歴史的名所その1 短句(俳句・川柳)
二代目の 臥龍の松が 中庭に(島原角屋/歴史的名所1) 50歳
松の間の 上座で蕪村 春の句を(同上)
酔い醒めて 曲木亭で 茶の湯かな(同上)
シンボルの 六角灯籠 つくばいに(同上)
長屋門 潜れば隊士 燃えよ剣(壬生八木邸)
二階には 改修された ガラス窓(二条陣屋)
風流や 江戸も明治も 草の庵(東山西行庵)
白川で 琵琶湖疏水が 噴水に(琵琶湖疏水)
無鄰菴 東山まで 借景に(無鄰菴)
燕庵の 写しとされる 茶室建つ(同上)
土蔵風 扉が洋館 入口に(同上)
京都御所 殿舎は消えて 風致地に(京都御所)
勅使門 百二十年 門開かず(桂宮邸跡)
紅梅の 古木は香り 塀越しに(前沢太田家住宅)
石投げて 北上川は 岸遠し(北上川境渡跡)
茅の屋根 五月の空に 飛ぶ如し(前沢旧後藤家住宅)
古民家の 手押しポンプは 珍品で(同上)
常夜灯 伊勢参宮の 移築とか(津偕楽公園)
滝組に 古き庭園 偲ぶかな(同上)
宣長は 二階物置 書斎とし(松阪鈴屋/歴史的名所2) 51歳
松阪は 殿様よりも 宣長で(同上)
石畳 挟んで両側 武家屋敷(松阪御城番屋敷)
八畳間 二間抜け行く 秋の風(同上)
付き出した 厠で虫の 声を聞く(同上)
生垣に 入母屋ゆかし 蔀戸も(同上)
資料館 楼閣二棟 シンメトリ(松阪市歴史民俗資料館)
鬼瓦 野外の展示 数知れず(同上)
三百種 一万四千 坪の中(御池沼沢植物群落)
灰色は 珍しきかな 築地塀(津島堀田家住宅)
外観は 町家造りの 格子壁(同上)
玄関の 接待スペース みせと呼び(同上)
家の路地 黒い板壁 石畳(同上)
塀沿いの 小竹は野趣で 秋らしき(同上)
庭園は 久田宗参 茶人作(同上)
松の木の 下には何故か 鬼瓦(同上)
丸池に 浮かぶ藤棚 夢と見ん(天王川公園)
泊りたき 旅館まのやは 扉閉じ(津島旅館きのや)
旅人に 敷居は高し 茶の道は(有楽苑)
秋なのに 庭は淋しき 花がなく(同上)
萱門は 斜塔真似たか 傾いて(同上)
格子から 二畳半台目 覗き見る(同上)
待合の 秋風もまた 客となり(同上)
回遊の 池の石橋 叩こうか(同上)
竹林の 秋の木漏れ日 灯籠に(同上)
秋の池 雪見灯籠 ひと休み(桑名六華苑/歴史的名所3) 51歳
離れ屋は むくり美し 入母屋で(同上)
出入り口 時代遅れの 長屋門(同上)
松原や 木曽三川に 暗い影(油島千本松原)
多度大社 和風の肉屋 門前に(多度大社門前)
白壁の 修道院が 秋清め(多治見修道院)
美術館 葵の幟 秋の空(徳川園)
城風の 建物多き 名古屋かな(同上)
園路沿い やり水流れ 麗しき(同上)
マンションが 徳川園の 借景で(同上)
紅葉に 重なる色や 野点傘(坂本旧竹林院)
池の上 雪見灯籠 紅葉狩り(同上)
四阿は 古風な造り 茶室風(同上)
里坊に 散るは紅葉と 老僧で(坂本の里坊)
東屋に 富士の白雪 頭出す(小夜の中山)
生垣の 椿の花が ようこそと(清水邸庭園)
茶所の 湧水亭で 冬の茶を(同上)
茅葺きの 屋根には冬の 金華山(岩戸公園)
初詣 岩戸洞窟 観音に(同上)
あら何と 三重塔 公園に(岐阜公園)
中国の 風景入る 城の跡(同上)
信長の 居館の跡に 冠木門(同上/歴史的名所4) 52歳
居館跡 土塁薄ら 雪景色(同上)
弓を射る 若き信長 馬の上(同上)
堀沿いに 土蔵の家並み 石橋と(近江八幡)
行く春や 八幡堀に 屋形船(同上)
大通寺 門前通り 町家街(長浜)
長浜は 五月連休 別の顔(同上)
人の波 角の黒壁 ガラス館(同上)
自然石 大灯籠は 二十トン(慶雲館)
桟瓦 屋根には松が 春空に(同上)
野点傘 縁台共に 添景に(同上)
石塔は 十三重の 贅沢さ(同上)
庭は今 枯山水の 有様に(同上)
白壁の 小玄関に カナメモチ(伊賀上野崇高堂)
講堂は 七十二畳 大広間(同上)
九棟の 藩校の屋根 春空に(同上)
水田に 柳生の里が 逆さまに(柳生の里)
柳生では 天守閣風 民家建つ(同上)
長屋門 春の坂道 武家屋敷(旧柳生藩家老屋敷)
庭の華 女子大生の ベレー帽(同上)
跳ね上がる 橋は初見や 春の空(四日市末広橋梁)
涼風や 郡上八幡 吉田川(郡上八幡)
紺碧の 流れは涼し 吉田川(同上/歴史的名所5) 52歳
新橋で 飛び込む若人 風物詩(同上)
またいつか 郡上おどりの 輪の中に(同上)
館跡 庭園の松 初々し(東氏館跡庭園)
青々と 合掌造りに 稲育つ(白川郷荻町)
蓮池に 相合傘と 茅の小屋(同上)
露出した 構造材は 黒光り(同上)
究極の 合掌集落 夏の田に(同上)
鋭角な 茅葺き屋根は 独特で(同上)
見渡せば 合掌の家 塀はなし(五箇山相倉)
集落の 棚田鮮やか 相倉(同上)
江戸情緒 飛騨高山の 朝市は(飛騨高山)
若き日の 旅思い出す 中橋に(同上)
米の字 模った池 米字池(北畠氏館跡庭園)
千坪に 満たない庭園 コンパクト(同上)
池の鯉 谷水流れ 涼しそう(同上)
五百年 古木の森が 裏山に(同上)
喜撰橋 秋の景色に 屋形船(宇治川)
宇治川の 朝霧橋は 初渡り(同上)
彩りは 秋に相応し 錦鯉(白鳥公園)
池畔には 数寄屋造りの 清羽亭(同上)
渓流の リアルな景色 庭に見る(同上/歴史的名所6) 52歳
行く秋や 明治時代を 千鳥足(明治村)
明治村 時間が止まる 文化財(同上)
天主堂 ステンドグラス 花開く(同上)
ミサをする 人影見えぬ イエス像(同上)
坐漁荘は 八棟造り 楼閣で(同上)
入鹿池 品川灯台 海離れ(同上・重文)
長崎の グラバー邸を 見る家も(同上)
東屋は 宗教大学 車寄せ(同上)
シアトルの 洋館までも 移築され(同上)
里帰り ハワイ移民の 集会所(同上)
鉄橋は 六郷川から 入鹿池(同上)
玄関の 屋根の櫓に 時の鐘(同上)
外観と 異なる内部 ゴシックで(同上)
隅田川 新大橋や 新天地(同上)
村内の 池の噴水 日々新た(同上)
酒好きは 酒蔵みれば よだれ出る(同上)
宇治山田 郵便局舎 モスク風(同上)
水道の 弁はギァー式 今もなお(同上)
走る馬車 明治時代の 秋を行く(同上/歴史的名所7) 52歳
杉玉や 造り酒屋の 目印に(同上)
洋風の 大井肉店 神戸牛(同上)
オルガンの 讃美歌遠し 京都かな(同上)
教会に ステンドグラス 不可欠で(同上)
待望の 諸戸氏庭園 秋公開(諸戸氏庭園)
滝組に 作庭当時の 面影が(同上)
ああ淋し 今年の紅葉 色薄く(同上)
年明けて 重伝建の 足助へと(足助)
旅籠風 靴を脱ぐたき 山城屋(同上)
冬枯れの 香嵐渓に 茅の家(三州足助屋敷)
茅葺きの 寄棟直屋 新築と(同上)
見る町家 二階越し屋根 虫籠窓(奈良今井町)
盆栽を 思わす松が 塀の上(同上)
白壁の 重ね美し 今西家(同上)
丸に木の 家紋が左右 壁に浮く(同上)
春景色 吉野の里の 長屋門(吉野山麓/歴史的名所8) 53歳
街道の 面影狭き 道幅に(同上)
春景色 茅の葺き替え 山里に(片岡家住宅)
吉野葛 本舗の建屋 史跡内
見渡せば 町並み全て 瓦屋根(森野旧薬園)
薬草は 二百五十種 裏山に(同上)
中庭に ノムラモミジが 芽吹くかな(同上)
端座する 崋山は画家より 武士の顔(池ノ原公園)
休館で 天然図絵亭 絵空事(天然図絵亭)
外観を 眺め堅田の 春を行く(同上)
其角邸 跡には石碑 寺隣り(堅田其角邸跡)
春の海 脳裏に月の 浜座敷(温山荘園)
春の花 無きが淋しき 広い庭(養翠園)
三ツ池に 四十五度の 松の奇異(同上)
春雲と 天神山を 池映す(同上)
苔のない 庭の園路は 物足りず(柴田氏庭園)
