の 桜は咲いて 花見するなり(出羽松山城跡)

賑やかな 名所の桜 良いけれど 閑散とした 桜捨て難し(同上)

大手門 江戸後期築 楼門で 寄り添う花は 昭和の桜(同上)

小藩の 叶わぬ夢や 天守閣 模擬と言えども (やかた)は遺産(同上)

()来方(ずかた)の 盛岡城に 咲く桜 十二品目 二百五十本(盛岡城跡)

昼間から 盛岡城は 花の宴 一人花見は 入る幕なく(同上/桜の名所6) 65

俯瞰する 展望所なき 城跡で 花雲踏めぬ 物足りなさも(同上)

脳裏には 三層三階 天守閣 再建されず 三世紀かな(同上)

静内に 桜の名所 百選が 二十間道路 桜並木で(二十間道路桜並木)

蕾でも 眺めてみたいと 来てみれば やはり蕾の 日高の桜(同上)

静内は 名馬の産地 安住地 桜並木に 牧場があり(同上)

秋田路の 菅江真澄の 足跡を 大森城址 訪ねて歩く(大森城跡)

薄れ行く アラビア太郎 物語 郷土の偉人 城に顕彰碑(同上)

温暖化 桜の開花 早くなり 花付き悪い 今年の桜(同上)

ぼんぼりの 飾りを見ては 安心す 金沢(かねざわ)(さく)の 花見は続き(金沢柵跡)

遠野では 鍋倉城の 花見かな ソメイヨシノが 五百本とか(鍋倉城跡)

三ノ丸 展望台は 模擬櫓 唯一建てた 城の雰囲気(同上)

角館 古城山(ふるしろやま)の 展望所 桜の名所 眺める穴場(古城山)

みちのくの 桜の名所 角館 城郭消えて 一味足りず(同上)

戸沢氏の 居城を記す 五輪塔 本丸跡に 新たに立てる(同上)

鶴ヶ城 桜の名所 百選で ソメイヨシノが 千本と聞く(会津鶴ヶ城)

忘れ得ぬ 蒲生氏郷 知将の名 九十万石 会津に灯す(同上)

枡形の 石垣上に 咲く桜 廊下橋門 無きが寂しき(同上)

俯瞰する 太鼓櫓に 音はせず 石垣だけが 枡形に立つ(同上)

天守から 眺める桜 格別で 東山まで 花の回廊(同上)

哀れかな 武士の誇りは 無視されて 勝てば官軍 負けで賊軍(同上)

様々な 悲哀を想う 鶴ヶ城 桜の花の 散るが如くに(同上)

重層の (ほし)()(やぐら)は 長屋付き 平成中期 復元されて(同上/桜の名所7) 69歳

会津路は 遅き春風 吹き寄せて 忘れられぬは 戊辰の傷跡(同上)

白虎隊 その死に様が 哀れなり 城に寄り添い 散り行く桜(同上)

楼門の (くろがね)(もん)の 再建は 昭和中期に 天守と共に(同上)

桃山期 上杉景勝 入城し 謙信公も 仮廟所へ(同上)

明治期は 城郭全て 破却され 九万坪が 七万坪に(同上)

会津人 薩摩は許す 気はあれど 長州だけは 許せぬ気概(同上)

会津路に 消えぬ涙や その恨み 薩長(さっちょう)土肥(どひ)の 成り上がり兵(同上)

国天記 樹齢千年 滝桜 エドヒガン系 薄紅枝垂れ(三春滝桜)

三春での 桜の名所 百選で その記念碑が 周辺に立つ(同上)

滝桜 十三メートル 樹高なり 紅枝垂れでは 最大級で(同上)

東西は 二十五メートル 南北は 十九メートル 枝は楕円で(同上)

三春ほど 桜の多き 町はなし 一万本が 小さな町に(三春城跡)

花まつり 三春城では 開かれず 滝桜のみ しぼり込んだか(同上)

山麓の 民家も桜 咲き乱れ わざわざ城に 登る人なし(同上)

予期もせぬ 友のカンパに 感謝する 三春に生きる 桜と共に(同上)

三春藩 秋田氏統治 五万石 三百余年 安泰続く(同上)

復元の 城郭なくも 三春城 続百名城 選定されて(同上)