池の前 白洲ではなく 石畳(同上)
収蔵庫 廃屋同然 何でまた(同上)
家並みを NTTが 遮断する(高岡山町筋)
建ち並ぶ 町家の造り 個性的(同上/歴史的名所9) 53歳
裏町は 新旧町家 石畳(同上)
土蔵奥 豊かさ茂る 庭の木々(同上)
休日は いつも旅人 加賀めぐり(金沢長町)
石置きの 足軽屋敷 屋根重く(同上)
珍しき 丸形灯籠 笠平(同上)
茂る木と 池は沈黙 客の声(同上)
庭の花 わずかにツツジ 咲き残り(同上)
にし茶屋や 花街色街 化粧待ち(金沢にし茶屋街)
咲くツツジ ノムラモミジと 色合わせ(玉泉園)
庭園の 七百余坪 山水画(同上)
中庭も 気品に満ちた 植栽で(金沢東山)
弁柄の 床の間飾る 布袋様(同上)
花柳界 殆ど縁なく 金もなし(同上)
銭湯は 煙突よも 品高く(同上)
池泉式 三千坪を 一眼に(養浩館庭園)
苔庭の 灯籠までも 苔の笠(立山教算坊)
雪深き 長井の里に 京町家(長井旧丸大扇屋)
茅葺きの 主屋に偲ぶ 家の富み(同上)
鉢植えの アヤメもゆかし 撞木橋(長井撞木橋)
簗場では 子持ちの鮎が 旬の味(白鷹簗場)
冠木門 先に大屋根 あずま建て(大聖寺蘇梁館)
屋根裏の 梁は四重に 八間も(下時国家住宅/歴史的名所10) 53歳
入母屋の 納屋も豪華 茅葺きで(同上)
一部には 枯山水の 石組も(同上)
根曲りの 古木の桧 池の上(同上)
世を忍ぶ 平家末裔 時国家(上時国家住宅)
ガラス戸に 涼しさ運ぶ 庭の池(同上)
滝組に 深山幽谷 趣が(同上)
柴門に 侘び寂び染みる 四ツ目垣(同上)
アジサイに 木造校舎 茅の小屋(輪島の風景)
石橋の 先は苔の 海原に(平家庭園)
健気かな 九の字に折れた 松の木も(同上)
手水鉢 何処から水が 満たされる(同上)
振り向けば 平家落人 明暗が(同上)
奥座敷 額縁庭園 夏の風(同上)
実業家 茶の湯の趣味は ステータス(北前船主の館)
錦鯉 夏バテしたか 池の隅(同上)
夏の風 河野浦から 庭に吹く(同上)
涼しさは 千古の茅の 夏の風(千古の家)
町並みは 土蔵やビルが 不揃いに(越前大野)
寺町は 十六ヶ寺が 塀揃え(同上)
蝉の声 越前大野 また来てと(同上)
坪川家 旧家の重み 茅の屋根(千古の家/歴史的名所11) 53歳
涼しさや 水車の回る 水の音(同上)
蚊帳の中 千古の家で 眠る夢(同上)
中庭に 庶民文化の 華開く(旧森家住宅)
吹き抜けに 白漆喰が 屋根裏に(同上)
珍しや 茅葺き屋根の 長屋門(浮田家住宅)
庭園は 主屋の屋根が 借景に(同上)
座敷から 眺めるに庭に 秋が寄る(同上)
船主の 栄華は家の 隅々に(北前船の資料館)
千坪の 敷地の庭に 秋の風(同上)
最小の 石の欄干 庭に見る(蔵六園)
浮草に トンボ来ぬかと 池に立つ(同上)
無駄のない 階段箪笥 和の知恵で(喜多家住宅)
吹抜けの 梁の湾曲 優美なり(同上)
囲炉裏には 自在鉤より 茶釜かけ(同上)
坪庭と 茶室の調和 絵の如し(同上)
秋陽射し 庭園を背負い 簾へと(同上)
淋しさは 滝石組の 位置高さ(同上)
雪吊りや 兼六園の 風物詩(兼六園)
池に建つ 内橋亭に 鴨の群れ(同上)
庭園の 徽軫灯籠 シンボルで(同上)
庄内に 鰊御殿が 建つ景色(旧青山本邸)
冬なのに 雪見灯籠 雪を見ず(同上)
財成せば 豪邸と庭 ワンセット(同上)
渋柿や カラスも喰わず 冬の木に(同上/歴史的名所12) 54歳
月も無く 月見灯籠 松の根に(兼六園)
桜背に 根上りの松 麗しく(同上)
外人も 青い目くるり 花見かな(同上)
春の庭 花なき景色 武家屋敷(寺島蔵人邸)
欠かせない 石灯籠は 庭の顔(松任ふるさと館)
岩塊の 滝石組に 水の糸(同上)
肝煎の 面影残す 長屋門(多川家住宅)
名家では 大きな課題 維持管理(同上)
町並みの 門前町の 栄枯見る(加賀鶴来)
ツツジ咲く 額縁の庭 ガラス戸に(伏木北前船資料館)
望楼は 湊の船の 見張台(同上)
茅葺きに 富山独自の つのや屋根(武田家住宅)
町並みは 殆ど黒い 瓦屋根(氷見)
氷見の町 五重塔が 建つ民家(同上)
茅葺きの 古民家の旅 能登は終え(座主家住宅)
菅沼が 心残りで また来たり(五箇山菅沼)
水田に 合掌の屋根 逆さまに(同上)
静寂さ 聴くはウグイス 声のみで(同上)
村上家 こくりこ踊り また見たり(五箇山村上家/歴史的名所13) 54歳
相倉 田植えを終えた 棚田見る(五箇山相倉)
合掌に 庭のアヤメが 花添える(同上)
城端の 蔵回廊は 四つ蔵で(城端)
坡場の坂 造り醤油屋 町家建つ(同上)
一茶像 ツツジの花に 見守られ(俳諧寺)
小林家 一族の墓 俳諧寺(同上)
辞世句の 無きが一茶の 終焉地(小林一茶旧宅)
謎多き 戦国大名 江馬氏かな(江馬氏下館)
石庭に マクロ観るかな 宇宙観(同上)
五百坪 母屋の大きさ 比類なき(関川渡邊邸)
飛石に 回りの苔は 衣替え(同上)
座敷から 眺める庭が 究極で(同上)
中庭の 六角灯籠 凛として(同上)
六棟の 土蔵は洒落た なまこ壁(同上)
佐藤家は 渡邊家に次ぐ 地主とか(関川佐藤邸)
庭園の 池に地元の 錦鯉(東桂苑)
亀島の 松の古木に 鶴は来ず(清水園)
林泉は 六千坪の 壮大さ(同上)
荻町を 再び鵜呑み 展望所(白川郷荻町)
水田の 緑が茅の 屋根の映え(同上)
水車小屋 山村風景 再現す(合掌造り民家園)
庄川の 水無月の空 茅の屋根(同上)
障子戸の 入り込む光り 屋根裏に(同上/歴史的名所14) 54歳
白山が 稲架小屋の 奥に見え(同上)
屋根のみの マタダテ小屋は 切妻で(同上)
新築の 梅香庵は 茶室なり(同上)
三地区の 板倉集め 一同に(同上)
民家園 水織音の滝 添景に(同上)
庄川に 架かる吊橋 であい橋(同上)
荒城川 架かるアーチは 霞橋(飛騨古川)
白壁の 瀬戸川泳ぐ 錦鯉(同上)
街角に 望楼町家 意味ありげ(同上)
夏の日や ひがし茶屋街 夕焼けに(金沢東山)
金沢で ドナルドキーン 見て夕日(同上)
槫葺きの 石置き屋根は 飛騨独自(荒川家住宅)
土蔵には どんなお宝 名主宅(同上)
松の木のに 柿葺き屋根 調和する(高山陣屋)
楼閣に 吹く風涼し 陣屋かな(同上)
御蔵には どれほどの米 納めしや(同上)
秋風や 気の向くままに 木曽路行く(山村代官屋敷)
切石や 誰の仕業か 真っ二つ(駒ヶ根公園)
竹村家 名主の栄華 秋の風(旧竹村家住宅/歴史的名所15) 54歳
石垣の 観覧席は 比類なき(檜枝岐鎮守社)
面白き 古代の衣装 移る様(近江風土記の丘)
繁栄は 八百坪の 屋根と庭(近江五個荘)
秋なのに 葉は染まらずに 花もなく(同上)
商人は 外には木綿 内に絹(同上)
干し柿に 近江商人 見る思い(同上)
作庭は 鈍穴流の 庭師とか(同上)
あら何と 離れは古き ログハウス(同上)
陣幕に 馴染の武将 二百体(関ヶ原ウォーランド)
関ヶ原 日本史最大 決戦地(関ヶ原古戦場)
庭の塀 コンクリートが 野暮に見え(梅田氏庭園)
庭園の 秋の公開 ジャストイン(同上)
中島の 左右に滝に 赤とんぼ(同上)
鶴亀の 石組配す 池の上(同上)
色付いた 紅葉に茶室 優美なり(同上)
石灯籠 無き景観は シンプルで(同上)
落ちる雪 霞ヶ池に 波紋立て(兼六園)
雪吊りや やっと出番が 来た様子(同上)
卯辰山 松の雪とが 同化せん(同上)
雪見する 徽軫灯籠 名の如し(同上)
雪吊りは 松に限らず 桜まで(同上)
雪吊りは 根上松や 省かれて(同上)
雪眺め 食べる昼食 月見そば(同上)
積る雪 じっと耐えるは 松の枝(同上)
憧れは 兼六園の 雪の月(同上)
鶴よ来い兼六園の 雪を見に(同上)
栄螺山 三重宝塔 雪化粧(同上)
金沢は 兼六園が 最後の日(兼六園/歴史的名所16) 55歳
松に雪 蓬莱島に 薄氷(同上)
わが胸の 吐息凍れる 冬の庭(同上)
明治村 叶わぬ今日の 雪景色(明治村聖ヨハネ教会堂)
教会は もぬけの殻で 祈り無く(同上)
薔薇窓の ステンドグラス 置物に(同上)
春近く 鉱山跡は 伝承に(阿仁伝承館)
過疎の村 走る機関車 愛おしく(同上)
春の夢 百六十年 金と銀(小坂鉱山事務所)
鉱山に 外人技師の 姿見る(同上)
小坂駅 今春廃止 惜しむなり(小坂駅)
運賃表 二等三等 懐かしき(同上)
Cタンク 蒸気機関車 展示され(同上)
ディーゼル車 キハ二千百 旅終える(同上)
黒塀に 武家屋敷林 羽黒町(横手の風景)
花の帯 秋田ふるさと 村景色(同上)
美術館 廊下展望 大作で(同上)
頓挫した ゴルフ場跡 木々が生え(同上)
鯉のぼり 風が無いので ひと休み(雄物川民家苑)
曲り屋の 低木未だ 雪囲い(同上)
新緑に 枝垂れ桜と 赤鳥居(同上)
床手すり 百年経ても ピカピカで(青森銀行記念館)
窓見れば 銀行らしき 鉄格子(同上)
肘折の 湯治場今は 観光地(肘折温泉/歴史的名所17) 55歳
飲泉所 球の割れ目に 湯がいづる(同上)
足湯から 眺める堰堤 銀の幕(同上)
温泉は 十軒十色 家並かな(同上)
普段着は 温泉街で 異邦人(同上)
街角に 長いすに掛け 昼酒を(同上)
車庫の屋根 小さな茅葺き 妙に見え(同上)
山の湯は 桃源郷の 春景色(同上)
屋敷には 切妻重ねた 土蔵まで(草薙家住宅)
庭園は 農家らしき 植栽で(同上)
生垣が 慎ましやかに 庭囲い(同上)
茅葺きの 家に思うは 縄文期(阿仁しょうぶ園)
湯田川の シンボル的な 正面湯(湯田川温泉)
湯の街に 数寄屋造りの 豪邸も(同上)
仏壇と 神棚寂し 拝されず(致道博物館・多層民家)
優美かな 採光窓と 煙出し(同上)
出島には 亀頭形した 石を立て(同上・酒井氏庭園)
築山の 奥の鳥海 今日見えず(同上)
夏の絵は 額縁庭園 御隠殿(同上)
署内には 初めて見る 乗り物も(同上・旧鶴岡警察署庁舎)
藩校は 孔子を祀る 例多し(旧致道館/歴史的名所18) 55歳
二千坪 礎石が残る 夏草に(同上)
柴門の 春雨庵は 涼しかり(春雨庵)
石碑立つ たくあん漬けの 発祥地(同上)
草庵に 沢庵禅師 像安置(同上)
国宝の 待庵の写し 見る茶室(同上)
茶室には 土岐氏ゆかりの 石灯籠(同上)
沢庵も 鶴脛の湯に 浸かりしか(同上)
奇観かな 岐阜の天命 反転地(養老公園天命反転地)
価値観の 反転するにり 夏の空(同上)
サルスベリ 数多の女工 眺めしか(旧富岡製糸場)
女工らの 頼みの糸は 診療所
操糸所に 野麦峠の 悲話浮かぶ(同上)
煙突の 煙りは消えて 二十年(同上)
夏の空 最古の民家 石置きで(同上)
見上げれば 大黒柱 棟木受け(同上)
漆喰の 壁には梁の 曲線美(同上)
板の間の 囲炉裏懐かし また涼し(同上)
重文で 営みがあり 非公開(松下家住宅)
大屋根と 肩を並べる サルスベリ(同上)
白壁の 土蔵は古く 江戸中期(同上)
中庭は 前面ガラス戸 秋明かり(吉島家住宅)
囲炉裏には 日々の暮らしの 暖かさ(同上)
豪商の 町家に残る 汗の跡(同上)
美術品 飾られもせず 蔵の中(同上/歴史的名所19) 56歳
吉島家 屋敷の井戸は 現役で(同上)
江戸情緒 明治に続く 煙草入れ(同上)
居間の上 木組み抜け行く 秋の風(日下部民藝館)
簾越し 優美な庭に 秋日さす(同上)
奥座敷 飛騨の匠の 置き土産(同上)
二階から 眺める庭に 秋の花(宮地家住宅)
また豪華 鳳凰台の 収蔵庫(飛騨高山)
悪党の 楠公功上げ 神となり(楠公誕生地)
産湯井戸 冬も凍らず 湧きいづる(同上)
音もせぬ 旧正門は 太鼓門(名張藤堂家邸跡)
庭越しに 冬の陽射しが 次の間へ(同上)
朱具足や 家宝を展示 祝の間(同上)
書院式 枯山水の 庭広く(同上)
門松や 商人館の 大晦日(伊勢河崎)
並び建つ 蔵に注連縄 年の暮れ(同上)
宿泊の 思い出今も 二見館(賓日館)
久々に 後楽園で 新年を(岡山後楽園)
茅葺きの 延養亭の 芝黄色同上)
冬の空 タンチョウ飛ばぬ 沢ノ池(同上)
旭川 絵になる景色 月見橋(同上/歴史的名所20) 57歳
井田は 刈られたままの 冬景色(同上)
庭園の 借景一部 ビル群で(同上)
中ノ島 島茶屋ゆかし 沢ノ池(同上)
望楼と 思えば流店 足湯風(同上)
花なくも 花交の池は 純朴で(同上)
大名の 口に似合わぬ わび茶かな(同上)
中ノ島 茶屋へと結ぶ 太鼓橋(同上)
柿の実が 落ちず年越す 新殿に(同上)
ウェルカム 神社門には 松飾り(閑谷学校)
赤茶色 瓦は全て 備前焼(同上)
聖廟の 礼拝戸惑う 初詣で(同上)
社殿には 仏教色の 花頭窓(同上)
また一つ 国宝巡る 旅叶う(同上)
講堂で 自由行動 坐禅かな(同上)
講堂の 内壁もまた 花頭窓(同上)
珍しさや かまぼこ型の 石塀は(同上)
旧校舎 トイレ臭突 懐かしき(同上)
四畳半 四季折々の 茶の湯かな(同上)
石塀の 外に茅葺き 教授宅(同上)
長屋門 急使の叩く 春の音(大石内蔵助屋敷跡)
屋敷跡 改築されて 資料館(同上)
目出度さや 庭に亀石 鶴出島(同上)
四日市 住んで知るなり 旧名家(楠歴史民俗資料館/歴史的名所21) 57歳
大砲に 島津の春を 見る思い(仙巌園)
桜島 仙巌園に 桜咲き(同上)
羽根伸ばす 鶴灯籠が 春の庭(同上)
飛び獅子が 石灯籠の 笠の上(同上)
四・五本の 古木の添え木 痛々し(同上)
錫門や 誰も通れる 門となり(同上)
御殿前 ソテツ群立 お出迎え(同上)
隅部屋の 居間の眺望 素晴らしく(同上)
灯籠に 御殿重なる 瓢池(同上)
石橋で 松と蘇鉄が 口喧嘩(同上)
春の海 仙巌園に 桜島(同上)
石造の ろ過地は時代 先取りで(同上)
園路には 石段続く 山道も(同上)
春告げる 曲水の庭 水の音(同上)
英明な 斉彬公 水源地(同上)
近寄れず 時雨の滝は 眺めだけ(同上)
滝見台 一万五千 坪の中(同上)
観水舎 かつては滝見 茶室建ち(同上)
桜島 煙りの空も 春霞(同上)
茅葺きの 家の畑は 春の花(押尾家住宅)
盆栽の 松見る如し 池の石(大濠公園日本庭園)
アオサギも 池を眺めて 悦に入る(同上)
池手前 渓流の滝 花を乗せ(同上)
書院風 庭の中心 茶会館(同上)
葉桜に ご苦労様と 松の声(同上)
池の橋 枝垂れ桜が 独り待つ(楽水園)
新緑の モミジに滝の 白き布(同上/歴史的名所22) 57歳
茅葺きに 新緑サクラ 色添えて(民家村自然広苑)
本屋と 釜屋平行 二棟建ち(同上)
鉤屋とは 平たく言えば 曲り屋で(同上)
九州に 合掌造り 初披露(同上)
板倉も 利賀村遥か 移築され(同上)
古民家に 出店が並ぶ 花見会(同上)
花よりも 鯉に餌やり 禊池(同上)
石葺きは 泥板岩を 羽重ねに(同上)
龍野にも 町家家並み 虫籠窓(龍野の風景)
醤油蔵 木樽は淋し 御用済み(ヒガシマル醤油資料館)
麹室 レンガ造りが 蔵の中(同上)
帳場には ランプ吊るされ 懐かしき(同上)
東屋で 臨む景色は 花の雲(聚遠亭)
浮堂の 茶室は花の 池に建つ(同上)
茶室には 桜と共に 心字池(同上)
紫門の 生垣の上 桜花(同上)
紅白の 桜に椿 咲き残り(同上)
三木露風 龍野の生まれ 詩碑が立つ(同上)
慎ましき 庭に灯籠 花は散り(武家屋敷資料館)