別名を 霞ヶ城(かすみがじょう)と 称されて 桜の名所 百選の城(二本松城跡)

箕輪門 二階櫓は 絵図になく 復元するも ピント外れに(同上)

ベニシダレ ソメイヨシノに 比べれば ちょっと小振りの 箕輪門前(同上)

石碑立つ 桜の名所 百選の 百名城の 石碑は無くて(同上/桜の名所8) 69

三ノ丸 ぼんぼり飾り 提灯と まつりムードを 盛り上げるかな(同上)

花の上 本坂(もとさか)御殿 二階建て 近付き見ると 模擬御殿なり(同上)

模擬御殿 倉庫代わりに 使用され テナント入れて 活用すべき(同上)

赤倉の 温泉にある 烏帽子山 桜の名所 百選とされ(烏帽子山公園)

百選に 選ばれ知るや 烏帽子山 温泉だけの 赤倉でなく(同上)

あら何と おとぎ桜の 枝の上 花咲か爺さん 人形姿(同上)

桜にも 魂宿り 花は咲く それぞれ好む 枝振りとなり(同上)

烏帽子山 八幡宮の 社殿建つ 明治前期に 園地に遷座(同上)

上山 天守に加え 武家屋敷 温泉地でも 東北屈指(上山城)

本丸の 跡に和風の かかし茶屋 閉店となり 空しく眺む(同上)

みちのくの 近世城郭 最大は 山形城と 弘前城で(山形城跡)

百選の 桜の名所 疑問わく 山形城は 千五百本(同上)

露店立つ 山形城が 上を行く 仙台城の ライバルよりも(同上)

枡形の 一文字門 復元し 本丸遺産 第一歩なり(同上)

空堀に 草の緑と 塀の白 土手には桜 ピンクに染める(同上)

湯沢城 桜咲くのは 表門 駐車場まで 数えるほどに(湯沢城跡)

市役所は 佐竹南家 屋敷跡 側に名水 力水湧く(同上)

久々の 前森公園 観桜で 丘の麓に 二百本咲く(前森公園)

屋台なく 衰退すれど ぼんぼりは 昔ながらの 雰囲気残す(同上)

毎年の 恒例となる 花見かな 本荘城は 安近短で(本荘城跡)

本荘の 城跡に見る 鳥海は 値千金 桜と共演(同上)

眺め見る ホテルアイリス 建物は 四十年前 工事を管理(同上)

どこかしこ 本荘城の 園路には 桜並木の 回廊続く(同上)

東北の 日比谷公園 夢と消え 脳裏に浮かぶ 街路の桜(浅舞公園/桜の名所9) 69

街路樹は 道路拡張 工事時に 伐採されて 狭き花壇に(同上)

また今年 眺める天守 咲く桜 石段前の 構図秀麗(横手公園)

江戸時代 横手城主 三氏経て 戸村氏となり 明治に続く(同上)

戸村氏に 城主代わるも 小野寺氏 絶対的な 存在感が(同上)

鐘楼は 入母屋造り 腰袴 横手川沿い 欠かせぬ眺め(同上)

盛り過ぎ 花も疎らな 並木道 ソメイヨシノと 重なる(よわい)(大森公園)

大森の 本丸跡の 花見客 同行二人 アラビア太郎(同上)

休憩所 客は来たらず 閉館す 桜まつりの 熱意は消えて(同上)

雄物川 横手盆地の 山裾を 桜の花を 乗せて流るる(同上)

若き日は ナイタースキー 頻繁に 公園にありし スキー場へと(同上)

秋田県 人口減少 日本一 まじまじ感ず 城の桜に(同上)

ふるさとの 未知なる桜 訪ねれば 意外な場所に 桜並木が(桜づつみ公園)

雄物川 右岸に桜 百本が 予想もしない ソメイヨシノよ(同上)

ふるさとに 桜の名所 百選が 真人(まと)公園に 約二千本(真人公園)

花の宴 心浮かれて 飲むほどに 馬鹿現れて 気は遠くなり(同上)

山を背に 沢口沼に 咲く桜 真人公園の 優美な眺め(同上)

金沢(かねざわ)は 後三年の役 主戦場 数年前に 国の史跡に(金沢公園)