春の日や 障子の明かり 蚕部屋(下呂温泉合掌村)
風流に 身をおく下呂の ほほとぎす(同上)
屋根の草 白梅咲いて 和ませる(同上)
屋根裏の 蝋人形は 勤勉で(同上)
縁台に 苔の浜辺と 砂紋かな(同上)
裏側に 回れば外観 様変わり(同上)
合掌に 松の木伸びて 半世紀(同上)
茅葺きの 屋根には下呂の 温泉地(同上)
茶屋の屋根 草の新緑 侘び茶飲む(同上/歴史的名所23) 57歳
鉄柵の 門は少々 野暮に見え(岡部家住宅)
春となり 麗しきかな 庭の木々(同上)
池の水 管理が難き 土露わ(同上)
屋根裏の 梁の曲線 優美かな(同上)
珍しや 二つも下がる 自在鉤(同上)
茅の妻 中の欠き込み 意味不明(同上)
口能登で 十村屋敷の 喜多家へと(喜多家住宅)
切妻の 主屋大きな あずまだち(同上)
湯殿には 立派な湯桶 復元し(同上)
庭園は 人目を避けた 屋敷林(同上)
使者の間の 杉戸に花と 鳥の絵が(同上)
御座の間は 藩主本陣 刀掛け(同上)
十村役 明暗分ける 岡部家と(同上)
黒光る 屋根の小屋組み 剛健で(同上)
敷地内 家宝展示の 資料館(同上)
新たなる 民家も移築 江戸村は(金沢湯涌江戸村)
山川家 簡素な庭に 春の花(同上)
商家にも 二畳台目の 茶室あり(同上)
足軽の 家に床の間 掛軸も(同上)
吹抜けの 居間に風流 自在鉤(同上)
本陣に 明治天皇 御幸跡(同上)
奥能登の 農家の遺構 平家で(同上)
落武者の 末裔の家 慎ましく(同上)
居間二つ 肝煎野本家 大所帯(同上)
肝煎も 頭を下げる 上座敷(同上)
自在鉤 魚の木彫り 愛らしく(同上)
蕉風は 清水の里の 生地にも(生地の風景/歴史的名所24) 57歳
吹抜けの 折り上げ天井 浮かぶ星(旧森田銀行本店)
へっついの かまど見るなり 岸名家に(旧岸名家住宅)
風鈴の 短冊揺らぐ せどの風(同上)
二階には 月見に適す 角部屋も(同上)
俯瞰する スサノオの村 弥生郷(道の駅てんのう)
晩秋の 鞍掛沼に 馬見えず(同上)
高床の 倉庫の米は 秋田米(同上)
暮らしたい 竪穴式の 住居建ち
背には弓 牛に跨る スサノオ像(同上)
橋らしさ 鞍掛の橋 擬宝珠かな(同上)
道の駅 スカイタワーが シンボルで(同上)
比観亭 記念碑のみで 悲観する(比観亭跡)
茅葺きに 落葉留まる 表門(旧平山家住宅)
母屋端 切妻二階 優美かな(同上)
茅の軒 無粋に見える 赤トタン(同上)
階段の 手すりの擬宝珠 丸窓に(同上)
晩秋の 庭に見られぬ 雪囲い(同上)
台所 屋根切り上げた 高窓が(同上)
白壁の 土蔵シンブル 屋根一つ(同上)
茅葺きの 四阿燃やす 紅葉かな(同上)
広大な 庭に川あり 橋二つ(同上)
豪邸や 九百坪は 夢と消え(布嘉屋)
三連の 鶴の舞橋 太鼓橋(鶴の舞橋)
橋脚に 四百年の ヒバ用い(同上)
入母屋と 宝形ステージ 橋の上(同上)
紅葉の ふるさと不滅 茅の屋根(鶴の里ふるさと館)
行く秋を 淋しく見入る 鶴の里(同上)
茅葺きの 屋根の氷柱に 見る風情(旧増田家住宅/歴史的名所25) 58歳
母屋の土間 冬に懐かし 土匂う(同上)
飛石の 桜の花は 踏み難し(藤田記念庭園)
目を見張る 枝垂れ桜の 太き幹(同上)
花を見に 再びくぐる 表門(旧平山家住宅)
くの字した 松は主屋の 添景に(同上)
驚きは 七頭分の 馬屋かな(同上)
秋と春 同じ立ち位置 撮影す(同上)
庭園の 朱塗りの橋に ユキヤナギ(同上)
茅葺きの 庭に二本の サトザクラ(同上)
花咲いて 土蔵の白さ 引き立たず(同上)
別棟の 赤い屋根まで 花に見え(同上)
洋間には かつては蒲団 敷かれたり(旧斜陽館)
紺碧の 海と空には 常夜灯(浜町の常夜灯)
箱棟の 八方出しの 屋根優美(旧楠美家住宅)
茅の下 木口隠しは 珍しく(同上)
湾曲の 奇妙な引き戸に 襖絵も(同上)
露出する 木組はかんな 仕上げられ(同上)
中二階 茅の欠き込み 美しき(旧坪田家住宅)
グロマツは 松陰来歴 知る古木(弘前松陰堂)
提灯が こみせ通りの 夏飾る(黒石の風景)
エゾリスの 愛くるしさや 夏の庭(香雪園/歴史的名所26) 58歳
アオバトや 見るは久しき 目の前で(同上)
木造の 橋は弓なり 夏の池(同上)
半円の オンコはT字に 仕立てられ(同上)
石段に 杉の巨木が 仁王立ち(同上)
清らかな 池の上には 塔聳え(同上)
庭の名に 雪見灯籠 調和せし(同上)
園亭は 夏でも寒し 池の風(同上)
豪商の 別邸風雅 茅と鉄(同上)
築山に 枯山水の 石組も(梅村庭園)
渓流に 架かる素木の 太鼓橋(同上)
中島の 景石妙な 立石で(同上)
赤と白 蓮の花見る 茶室かな(同上)
森林に 緑の建屋 マッチして(青森市森林博物館)
寄棟の 屋根には出窓 ルネサンス(同上)
夢遂げる 高田屋嘉兵衛 フロンティア(高田屋嘉兵衛資料館)
倉庫長 百メートルは 驚きで(金森赤レンガ館)
創業の 洋物店は 復活す(同上)
今もなお 領事の家族 居る如し(開港記念館)
ジュウタンは 箱館開港 鳥瞰図(同上)
庭園に ブロンズ製の 噴水も(同上)
一階の 廊下懐かし ガラス窓(旧函館区公会堂)
この時代 トイレは和式 木製で(同上)
客室の 展示は豪華 調度品(同上)
赤塗りの 車輪は鉄の 人力車(同上)
御寝室 赤いジュータン ワンパターン(同上)
ステージの 高天井で 秋の歌(同上)
青と白 函館港の 秋景色(同上)
珍しき 鉄板屋根は 緑色(旧相馬邸)
屋根の上 函館山の ロープウェイ(同上)
緑色 八角塔屋 秋の空(函館ハリストス正教会/歴史的名所27) 58歳
外壁の 白漆喰が 美しき(同上)
風見鶏 気ままなようで 不自由も(カトリック元町教会)
奇観かな 和洋折衷 店構え(旧金森洋物店)
棟ごとの レンガ煙突 煙りなく(旧ロシア領事館)
函館に 咲かざる花は 中華街(函館中華会館)
寄棟の 茅葺き屋根が 幾重にも(大内宿)
本陣で 偲ぶは容保 殿様を(同上)
誠実に 復元されたり 奥座敷(同上)
茅葺きの 子安観音 石段(同上)
トタン屋根 茅葺き屋根に 葺き替えも(同上)
寒村の 宿場は今や 観光地(同上)
赤レンガ 八角ドーム 博多にも(旧日本生命九州支店)
階段の 踊り場の隅 秋の花(旧福岡県公会堂貴賓館)
廊下まで 絵画飾るが 目より下(同上)
ペチカ風 壁埋め込みの 暖房機(同上)
貴賓室 八角塔屋 二階部に(同上)
武家屋敷 茅葺き家屋 三棟も(島原武家屋敷)
下級武士 生垣の中 庭構え(同上)
古びたる 太鼓石橋 羅漢寺に(石見銀山遺跡)
羅漢寺に 桜と水仙 彩りを(同上)
銀山も 出雲の国か 御前そば(同上)
町の屋根 石州瓦 赤多く(同上/歴史的名所28) 59歳
町家建て 郵便局は 現役で(同上)
町並みに 電柱無きが 魅力でも(同上)
塀廻す 富裕な家は 二階建て(同上)
平入りの 町家に映える 外障子(同上)
春なのに 風鈴を売る 雑貨屋も(同上)
菜の花や 銀山川の 石橋に(同上)
鮮魚店 新たな看板 ごま豆腐(同上)
切妻の 木造校舎 シンプルで(同上)
町外れ 庭付き民家 花盛り(同上)
上流の 石の間も 菜の花で(同上)
吹屋跡 復元すれば よりリアル(同上)
山里に 相応しき音 寺の鐘(同上)
屋根以外 渡辺邸は 黄土色(同上)
人疎ら 遺産センター 閑古鳥(同上)
六分咲き ドームの桜 喜べず(広島原爆ドーム)
皮肉にも アメリカ製の 金庫とか(旧日本銀行広島支店)
母を背に 山陽連れ立つ 吉野山(頼山陽史跡資料館)
木造の 五連アーチは 日本一(錦帯橋)
夢に見た 錦帯橋の 花の宴(同上)
屋根裏の 一部に二階 設えて(旧目加田家住宅)
オレンジの 漆喰の壁 珍しき(同上)
菩提樹の 古木が庭の 主となり(同上)
長屋門 十三間と 長大で(吉香公園)
名は不明 数寄屋造りの 邸宅が(同上)
門入れば 桜の花道 徴古館(同上)
花の上 岩国城の 天守閣(同上)
吉川家 最後は瀬戸に 里帰り(吉川史料館)
殿の駕籠 担ぐ人なし 史料館(同上)
旧ホテル 八角塔屋 春の空(旧三笠ホテル/歴史的名所29) 59歳
茅葺きの 突上御門 風流に(西山荘)
春の日や 洗耳の滝に 耳澄ます(同上)
華やかさ 桜ヶ池の 錦鯉(同上)
春草が 役にも立つや 茅の棟(同上)
黄門の 質素倹約 茅の庵(同上)
軒下の 半鐘に聴く 時の音(同上)
守護宅で 印籠取り出す 格さんが(同上)
御文庫は 黄門様の 置き土産(同上)
心の字の 紅蓮池の 木々芽吹く(同上)
九年余 西山荘を 漫遊し(同上)
園路には 日光遮る 竹林も(同上)
田植えする 黄門様が ご前田に(同上)
紅枝垂れ 自己にうっとり 池の上(同上)
噴水に 西洋の庭 合わせ見る(同上)
光圀の 桃源橋が 店の名に(同上)
ショーケース 水戸黄門の 旅姿(同上)
春の日や 板取宿の 石坂に(板取宿)
茅葺きの 民家四棟 宿場跡(同上)
宿場跡 物見櫓が 坂の上(同上)
哀れかな 切妻二階 廃屋に(同上)
名も知れぬ 大きな茅屋 名田庄に(道の駅名田庄)
瓦屋根 集落の中 村八分(美山かやぶきの里)
ギャル二人 カメラを向ける 茅の家(同上)
跡継ぎの 有無を知らせる 鯉のぼり(同上)
三連に 並ぶ入母屋 壮観で(同上)
茅葺きに ハナモモの花 紅色に(同上)
茅の里 百花繚乱 家々に(同上)
最近は 知名度上がり 客多し(同上)
玄関の 茅ははね出し 雨よけに(同上)
母屋の中 牛一頭も 同居して(同上)
納屋や蔵 農具や雑貨 二百点(同上)
資料館 庭の借景 茅の屋根(同上)
桜咲き 桃源郷の 趣が(同上/歴史的名所30) 59歳
集落の 外れはトタン 瓦屋根(同上)
赤ポスト 茅葺き集落 添景に(同上)
由良川と 山の間に 茅の里(同上)
茅葺きに 色を添えたり 里桜(在原集落)
コンクリの 水路に消えた 瀬の流れ(同上)
在原の 集落映り 水田に(同上)
棟門や 格式高き 宮司宅(旧瓜生家住宅)
移築した 場所は静かな 屋敷林(同上)
縁側の 庇は優美 柿葺き(同上)
奥に間の 部屋の間取りは 田の字形(同上)
床の間は 白漆喰が シンプルで(同上)
川端家 剥がれた壁や 痛々し(篠山河原町)
妻入りに 平入り混じる 景観も(同上)
公開の 鳳凰会館 覗き見る(同上)
一戸建て 建売住宅 見る如し(同上)
丹波にも 能楽文化 資料館(同上)
妻入りに 平棟寄せた 家も建ち(同上)
ハイカラな うだつを上げた 古民家も(同上)
電柱が 無ければ評価 八十点(同上)
柵立てて 立派な町家 引き籠り(同上)
町並みに 開放的な 寺も建ち(同上)
町外れ 平屋の家が 目立つなり(同上)
春草に 藩の学び舎 埋もれて(篠山藩校跡)
城濠に 茅葺き屋根の 武家屋敷(篠山の風景)
茅葺きの 武家屋敷みな 千木を載せ(小林家住宅)
鈴木家の 入母屋の茅 春の空(鈴木家住宅)
箱庭に 水琴窟の 音響く(同上/歴史的名所31) 59歳
下級武士 土蔵構える 豊かさで(同上)
ひな人形 横には具足 展示され(同上)
玄関の 土間の上に 番傘が(同上)
庭園は 九百坪に 不揃いに(青山歴史村)
桂園舎 座敷の襖 我家なみ(同上)
奥座敷 極めて質素 八畳間(同上)
なつかし屋 昭和の駄菓子 消えもせず(篠山岩橋商店)
市役所の デカンショ踊り 像ゆかし(篠山市役所前)
離れには 移築されたり 爛柯亭(若宮家住宅)
城の他 シンボル新た 時鐘かな(越前大野結ステーション)
城下町 結楽座建て 衣替え(越前大野結楽座)
居間の隅 中二階への 梯子見え(おさごえ民家園)
入母屋の 端に厩を 併設し(同上)
主屋横 池の水車が 涼しげで(同上)
釜戸から 今でも湯気が 立つ気する(同上)
岡本家 土蔵も移築 消え残る
軒下の 薪はリアルな 雰囲気で(同上)
灰小屋に 農家の暮らし 思い見る(同上)
懐かしき 昭和の匂い 外便所(同上)
庭園が 移築の家屋 引き立てる(同上)
座敷から 眺める庭に 夏の風(同上)
作業する 土間の人形 リアルなり(同上)
居間広く 往時の所帯 目に浮かぶ(同上)
大棟の 上にはつのや 棟重ね(同上)
下人らは 土間にムシロを 敷いて寝る(同上)
家族らは 畳の上で ぬくぬくと(同上)
座敷には 地元福井 町並みが(同上)
中二階 登る梯子は やや怖く(同上/歴史的名所32) 59歳
民家園 今日は七夕 飾りなし(同上)
旅籠屋の 雰囲気残す 旅館建ち(三国の風景)
壁破れ 哀れな町家 街角に(同上)
新しき 民家の壁は 板張りで(同上)
夏草や 一尺ほどに 軒に生え(堀口家住宅)
奥二部屋 厩以外は 一つ間に(同上)
厩には 芭蕉も聞いた 音を見る(同上)
たわむ梁 栗の素材に ちょうなかけ(同上)
豪快な 雪国らしき 屋根組みで(同上)
舟小屋に 抜ける夏風 湖畔かな(三方湖の風景)
黒壁の 二階の屋根は 妙な棟(小浜西組)
間口より 奥行三倍 町家見る(同上)
門前に 焼き鯖すしの 若廣が(同上)
常然寺 町並み灯す 浄土かな(同上)
珍しや 庚申堂の 鳥居かな(同上)
町並みに 唯一の花 ムクゲ咲く(同上)
観光化 されずに静か 西組は(同上)
家並には 庚申信仰 くくり猿(同上)
観音の 水月道場 名や如何に(同上)
喉澄ます 若狭名水 瀧の水(同上)
中庭の 奥には土蔵 財を成し(同上)
うだつ立つ 丹波屋酒店 大町家(同上)
妻壁の 柱や梁を 装飾に(加賀東谷荒谷)
草茂る 離村の家に 赤とんぼ(同上)
里いもの 畑に白壁 赤瓦(同上)
荒谷に 一軒だけが 食堂を(同上)
窓の外 動橋川 秋の音(同上)
今立の 白山神社も 赤瓦(加賀東谷今立)
不憫かな 畳の上の ショーケース(石川県民の森/歴史的名所33) 59歳
休憩舎 七間四方 二重屋根(同上)
秋行けば 九谷の聖地 山裾に(九谷磁器窯跡)
古九谷や ブロック塀と 鉄扉(同上)
集落は 川に挟まれ 曲折す(加賀東谷杉水)
石積みの 棚田の上に 主屋建つ(加賀東谷大土)
土壁の 倉にイヌタデ 色を添え(同上)
奇怪なる 彫刻が立つ 道端に(同上)
切妻の 双子のような 家並び(同上)
大土は 平家の落人 土着して(同上)
唐黍の 枯れた様子は 淋しかり(同上)
稲実る 棚田の奥は 杉林(同上)
鎮守社の 大土神社 神いかに(同上)
一里塚 陽射し遮る 榎植え(千束一里塚)
秋風に 芭蕉の影が 見え隠れ(同上)
松阪の 未だ見ぬ名所 めぐる秋(善福寺)
御城番 再び歩く 江戸情緒(松阪御城番)
松阪の 商人江戸で 華咲かす(松阪商人の館)
三井邸 開かずの門に 高い塀(三井家発祥地)
秋風や おはらい町は 江戸情緒(伊勢おはらい町)
伊勢参り 精進落とし 火は消えて(同上)
赤福の おかげ横丁 風吹かす(伊勢おかけ横丁)
行く秋や 積小為大 遠い道(二宮尊徳誕生の家)
尊徳の 晩年像は 希少なり(同上)
哀しさや 湖底に消えた 世附村(三保の家)
囲炉裏には 鯉の彫物 自在鉤(同上)
名に高き 足柄峠 秋の富士(足柄峠)
関所跡 襟を正すか おじぎ石(同上)
石に染む 新羅三郎 吹く笛は(同上)
高床に 弥生時代の 智恵を見る(八丈島歴史資料館/歴史的名所34) 59歳
流人らが 玉石垣を 築きしと(八丈島ふるさと村)
茅葺きの 豪華なトイレ 閑所とか(同上)