いつ来ても 金沢公園 客はなし ぼんぼり飾り 空しく眺む(同上)

初めての 城郭めぐり 十五歳 金沢柵が その第一歩(同上)

()()(だて)(しょ) 昭和天皇 太子時に 御休止された 古城の土塁(同上)

古戦場 跡に公園 整備され 平安の風 渡る場所とも(平安の風渡る公園/桜の名所10)

敵味方 四人の武将 像が立つ 平安の風 わたる公園に(同上)

三連に (かりがね)(ばし)は 重なりて 太鼓形状 木造の橋(同上)

地に臥せて また花咲かす 桜かな 雁橋で 哀れを誘う(同上)

栃木県 桜の名所 百選は 太平山(おおひらやま)の 四千本で(太平山/桜の公園1) 62歳

降りそそぐ 春の陽差しに 桜花 神もときめき 我れもときめく(同上)

咲く花は 人の興味に 触れもせず 人の興味は 花に誘われ(同上)

丁度良い 場所に陣取り 花見かな 謙信(だいら) 故事に因んで(同上)

桜咲く 日本列島 三ヶ月 花追い人の 旅はまた来る(同上)

春来たり 桜さくらと 狂い行く 狂いしままに 死ぬもまた良し(同上)

花咲かせ 赤き実をなし 葉は染まり 雪を装う 桜一番(同上)

結伽して 冥土へと立つ 夢を見る 桜の花に 月いずる頃(同上)

久々に 日光街道 走行し 思わぬ花に 立ち尽くすなり(楡木の桜並木)

熊谷(くまがや)の 桜堤の 五百本 桜の名所 百選とされ(熊谷桜堤)

行く花見 仕事は仮の 飯の種 旅に生まれて 旅に生かされ

花盛り 財布の中は すかんぴん 日本列島 花見の旅は(同上)

桜山 桜の名所 百選で 世に珍しき フユザクラ咲く(桜山公園)

やや広き 池泉回遊 庭園を 桜と共に 眺め観るかな(同上)

移り行く 人の時代に 関わらず 桜の花の 咲くは美し(同上)

フユザクラ 七千本が 国天記 わずかに花を 残す木も(同上)

日立市の 桜の名所 百選は 平和通りや かねみ公園(日立平和通り)

桜木が 平和通りの 街路樹で ソメイヨシノが 百二十本(同上)

入口の 動物園に 驚きつ 桜は何処と 園内探す(かみね公園)

千本が かねみ公園 丘陵に ギョイコウとウコン 珍種の花も(同上)

散る花に わが身を重ね 思い見る 来年もまた 咲きたい願い(同上)

(しず)(みね)の ふるさと公園 茨城に 桜の名所 百選の丘(静峰ふるさと公園)

開花時期 少し遅れる 八重桜 なのに(しょう)(げつ) 散るのが早く(同上/桜の公園2) 64歳

華やかな ネオンの街の 花よりも 山裾満たす 桜が恋し(同上)

巡り合う 花の命は 短くも 心に残る 春の信濃路(小諸駅付近)

山梨の 桜の名所 百選は (おお)()()公園 一つ選ばれ(大法師公園)

大法師に 古人の夢が 偲ばれる 訪ねて尽きん 桜咲く国(同上)

山高の 神代(じんだい)(ざくら) 国天記 弥生時代の エトヒガンザクラ(小高神代桜)

実相寺(じっそうじ) 神代桜 桜守 平安期から 神木守り(同上)

憧れの 花に出会えて 感無量 心静かな ときめきがあり(同上)

境内に 薄墨(うすずみ)(さくら) 子桜が 枝分けされて 大きく伸びる(実相寺)

身延山 枝垂れ桜も 枝分かれ 葉桜ながら 本山彷彿(同上)

桜咲く 信州佐久の 洞源湖 (みずうみ)遠く 沼の(おもむき)(洞源湖)

佐久にある さくらの()(みち) 公園は 千曲川沿い 百二十本(さくらさく小径)

千曲川 さすらう旅の 歌枕 幾度めぐる 若き時より(同上)

須坂市に 桜の名所 百選が ()(りゅう)公園 松でも知られ(臥龍公園)

風吹けば 風の心を 思いつつ 散り行く花の 寂しさも知る(同上)