母屋では 八丈太鼓 初叩き(同上)
三度目は 後楽園の 秋景色(岡山後楽園)
華やかさ 鶴鳴館の 菊展示(同上)
秋雨に 物憂く見える 沢の池(同上)
菊の花 延養亭の 茅葺きに(同上)
鶴舎では タンチョウ八羽 食事中(同上)
最高の 庭の借景 天守閣(同上)
砂利島の 雪見灯籠 良き眺め(同上)
島からは 少し距離おく カモの群れ(同上)
中の島 映る紅葉に 錦鯉(同上)
明治初期 郵便局に 黒ポスト(竹原の風景)
石段の 上には浄土 西方寺(同上)
殆どの 屋根は統一 棒瓦(同上)
醤油蔵 お好み焼きの ほり川に(同上)
見上げれば 町のシンボル 普明閣(同上)
祠では 竹原最古 胡堂(同上)
白塀に 風穴開けた 門構え(旧光本家住宅)
カットした 竹を様々 庭に立て(同上)
妻入りの 屋根の丸みが 優美なり(旧松阪家住宅)
台柿は 頼山陽の 遺愛とか(同上)
主屋上 重なる景色 普明閣(同上)
古箪笥 畳の上に 展示して(同上)
庭にまた 竹原だけに 竹を立て(同上)
電柱が 二階の眺め 悪化させ(旧笠井家住宅)
屋根裏に 番傘吊られ 梁飾る(同上)
二階には 名も無き画家の 屏風絵が(同上)
庭園は 遠州流の 趣で(旧森川家住宅)
灯籠に 遊び心の 竹細工(同上)
石張りの 主屋の土間に 秋の風(同上/歴史的名所35) 59歳
驚きはは 二畳半分の 長畳(同上)
奥座敷 床の間飾る 山水画(同上)
中庭に 飛石優雅 三・四連(同上)
不二庵の 茶室を移築 名家から(同上)
黒松の 幹には紅葉 色添えて(同上)
土間の上 くの字の梁が モニュメント(頼惟清旧宅)
裏庭に 頼山陽の 詩碑が立ち(同上)
新しさ 町家の蔵の ビアホール(豊後竹田)
築地塀 道の両側 武家屋敷(同上)
季節柄 創生館は 菊花展(竹田創生館)
奥座敷 甲冑展示 十二点(同上)
洞窟に 大友宗麟 その後見る(キリシタン洞窟礼拝堂跡)
石器期を 彷彿させる 洞窟も(同上)
かがり火に 紅葉も燃える 茶寮かな(竹田茶寮)
隠居部屋 草際吟舎 土蔵とは(旧竹田荘)
筆塚や 文人らしき 一面も(同上)
茶室では 花竹幽窓 号名乗り(同上)
旧商家 店舗の中に 人力車(豊後竹田の風景)
名が残る 滝廉太郎 トンネルに(同上)
鮮やかな 紅葉出迎え 毛利邸(防府旧毛利邸)
入口の イロハモミジは 紅色に(同上)
生垣の 上に紅葉の 並木なり(同上)
前庭の 砂利道広く 海に見え(同上)
松の木の 刈込まるで キノコ雲(同上)
玄関に 唐破風屋根の 車寄せ(同上)
入母屋の 二重の屋根に 花頭窓(同上)
瓦屋根 軒はトタンで 赤と青(同上)
刈り込んだ サツキ飛石 縫う如く(同上)
中庭の 蹲踞の先 大ソテツ(同上)
外戸には 六角灯籠 棒立ちし(同上/歴史的名所36) 59歳
階段の 秋の陽射しは 花頭窓(同上)
二階には 庭園一望 大広間(同上)
浴室の 湯船は豪華 大理石(同上)
本館の 南広場は 芝の海(毛利氏庭園)
主役の座 松はモミジに 席譲り(同上)
腰折れの 松は健気に 秋の空(同上)
滝組に ミモジとサツキ 対比せし(同上)
園路には 赤いトンネル ヤマモミジ(同上)
灯籠の 笠に本邸 屋根が載る(同上)
低木の イロハモミジが 可愛げに(同上)
池の側 灯籠の有無 大違い(同上)
池の端 橋石組が 景石に(同上)
本邸の 奥の山々 池に映え(同上)
弓形の 白い石橋 紅葉染め(同上)
睦ましく ひょうたん池に 二羽のカモ(同上)
池の岸 舟着場跡 石残り(同上)
中の間は 採光優し 吹抜けで(宮島歴史民俗資料館)
間口より 奥行き長し 月並みに(同上)
展示品 写真パネルが 壁を埋め(同上)
蔵の中 宮島名物 大杓子(同上)
家並みの 奥には古き 多宝塔(同上)
空覆う イロハモミジの 三本木(同上)
五百坪 中には庭園 池備え(同上)
錦鯉 水面に映る モミジ追う(同上)
町家には 映画のセット 見る如し(宮島の風景)
誕生日 レリーフ像が 曇らせる(乙女峠マリア聖堂)
殉死者の 墓は悲しき 無縫塔(同上)
寒空に 織部灯籠 マリア像(同上)
白塀に 石州瓦 赤い屋根(亀井温故館)
塀越しに わずかに見える 庭の池(同上)
新築の 公民館に 薬医門(津和野町公民館/歴史的名所37) 60歳
用水路 色様々な 錦鯉(藩校養老館)
切妻の 簡素な書庫は 二階建て(同上)
鷗外の 学んだ藩校 石碑立つ(同上)
鷺舞や 八坂神社の 神事とか(津和野の風景)
教会の 中は珍し 畳敷き(津和野カトリック教会)
赤瓦 沙羅の木本店 赤ポスト(松韻亭沙羅の木)
冬来ても 殿町通り 人絶えず(殿町通り)
暖簾分け よしのや旅館 泊りたき(よしのや旅館)
自販機を 壁に埋め込み 美観保持(古橋酒造)
良く見れば 通りの電柱 撤去され(本町通り)
津和野には 酒蔵三軒 味競う(華泉酒造)
寒村に 銅の恵みが 花と散る(堀庭園)
広き土間 三連カマド 大所帯(同上)
重厚な 金庫が戸棚 居間の中(同上)
浴室は 昭和の雰囲気 タイル張り(同上)
飛石と 灯籠二基は 目立ち過ぎ(同上)
三畳間 茶室の隙間 侘びの味(同上)
好きな部屋 床の間付きの 六畳間(同上)
真っ白な 土蔵に映る 残り木葉(同上)
二階から 名勝庭園 俯瞰する(同上)
飛び石の 角に小さな サツキ玉(同上)
天神社 小さな釣鐘 冬の音(同上)
苔生した 灯籠の笠 作為的(同上)
石積みの 祠は何故か 古墳風(和楽園/歴史的名所38) 60歳
中島に 雪見灯籠 二基も立ち(同上)
淋しさは 魚影が見えぬ 養魚池(同上)
陶磁器の イスとテーブル 冬うちわ(同上)
哀れかな 堀翁像 台座のみ(同上)
堀邸は 銅山王の 夢の跡(同上)
大東亜 戦争に因む 大東寺(大崎下島御手洗)
なまこ壁 二階の壁は 珍しき(なまこ壁の屋敷)
御手洗に 日本最古の 時計店(松浦時計店)
赤ポスト 前に水色 理容院(平野理容院)
港町 酒と女は 月にカモ(若胡子屋跡)
鉄骨の 耐震補強 痛々し(同上)
菅公の 手洗い伝承 御手洗に(天満宮)
拝殿の 屋根は住吉 瓜二つ(同上)
江戸期築 町家は御手洗 百軒も(江戸の町家)
平成の 町家はシック 白壁で(平成の町家)
木製の オルガン展示 時代差が(旧柴屋住宅)
蔵の中 測量絵図の レプリカが(同上)
路地通り 自転車一台 通る幅(同上)
妻入りの 白壁二階 壮観で(常盤通り)
洋風の 建屋殆ど 水色で(港町交流館)
道路より 突き出す鳥居 前は海(恵比須神社)
鳥居から 拝する小島 無人島(同上)
えびす様 商売の神 港にも(同上)
冬晴れに 二階の雨戸 息ひそめ(御手洗の風景)
紺碧の 海に桟橋 赤映えて(御手洗港)
御手洗に 七卿落ちの 足跡が(七卿落遺跡)
裏通り 景観損ねる 廃屋も(御手洗の風景)
石垣の 上に鐘楼 冬もみじ(満舟寺)
荒神社 戸板は破れ 名の如し(荒神社)
木原家は 塩田酒造 商家なり(旧木原家住宅/歴史的名所39) 60歳
白壁に 冬の陽射しや 和らげに(伊原惣十郎家)
地主邸 ブロック塀は 腑に落ちず(伊原八郎家)
冬晴れに 鐘楼門が 赤く浮く(養国寺)
庫裡の前 一本松に 冬陽射し(同上)
境内の 空間五棟 赤い屋根(同上)
福美人 レンガ煙突 冬晴れに(福美人酒造)
杉玉が 切妻造り 白壁に(賀茂泉酒造)
白牡丹 酒造の主屋 屋根に鯱(白牡丹酒造)
灘・伏見 続く西条 三大で(賀茂鶴酒造)
なまこ壁 左右正面 酒蔵に(同上)
洋館の 後ろに和館 建ち並ぶ(潮聲閣洋館)
手洗いの 壁に水牛 角を掛け(同上)
仏間には 豪華仏壇 金ピカに(潮聲閣和館)
財を成し 後世に残る 家を建て(同上)
石造の 湯船の内は 桐の枠(同上)
石垣に 白塀美し 冬の空(吉原家住宅)
鞆の浦 正月二日 虫の息(鞆の浦)
路地裏に 江戸の古民家 さりげなく(同上)
国史跡 シートが哀れ 寺の屋根(福禅寺)
保命酒 蔵元四軒 鞆の浦(肥後屋)
帳場には 廻船問屋 面影が(枡屋清右衛門宅)
古箪笥 畳も同じ 古さかな(同上)
隠れ部屋 梯子に代わる 階段も(同上)
招き屋根 二階天井 隠れ部屋(同上)
五世紀の ささやき橋に 忍ぶ恋(ささやき橋/歴史的名所40) 60歳
鹿助 胴は高梁 首は鞆(山中鹿助首塚)
山門で 獅子か逆立ち 屋根の端(慈徳院)
うだつ上げ なまこ壁上 虫籠窓(鞆の浦の風景)
邸内は 七卿落ちの 遺跡とか(太田家住宅)
屋根の下 忍び返しに 身震いする(同上)
店の間に 保命酒消え 百余年(同上)
敷地路地 白壁互いに にらめっこ(同上)
小料理屋 おてびは町家 粋な店(鞆の浦の風景)
下関 港は門司に 先越され(下関の風景)
門松の 飾りゆかしき 冠木門(縮景園)
景観美 観欄橋の 木船かな(同上)
冬の庭 赤い欄干 華やかに(同上)
菰を巻きく 松の木冬の 風物詩(同上)
耳澄まし 聴いてもみたい 雁の音を(同上)
茅葺きの 四阿優美 超然居(同上)
池の側 連なる柿 冬の侘び(同上)
造形美 清風館に 跨虹橋(同上)
跨虹橋 上に四阿 好き眺め(同上)
冬陽射し アオサギ一羽 ご満悦(同上)
濯纓池 イーストタワー 借景し(同上)
小松には 虫は付かんと 菰巻かず(同上)
傘形の 粋な休屋 看花榻(同上)
冬の日の 庭の彩 錦鯉(同上)
大ソテツ 土から上は 防寒着(同上)
初雪や 雪見灯籠 笠の上(同上)
長持ちが 五つも二階 物置に(むろやの園/歴史的名所41) 60歳
無造作に 置かれた琴は 音はせず(同上)
床の間の 前に脇息 客気分(同上)
室屋とは 小田家の屋号 油商(同上)
手鏡に 写るは老いた 我が顔で(同上)
ガラクタも 所狭しと 展示して(同上)
革鞄 柳行李が 懐かしく(同上)
商家にも 甲冑弓矢 鉄砲も(同上)
蔵の中 漆器や陶器 ショーケース(同上)
本業の 油締め場に 古道具(同上)
切妻の 土蔵シンプル ただ白く(同上)
書庫の中 文書千点 県文で(同上)
中庭の 木々の剪定 不自然に(同上)
正月の 挨拶遠き 長屋かな(同上)
浴室は 洗い場もなく 湯桶のみ(同上)
家族用 石風呂広く 洗い場も(同上)
裏庭に 空鉢淋し 放置され(同上)
白壁に 日は照り返す 柳井街(柳井の風景)
藤坂屋 三角餅の 暖簾下げ(同上)
軒下の 金魚提灯 正月も(国森家住宅)
帳場には 油問屋の 匂い染む(同上)
一階は 床上五室 中規模で(同上)
土間通路 黒光る梁 吹抜けに(同上)
店二階 板敷きの部屋 物置で(同上)
犬矢来 見方変えれば バリケード(佐川家住宅)
目がハテナ 右横書きの 看板に(しらかべ学遊館)
図書室で 探す書物は 郷土誌で(同上)
裏庭は 枯山水に 改修し(同上)
町家より 創業新し 食堂も(ひらもと食堂)
電柱が 掛屋小路の 道塞ぐ(掛屋小路)
黒塀や 粋に見えるは 他所の塀(同上)
柳井川 水運消えて 一世紀(柳井川/歴史的名所42) 60歳
憩の場 町かど広場 川沿いに(町かど広場)
白壁と 山の緑に 青い空(同上)
橋の先 白壁群が 冬晴れに(宝来橋)
様々な イベント開催 蔵の中(やない西蔵)
本陣は白黒塀に 御成門(神辺本陣)
奇観かな 土蔵を載せた 長屋門(同上)
玄関の 屋根は入母屋 すがる破風(同上)
札の間に 西国大名 札掲げ(同上)
蘇鉄の葉 寒さ凌ぐも 先は枯れ(同上)
本屋と 塀の間は 庭が埋め(同上)
石垣の 養魚池の水 防火兼ね(廉塾及び菅茶山旧宅)
白壁の 汚れを落とす 赤ツバキ(同上)
平屋建て 一部二階は なまこ壁(同上)
祠堂 茶園の先に さりげなく(同上)
用水路 石段築き 洗い場に(同上)
表門 外は街道 中国路(同上)
冬の池 福山城の 天守閣(福山福寿会館)
庭園に 頭上注意の 門が建つ(同上)
西茶室 三畳台目 利休風(同上)
中潜 東茶室は 待合も(同上)
吹抜けの 高天井は 度肝抜く(旧海軍兵学校)
壇上に 日の丸支える 旭日旗(同上)
玄関に 錨と桜 紋章が(同上)
生徒館 長さ百五十 メートルも(同上)
冬晴れに 白亜の柱 六本が(同上)
戦艦の 巨大砲塔 展示され(同上)
江田島の 古鷹山は シンボルで(同上)
相輪の 歪んだ形 被爆の跡(山陽文徳殿/歴史的名所43) 60歳
離れでは 東郷元帥 無言なり(入船山記念館)
館内に 戦艦陸奥の 模型展示(同上)
応接間 高天井に シャンデリア(同上)
長官の 椅子には浮かぶ 顔はなく(同上)
食堂は 平天井に ペンダント(同上)
六畳間 離れ座敷は 茶室風(同上)
やや広き 座敷四室 田の字形(同上)
奥北の 座敷の外に 庭もあり(同上)
番所跡 石のベンチに 春の風(東大番所跡)
町家には ポツンと洋館 医院跡(旧河野医院)
白壁の 小路にそぐわぬ アスファルト(城東の風景)
虹の家 町家一階 喫茶店(城東虹の家)
だんじりの 屋形は同じ 小規模で(だんじり展示館)
誇大かな 作州城東 屋敷の名(作州城東屋敷)
今もなお 男はつらいよ ポスターが(同上)
宅内の 白漆喰の 壁高し(箕作阮甫旧宅)
離れには 切妻二階 棟並べ(同上)
二階建て 白壁土蔵 二棟建つ(城東むかし町屋)
土蔵では ひな人形と 版画展(同上)
茶室には 客を持て成す 亭主なく(同上)
旧商家 電柱が無き 良き眺め(同上)
十字路や 町家一軒 消え失せて(城東の景観)
通り過ぎ 城下独自の 鍵曲(同上)
春の雲 南の池の 一面に(衆楽園/歴史的名所44) 60歳
作州の 大名庭園 花盛り(同上)
余芳閣 宿泊するや 春の夢(同上)
細長き 池に四島 線上に(同上)
曲水は 小石を敷いた 涸れ流れ(同上)
枝細る 枝垂れ桜は 花伸びず(同上)
中島 親子桜が 慎ましく(同上)
咲く桜 二連石橋 先に見る(同上)
琴柱形 灯籠の上 糸桜(同上)
茅葺きの 風月軒に 桜添い(同上)
丸窓は 風月軒の 昼の月(同上)
草庵の 外にウグイス 内に侘び(同上)
中島 土橋は古風 添景に(同上)
ひっそりと 五重石塔 島の立つ(同上)
石庭に 現代的な 資料館(宮床宝蔵)
桜散り 宮床伊達家 名は残り(同上)
石垣の 下で空しく 門見上げ(松江菅田菴)
庇のみ 春の陽射しに 照らされて(同上)
主屋には 注連縄下げた 冠木門(荒木家住宅)
茅葺きの 屋根の下に 薪積まれ(堀江家住宅)
赤瓦 白い土蔵の 腰グレー(同上)
勝山が 枯山水の 借景で(足立美術館)
ガラス越し なのに絶景 足立園(同上)
回廊の 生の額絵は 音は消え(同上)
池泉には わずかにツツジ 咲き残り(同上)
灯籠に ノムラモミジが 紅く映え(同上)
妙な名や 生の額絵の ネーミング(同上)
通路には 左右正面 なまこ壁(同上)
ありふれた 景観も良し 雑木林(同上)
勝山に 白砂青松 凝縮す(同上)
足立園 春夏秋冬 眺めたき(同上)
淋しげな 五十路の命 遺髪塔(小泉八雲記念館)
庭眺め 八雲は日本 美を記す(小泉八雲旧居)
書斎から 二百余坪の 庭が見え(同上/歴史的名所45) 60歳
床の間の 掛軸屏風 ああ日本(同上)
中級の 武士の屋敷は 慎ましく(松江武家屋敷)
侘び茶には 不釣り合いなり 貴人口(明々庵)
本席は 二畳台目 躙口(同上)
水屋には 簾の光り 優しげに(同上)
待合の 屋根は軽やか 木端葺きで(同上)
宇品にも 被爆遺構 資料館(広島市郷土資料館)
懐かしき 土蔵そのまま 記念館(倉敷アイビースクエア)