園内は 竜ヶ池を 中心に 六百本の ソメイヨシノが(同上)

宮城野の 桜の名所 訪ねれば 台公園は 夜桜向きで(西公園)

もう二合 飲みたい頃に やめて見る 桜を愛し 春を行くなら(同上)

見とれては 花の景色に 調子ずく 竹嶋潟に 鳥海山が(南極公園)

池の上 開南丸の レプリカが 木造船で 南極行くとは(同上)

花見のみ 人は木の下 集い来て 酒飲むだけの 花との出会い(勢至公園)

青い池 観音潟に 桜咲く 鳥海山は 雪と青空(同上)

金浦の 勢至公園 咲く桜 七百本の ソメイヨシノで(同上)

日も暮れて 桜の花は 霞たち 宿路を急ぐ 今日の淋しさ(同上)

花を見て 浮かれて過ぎる この命 春爛漫は まだ見ぬ北へ(鶴岡公園/桜の公園3)

日和山 公園内に 咲く桜 酒田市一の 四百本が(日和山公園)

国道で ぼんぼり飾り 足止める 三崎公園 奥の細道(三崎公園)

盛岡の 桜の名所 百選は 高松公園 千本桜(高松公園)

忘れ得ぬ 花の盛岡 振り向くと 石割桜 高松公園(同上)

死んで行く 果ての景色は 見えぬども 生きる楽しさ 春景色哉(同上)

民家苑 茅葺き家屋 四棟が 保存されるは 横手唯一(雄物川中央公園)

ふるさとで 初心に帰る 思いなる 桜の花の また咲く如く(浅舞公園)

花に寝て 陽に起こされて 月に消ゆ 帰らざる身に 人はなりけり(同上)

花見酒 三日三晩と 飲み続く 久々ぶりに 横手に帰り(横手公園)

その昔 ブランコと言う 休屋で 花見をしたり 横手城山(同上)

花の中 死んではいいと 我れも言う ふるさとの山 共に眺めつ(同上)

桜より まずは酒飲む 花見かな 美女が酌する 酒ならばこそ(同上)

土手の上 桜の花と 鯉のぼり 石和川にも 賑わう春が(宿河川公園)

東由利 黄桜まつり 初見する いこいの森に 三種二千本(八塩いこいの森)

数ならば ソメイヨシノが 一番で 九百本は 若木が多く(同上)

黄桜や 四百本が 咲き競う 去年に比べ 色付きも良く(同上)

八塩山 手前の森で 咲き誇る ソメイヨシノが 一本高く(同上)

あっけなく 散り行く花の 切なさよ また来年も 花見られるか(真人公園)

二日酔い こうなる事は 分かって 真人公園の 花見格別(同上)

昔ほど 真人公園に 人は来ぬ 運動会が 脳裏に浮かぶ(同上)

花は咲く 鳥は囀る 風やさし 月は朧な 春は一番(真人公園/桜の公園4) 67

いつまでも 見飽きぬ花を 眺めつつ 飲む酒うまし これぞ爛漫(同上)

綾織の 猿ヶ石川の 堤防に ソメイヨシノの 桜並木が(綾織の桜並木)

見渡せば 一目百本 桜咲き 石上山も 空に聳えて(同上)

高梨の 旧池田氏の 庭園は 国名勝で 桜も多く(旧池田氏庭園)

池田氏が 東北三大 地主でも 花と散り行く 戦後の流れ(同上)

庭園は 池泉回遊 滝二つ 大正時代 長岡氏作(同上)

払田柵 真山(しんざん)地区が 公園に 三百本の 桜植えられ(払田真山公園)

政庁の 長森地区に 比べたら 月とすっぽん 桜の有無は(同上)

山桜 姿(すがた)花びら 貧なれど 岩に根を張る 思い美し(同上)

角館 (ひの)()内川(ないがわ) 両岸に ソメイヨシノが 四百本が(桧木内川)

風流は 桜の下に 茣蓙(ござ)敷きて 古人を慕い うたた寝る時(同上)

美しき 日本の景色 眺めては 脳裏に詰めて 死なんと思う(同上)

残されし わが人生の 好奇心 山川草木 花鳥風月(同上)

川原は ソメイヨシノの 花吹雪 春爛漫に ただ酔うばかり(同上)