大長屋 愛美工房 寄宿舎か(同上)
明治期に 紡織工場 花咲かす(同上)
中庭の 池には亀が 群れをなし(同上)
シンボルは 四百余坪 テラスかな(同上)
思い出す アンノン族が 行く時代(同上)
正門を 入りて裏門 空財布(同上)
刑務所を ふと思い出す レンガ塀(同上)
閉ざされた 斎館淋しき 灯籠も(倉敷阿智神社)
斎館に 古代庭園 鶴と亀(同上)
神社では 水琴窟は 珍しき(同上)
飛石の 先の磐座 藪の中(同上)
商家町 造り酒屋は 付き物で(森田酒造)
昔観た 民藝館は 存続し(倉敷民藝館)
倉敷は 家に一つか オルゴール(大橋家住宅)
居間の中 まだ生活の 温もりが(同上)
豪商も 入れ替わるなり 新座敷(同上)
内庭の 灯籠二基は 余分かな(同上)
坪庭の 大きな壺は 洒落なのか(同上)
代官も 特別扱い 大橋家(同上)
心地良い 風が庭から 座敷へと(同上/歴史的名所46) 60歳
庭園は 近江八景 模したとか(新渓園)
林泉に アジサイの花 咲き残り(同上)
築地塀 剣先の柵 無粋かな(倉敷美観地区の風景)
オレンジの 塀の向かいに グレー壁(同上)
ピカピカな 薬医門建つ口出入口(小倉城庭園)
地面より 低きがゆえに のぞき池(同上)
木間より 書院の建屋 夏空に(同上)
入母屋の 書院一部 池の上(同上)
広縁で 眺める庭は 格別で(同上)
書院から 眺める先に 天守閣(同上)
アジサイの 花に寄り添う 池の鯉(同上)
展示品 ままごと道具 予想外(同上)
寝室は 迎賓館の 趣で(旧三井倶楽部本館)
浴室は バスタブ一つ 大部屋に(同上)
やや狭き 二階の廊下 ホテル風(同上)
窓の外 レトロハイマート 門司港に(同上)
展示室 大正ロマン 追憶す(同上)
先輩の 大阪商船 窓の見え(同上)
地下階に 海のギャラリー 展示室(旧大阪商船)
梅花石 ウミユリ化石 日本一(同上)
レトロ地区 洋風建屋 目白押し(旧門司税関)
港町 門司の雰囲気 横浜似(同上)
負の遺産 原爆ドーム 夏の空(原爆ドーム)
反り返る 屋根の庇が 唐風で(渝華園)
東屋の 罨秀亭の 屋根は羽(同上/歴史的名所47) 60歳
涼しさは 中くらいなり 洗秋池(同上)
鮮やかな ブルーの司祭 夏空に(旧司祭館)
階段の 木の温もりは そのままに(同上)
各部屋の 暖炉はゆかし 雪の国(同上)
一・二階 裏にベランダ 夏陽射し(同上)
古写真で 燕岳の 昔知る(旧開智学校)
教室で 学んだ生徒 名を知らず(同上)
模型では 裏にも校舎 壮大で(同上)
二階には 明治天皇 御幸の間(同上)
額縁の 天皇皇后 金屏風(同上)
相輪に 東西南北 方位文字(同上)
座敷から 眺める庭は 素朴なり(高橋家住宅)
松本で 希少な家屋 武家屋敷(同上)
大木の ヒマラヤスギは 日除けかな(あがたの森公園)
本館の 廊下は好きな モスグリーン(旧制松本高校本館)
シャンデリア 校長室は 貴賓室(同上)
卒業者 以外と多い 作家たち(同上)
先遠き 廊下は狭き 門出かな(同上)
中庭は 洋式庭園 シンプルで(同上)
蒼穹の ブロンズ像は リアル過ぎ(同上)
驚きは ホールの広さ 百坪も(旧制松本高校講堂)
花壇には ブロンズ像が 三様に(あがたの森公園)
客もなく 殺風景な 夏芝生(同上)
亀石に 五匹の亀が 甲羅干し(同上)
東屋の 欄干の上 ハト三羽(同上)
一輪の ヒマワリ何故か 池の側(同上)
曲水で 詠む歌もなく 汗流す(同上)
琴平は 参道の外 見る価値が(琴平町公会堂)
通路には 庭園らしき 粋な屋根(中津万象園/歴史的名所48) 60歳
絵画館 バルビゾン派の 絵を展示(同上)
秋空に 邀月橋は 赤く映え(同上)
園路のは 松の古木が 目白押し(同上)
八景池 近江八景 雨景色(同上)
飛石の 池の直打ち 雁景色(同上)
池岸に 並ぶ建屋に 秋の雲(同上)
八景の 侵雪橋は 雪景色(同上)
庭の名の 森羅万象 傘の松(同上)
母屋では 京極様が 茶を点てて(同上)
稲荷社や 年々増える 赤鳥居(同上)
石投げて 願い伝える 地蔵尊(同上)
八景の 観月橋は 月景色(同上)
八景の 筆海亭は 晴嵐で(同上)
四阿の 丸窓飾る 松の幹(同上)
展示品 鉄道模型 ひいな館(同上)
掛軸と 屏風絵展示 コーナーも(同上)
陶器館 古代オリエント 出土品(同上)
街角の 鶴屋の広告 見苦しき(出石鶴屋)
入佐屋の 前に楼閣 名は知れず(出石入佐屋)
出石城 有子山城 一眼に(出石城)
石垣の 上に東屋 出石城(同上)
数寄屋風 一部二階の 武家屋敷(出石家老屋敷)
仙石家 ゆかりの武具も 展示され(同上)
座敷には 清水御屋敷 模型化し(同上)
奥の間に 隠し二階の 階段が(同上)
二階から 眺める家並み みな瓦(同上)
桟敷席 当時の規模の 半減と(出石永楽館)
奈落への 通路は石垣 頑丈に(同上)
舞台では 丸い切込 床に見え(同上/歴史的名所49) 60歳
化粧部屋 三畳敷きに 台一つ(同上)
舞台から 眺める桟敷 異次元に(同上)
見上げれば 桟敷の天井 屋根組みで(同上)
まめいも屋 アースの看板 懐かしき(出石まめいも屋)
酒蔵の 赤土剥がれ 竹の壁(出石酒造)
虫籠窓 二階全面 珍しき(出石の風景)
集落は 山の斜面の 前面に(東祖谷落合)
行く秋や ランプの明かり 障子戸に(旧広瀬邸)
屋根先の 桜の林 葉は散りて(同上)
緩やかな 屋根では昼寝 出来そうで(同上)
垣根越し 茅葺き優美 指月庵(同上)
畳の間 野暮に思える 洋机(同上)
新座敷 床の間飾る 壺絵画(同上)
吹抜けの 調理場広く 唖然とす(同上)
茶室には 政界人も 招かれて(同上)
庭園は 池泉回遊 茶室付き(同上)
土橋には 雪見灯籠 池の上(同上)
淑やかな 紅葉一木 四阿に(同上)
二階には 観潮楼の 茅葺きが(松濤園・旧木上邸)
冬陽射し 安芸灘を経て 蔀戸に(同上)
茅の下 蒲刈大橋 海の色(同上)
屋根裏の 梁の高さに 手が届く(同上)
通信使 行列人形 ジオラマに(同上・旧有川邸)
足場架け 化粧直しは 旧土蔵(同上・旧吉田邸)
何故ここで 飼育するのか 烏骨鶏(同上)
回廊は 古き道具の 展示場に(同上)
帳場跡 酒屋の面影 偲ぶかな(同上)
飛石は 飛ぶ如くな 雁掛けで(同上・庭園/歴史的名所50) 61歳
御番所の 白洲は石庭 寺院風(同上・蒲刈島御番所)
座敷には 弓矢鉄砲 展示して(同上)
宝形の 二階は優美 冬晴れに(白雪楼)
郷土史の 学習館に 四階楼(室津四階楼)
裏庭の 木製便器 懐かしき(同上)
一階の 和室床の間 アーチ形(同上)
階段は 踊り場なしの 直登で(同上)
四階は ステンドグラス 窓四面(同上)
瑠璃殿が 石庭借景 山水画(阿波国分寺)
トンネルの 天生橋は 石の華(同上)
立石は 阿波の青石 よく折れず(同上)
御厨人窟に 坐すも明星 現れず(御厨人窟)
洞窟は オオクニヌシの 棲家でも(同上)
明治期の 手造り感の アーチ橋(四国村)
蔵の中 丸太で区切り 四室に(同上・旧丸亀藩御用蔵)
土間の上 楮蒸し用 樽飾り(同上・旧河野家住宅)
小屋の中 搾り装置と 樽を置き(同上・砂糖しめ小屋)
梁のみで 唐傘の屋根 支えられ(同上)
サトウキビ 搾り終えたら 釜場へと(同上・六車家釜屋)
部屋の中 テーブルとイス 寒々と(同上・旧鍋島灯台退息所)
錨には 屋島南嶺 冬景色(同上・旧江埼灯台退息所)
洋室の 暖炉は白く 火は絶えて(同上)
役割りを 終えた日本間 退息所(同上・旧クダコ島灯台退息所)
茅葺きの 小屋を彩る 冬コスモ(同上・楮蒸し小屋)