酒飲むは 悪しきことかな 花の下 伸ばせば悪しき 花より美女に(同上)

虚しくも 散り行く花を 見てやまむ 知らざる果てに 夢はなけれど(同上)

長沢が 桧木内川 源流で 一度は見たい マタギの山を(同上)

桜見ず 過ごす一年 淋しかり 桧木内川 花盛りなり(古城山)

めぐる春 旅の途上に 息絶えて 咲かざる花も また捨て難し(同上)

羽後長野 八乙女公園 二千本 ソメイヨシノの 桜の名所(八乙女公園)

うららかな 春の陽射しに 咲き誇る 花の側では 鳥がさえずり(同上)

花の下 仙北平野 潤して むかし毒水 玉川流る(同上)

散り際の 桜に降りし 名残り雪 北国だけの 春は来にけり(同上)

櫓風 展望台が 公園に 八乙女城の 雰囲気残す(同上/桜の公園5) 67

公園は 桜まつりは 開かれず ドンパン節の (うた)は聞こえず(同上)

散る花や 綺麗なものは 潔く 風に吹かれて その身をまかす(観音寺)

D51の 機関車眺め 甦る 黒い煙りと 独自の匂い(横手公園)

スキー場 消えても残る 山荘に 今年も桜 健気に咲かん(同上)

様々に 桜の花を 眺めれど 歌にならざる あとの淋しさ(展勝地公園)

美しき 枝垂れ桜に 名が欲しき 仮に呼ぶなら あや子桜か(表町上丁/角館の桜)

角館 枝垂れ桜と 武家屋敷 落着きはらう みちのくの街(旧石黒恵家)

茅葺きの 武家の屋敷を 隠すほど 枝垂れ桜は 花開くなり(石黒家)

石黒家 武家屋敷では 現役で 百五十石 北家用人(同上)

青柳家 歴史村へと 様変わり 百五十石 組頭役(歴史村青柳家)

角館 特産品の 樺細工 伝承館で 展示販売(伝承館)

三大の 弘前城に 比較して 花見客数 三分の一(同上)

岩崎家 旧芦名氏の 重臣で 北家に仕え 七十五石(岩崎家)

梅津家の 枝垂れ桜を ()(じゅ)として 武家屋敷には 百五十本(東勝楽丁)

文化財 重伝建に 住む人は 規制が多く 暮らしづらいと(同上)

唯一の 茅葺き屋根の 武家屋敷 茶室思わす 松本家かな(松本家)

武家屋敷 切妻造り 妻入りが 一般的な 家の外観(東勝楽丁)

通りには 戦後期築の 住宅も 枝垂れ桜は 昔のままで(柴田家)

(かわ)()()() 枝垂れ桜に 薬医門 中級武士の 書院を備え(河原田家)

小田野家は 目薬作り 家禄増す 画家の(なお)(たけ) 輩出もして(小田野家)

()(てつ)()は 明治期築の 商家にて 古物展示の ミニ資料館(外町資料館たてつ)

角館 訪ねるたびに 思い出す 二人歩いた 祭りの夜を(安藤家)

安藤家 江戸嘉永期に 創業の レンガ造りの 味噌醸造所(同上)

太田家は 仙北地区の 大地主 広い屋敷が 田町に続く(太田家)

薬医門 先には二棟 擬洋風 モダンな二階 はかま腰屋根(田町某家)

田町地区 重伝建の 指定外 個性豊かな 住宅が建つ(同上)

革館(かくのだて) ピンクの外観 二階建て 革製品と 絵画販売(革館)

西(にしの)(みや)() 秋田佐竹氏 (じき)(しん)で 佐竹北家の 目付役でも(西宮家)

新潮社 角館()が 創業者 その記念とす 文学館が(新潮社記念文学館)

戸沢氏の 白瀧神社 不動尊 命脈保ち 再建される(白瀧神社)

松庵寺 佐竹移封で 常陸から 寺も移され 曹洞宗に(松庵寺)

芦名氏 ゆかりの寺が 龍泉寺 再興願い 創建されて(龍泉寺)

民泊の (えにし)は大きな 古民家で 秋田犬飼い マスコットとし(民泊絵)

駅前に 来る度顔が 目に浮かぶ 山谷初男は 駅前生まれ(角館駅前)